本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< March 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「残月―みをつくし料理帖―」高田郁 | main | 2013年08月に読んだ本 >>
# 「これからお祈りにいきます」津村記久子
これからお祈りにいきます (単行本)
これからお祈りにいきます (単行本)
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2013/06/28
  • 売上ランキング: 245307


津村さんは最新作が出たら何も考えずとりあえず読んでみる、ってくらい好きな作家なので、
この本もどんな話か全く知らずに読みました。とりあえずタイトルが面白そうだし。
今までの津村さんの作品は、働く冴えないOLが主人公だったり登場人物だったりして
その冴えないリアルさを追求するような作品が主流だったと思うのだけど
(初期の傑作「君は永遠にそいつらより若い」除く)、今回は違いました。
妙齢の男子が主人公の2編。しかも1編はなんかファンタジーっぽい?
思っていたのとも違ったけれど、こういう津村さんもありかなあと。
何より、妙齢男子の恋愛をこうも味のある感じにできるのは津村さんだけかと思います。
ネガティブでテンションが低いようでいて、とても熱い、そんな恋愛もの。かわいかった。


「サイガサマのウィッカーマン」と「バイアブランカの地層と少女」という
奇妙なタイトルの2編が収録されていて、本のタイトル、「これからお祈りに行きます」っていう
タイトルの作品は実際は収録されていないのだけど、2つ読み終わってなるほどと思いました。
確かに、お祈りに行くおはなしでした。

サイガサマの方は、大阪のどこかに残る奇妙な風習、サイガサマを巡る物語。
サイガサマは願いを叶えてくれる何かなんだけれど、持っていってもいい身体の部分を
代償に持っていってしまう。だから、冬至の日に、自分が持って行かれたくない身体の
一部を大きな人体の模型に入れて燃やす行事がある町。
実際にそれでいろんなもの(髪の毛とかも含む)がなくなってしまった?人たちの
人間模様を、何となくサイガサマの祭りに関わってしまった高校生のシゲルの視点で描く。

もちろん架空の風習だろうけど、大阪の南部が舞台かな?と何となく思いました。地元なので。
大阪の南の方は田舎も多いんだけど、田舎独特の雰囲気が出ていて、祭りに熱心すぎる
田舎の人々にうんざりのシゲルとか、独特の倦怠感が醸し出されていました。
そこにサイガサマの効用か、ちょっとホラーな展開もあったりして驚かされもしますが
非日常な話も、何となく「ふーん、そんなものか」と納得できてしまう変な空気でした。
そんなけだるさのなか、同級生のセキヅカへの淡い思いを抱えるシゲルの心の変遷は
なんだかすごいかわいいし、誰かのために何かを祈る(自分を犠牲にしてでも)という気持ちは
すごく熱くて、なにげに熱烈な恋愛小説読んだな、と最後にびっくりさせられました。

その「祈る気持ち」は、もうひとつの全然関係ない短編「バイアブランカの地層と少女」
にも受け継がれていたのです。
京都の嵐山で大学に通う心配性の男子、作朗が、ネットで南米の女子と知り合って、
って物語なんだけど、もともと作郎は、円形脱毛症の友達のために神社に詣でる心優しい男子
(シャツはついズボンに入れてしまうけど)なんだけど、彼もラストに盛大に祈るのです。
それも全く自分は関係ないところで、むしろ自分の都合をなげうってまで、
100%誰かのために、派手に祈る。

宗教について描いているとかそういうことでもなくて、誰かのために、何者かわからない
何かに思わず祈ってしまう、そんな人の優しさが熱く描かれていて、
とてもいい気持ちで読み終えることが出来ました。そしてタイトルにも納得。
好みは分かれると思うけど、私は好きでした。

余談だけど、津村さんはカタカナ名と漢字名、どういう使い分けなんだろう?
主人公(と主要人物)はカタカナ表記だと思ってたのだけど、作朗は漢字表記だったし。
何となく気になる。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:56 | category: 作家別・た行(津村記久子) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/951076
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links