本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「瑠璃玉の耳輪」津原泰水/尾崎翠原案
琉璃玉の耳輪
琉璃玉の耳輪
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2010/09/10
  • 売上ランキング: 309061


(私は単行本で読んだのですが、現在文庫も出ているようです)
琉璃玉の耳輪 (河出文庫)

同じ津原さんの作品「ルピナス探偵団の当惑」にこの尾崎翠の「瑠璃玉の耳輪」を
劇でやるシーンがあり、それをきっかけにこの本を読んでみました。

もともとは尾崎翠さんの書いた脚本を津原さんが小説化したもの、のようですが
もちろん私はもとの脚本は読んでいません。
あとがきによると、だいぶ話は変わっているようでしたので、題材だけは尾崎翠さんのだけど
津原さんオリジナルの小説になりました、ってくらいの認識でいいんだろうなあと思います。

全体的に昭和初期の雰囲気がすごく出ていてたまらなかったです。
これは尾崎翠が現役で昭和初期の人だったからでしょう。
津原さんはその雰囲気を壊さないままでうまくリメイクして、なおかつ話を面白くしている。
いいとこどりやん、って思いました。
昔見た金城武主演の映画「K-20 怪人二十面相・伝」を思い出しました。
レトロな香りのする昭和初期の娯楽活劇、みたいな雰囲気の小説。豪華絢爛です。

男装の麗人である女探偵岡田明子に、正体不明の女性から依頼がきます。
瑠璃玉の耳輪をつけた三姉妹を捜し出し、1年後に集合させて欲しい、という依頼。
依頼を受けた明子は、手がかりを求めて、男になって横浜の阿片窟に向かう。
明子は、催眠によって男性=明夫の人格になりきることが出来たのだった。
そして別の場所では、行方不明の三姉妹の1人、瑶子に恨みを持つ曲芸師の女、
耳輪をした美しく若い、しかし人形のような娘に惚れてしまった伯爵の坊ちゃん、
長年追っていたスリの女に内偵を頼む刑事・・・、様々な人々の様々なドラマが錯綜して
ものすごく複雑な展開になっています。彼らのドラマが絡み合って収束していく様は圧巻。
一気に読まないと何が何だかわかんなくなるくらい複雑ですが、その複雑さも含めてすごく面白い。

そして話がどんどん大きくなり、歴史改変ミステリだったのか?と思わせるような
とんでもないことになってきます。こんな結末に向かうなんて、読んでいるときは
全く想像できない!驚きつつページを繰る手が止まりません。
この展開は昭和初期の人には書けないなあ、今だからこそ書ける話だろうなあ、
いや、津原さんだからこそ書ける話だ、と思いました。
読み終わったあとに読書の充実感をじんわりと堪能しました。

男装の麗人とか、曲芸師とか、探偵事務所の所長とか、伯爵のぼんぼんとか・・・
出てくる人たちも時代がかってるし、キャラも立ってるし、すごく雰囲気ありました。
男装の麗人って、私、好きなんですよね。小さい頃に「リボンの騎士」にはまったり、
「ベルばら」にはまったりしてたので、特に思い入れがある。
まあ漫画は今回みたいな妖しげな雰囲気ではなかったんだけれど、そんなわけですごく楽しめたなあ。

あとがきで、編集者である二階堂奥歯さんとのやりとりが書かれていて興味深かったなあ。
若くして亡くなられた方だと思いますが、生前の彼女の「瑠璃玉の耳輪」への熱意が、
今こうやって作品になったのだと。素晴らしいものを残したんだなと思いました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 19:47 | category: 作家別・た行(津原泰水) |
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