本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「黒い仏」殊能将之
黒い仏 (講談社文庫)
黒い仏 (講談社文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2004/01
  • 売上ランキング: 163190


殊能さんの訃報を聞き、探偵石動が初登場する「美濃牛」を先日読んだところですが、
実は石動登場の第二作目「黒い仏」の方が気になっていました。
なんだかとんでもない作品だという噂で・・・
読んでみたら、探偵は一緒ではあるけど連続性は薄く、いきなり読んでも良かったか?と
一瞬思いましたが、石動の人となりは「美濃牛」でさんざん描かれていて、
今回は石動のキャラに関するそこまでの描写がないので、
一作目から順番通り読んだ方が、いろいろ楽しめると思います。

さてこの本、非常に感想が難しいのですが・・・

ウィキペディアには、「SFが読みたい!ランキング8位」と書いてあって、
ミステリじゃないのか?と疑問符だらけでしたが、読んでみて理由がわかりました・・・・
いや、ミステリなんですけどね。
私はB級大好きなのでとても好きな作品です。傑作だと思う。
でも、怒る人は怒ると思うので、それを了解のうえ読んで下さい。

さて、物語は、すごい期待を持たせるオープニングです。
遣唐使の時代に、日本に帰国しようとしている僧の円載が登場します。
何かを持って日本に戻ってこようとしている彼のモノローグのあと、現代へ。

探偵の石動は、とあるベンチャー企業の社長から依頼を受け、福岡の安蘭寺という寺に
隠されているという秘宝を探しに、助手のアントニオ(と名乗る中国人)と九州へ行きます。
それは円載がからむお宝のようなのですが・・・
行った先の安蘭寺に安置されていたのは、顔のない黒い仏。そして、同時期に福岡では
殺人事件が発生していて・・・

えーっと(何を書くかで困っている)。

ミステリ通ってわけでもないんですが、ここで語らせていただくと。
ミステリにはミステリなりの「型」があると思うんです。二時間ドラマの終盤が崖であるとか、
最後には探偵が人を集めて種明かしをするとか、そういうレベルで、定義付けは難しいし
人それぞれ定義も違うのでしょうが、誰が読んでも「ああ、ミステリーだなあ」と思うような
何らかの定番の型があると思うのですね。特に探偵ものには。
「謎を解く」ことがメインで、どんなキャラがどんな謎をどんな風に解いていくか、
それが基本の流れなわけなので、一連の型が出来て当然とは思うのですよね。

(二時間サスペンスドラマはそのいろんな「お約束」を大事にしている感がありますが)、
小説界では、最近ではミステリの「型」をいかに外しつつ読者をだませるか、
面白くできるか、そういうところを追求する一つの大きな流れがあるような気がしていて、
その流れに気づかせてくれたのが、私にとっては殊能さんの「ハサミ男」だったんですよね。
ああ、こういうのもありなのか、と。
まあ、私が読んでるミステリの冊数なんてたかがしれてるので、語るのもなんなんですが。

で、この「黒い仏」で、殊能氏は更にミステリの常識を覆してみせた。
しかもその従来のミステリの「型」を見事に利用して、です。
そしてある意味では破綻しまくってる物語ですが、見事に筋は通っていて、
ある意味ではすっきり謎が解けるので、本格ミステリと言っても別にいいような気がします。

最後まで読んで私は笑いが止まらなくなりました。特にラスト一行は効いてます。
解決した石動氏のドヤ顔を想像すると更に笑いが止まりません。
そして、アントニオ、お疲れ様、としみじみ思いました。アントニオ、いい男です。

いくつかの謎は放置されたままですが、なんでだろう、特に気にはなりませんでした。
そっちはそっちでがんばってね、と思うからでしょうか。

最後に、豊崎さんの解説は流し読みしてしまいました。私にはよくわからなかった。
褒めているのはわかりました。テンション高かった。
これ読んだらテンションあがる、その気持ちはわかりました。

改めて殊能さん、ご冥福をお祈りします。もう新作が読めないと思うと、残念で仕方ないです。
| comments(1) | trackbacks(0) | 14:40 | category: 作家別・さ行(その他の作家) |
コメント
こんにちは。
殊能さんの作品で一番好きなのがこの「黒い仏」です。
いやあ笑った笑った、最後まで鼻面掴んで振り回され、
ブッ飛んだラストにひっくり返って降参でした。
まあ怒る人がいるのもわかりますが・・・。
ミステリ史に残る怪作ですね。
| 木曽のあばら屋 | 2013/06/04 12:09 AM |

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