本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「ケルベロスの肖像」海堂尊 | main | 「インシテミル」米澤穂信 >>
# 「蕎麦ときしめん」清水義範
蕎麦ときしめん (講談社文庫)
蕎麦ときしめん (講談社文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 470
  • 発売日: 1989/10/06
  • 売上ランキング: 56228


重い読書ばかりしていると時に疲れるものですが、そういうときは清水さんの短編集を
手に取ってみることにしています。こちらはかなり古いもので今更って感じですが。
今回も気軽にさらっと楽しめて、しかも清水さんのすごさを見せつけられる作品集でした。
さすがお見事です。

表題作「蕎麦ときしめん」では清水さんが書いたものではない正体不明の人の論文を
紹介します、って設定で、名古屋の人たちの特徴をけっこうぼろくそに書いてます。
家より車、とか、都会だけど田舎者の集まりだとかけっこうひどい感じ。

名古屋人にはあまり友達がいないのでここに書かれてることがほんまかどうかはわからないのだけども、
多分、良くも悪くも日本で一番「○○の人はこんな人」ってイメージが定着してるのは
大阪人だと思うんですよね。
大阪のおばちゃんはむっちゃ派手でトラの顔書いた服着てスパッツ履いてるとか、
大阪の人は全員阪神タイガースが好きで六甲おろし歌いまくってるとか。
どれも一部の人たちなんですけどね。まあ別にそういう内容のことを言われても
もう屁とも思わん大阪人の私なので、名古屋の人もこれ読んでも「あるある」とか
「これは言い過ぎちがうか」とか思いながらも楽しく読んでるのではないかと想像したりして。

これについてはちゃんとラストに「きしめんの逆襲」がついていて、清水さんが名古屋の人に
責められまくって故郷に帰れない、でも俺が書いたんじゃないんだ・・・みたいな展開で
ちゃんとオチもついているし、短編集の最初の短編が最後の締めにつながるのが、いい感じでした。

でも驚いたのはこれだけじゃないんだよね。清水さんのパスティーシュ(模倣)がすごいのです。
清水さんがパスティーシュって言葉を知らずにやっちゃった、なんて裏表紙には書かれていて
清水さんがパスティーシュをやった最初の短編集かな?と思ったりもするんだけど
やっちゃってるのが司馬遼太郎の真似。どう読んでも司馬遼太郎やん、としかいいようがない
そっくりの文体で書かれてるのが、とある平凡な会社の社史だったり、猿蟹合戦だったりするから
ギャップがたまらないのです。猿蟹合戦を大まじめに書く司馬遼太郎・・・。
ほんまどこからどう読んでも司馬遼太郎で、「余談だが」の使い方とかうまいんだよねえ!
司馬遼太郎はかなり読んでいる私も納得でした。
どうしてその文体なのか、なんてことにもちゃんと理由があったりしてそれも笑わせてもらったし。
でも、もっともっと意外な内容でやってほしかったなあ!
軽薄な内容であればあるほど司馬文体とのギャップがあって面白いはずなのですが。

他、様々な趣向を凝らした短編が収められているんだけど、とある評論本の序文だけで
構成された「序文」も面白かった。初版ののち、改訂版とか文庫版とかの序文だけで
この著者がどれだけ奇天烈な説をぶちかましてて面白い経緯を辿ったかが如実にわかって
にやにやしてしまいました。

麻雀のネタの短編もあって、青年が老人たちと麻雀をする話、
麻雀のことはあまりにもわからなかったから楽しめたとも言い難いけどオチは効いていた。
こういうとぼけた老人たちを描かせたら清水さんはうまいなあと改めて思いました。

全体的に知的なのにくすくす笑える短編が多くて、清水さんはとても好きです。
気分転換にほどよい読書でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:31 | category: 作家別・さ行(その他の作家) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/951039
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links