本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「本にだって雄と雌があります」小田雅久仁
本にだって雄と雌があります
本にだって雄と雌があります
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2012/10/22
  • 売上ランキング: 16934


タイトルに惹かれて読むことにしました。本に雄と雌?
あらすじを読んだら「本棚に本を並べていたら間に本が増えていた」って
それって確かに雄と雌があるからだしタイトルそのまんま。どんな話?

わが家でも確かに本は増えている。1冊読んだら3冊買うみたいな生活してるし
読んだ本をすぐ捨ててるわけでもないから、そりゃ増える。新しく買った本棚もはみ出してる。
そういうときの言い訳に「本が勝手に増えるのよ」って言いたいのは読書好きなら
誰でもそうだろう。でもそれを地でいっちゃう小説があるとはね。

主人公の祖父の與次郎の話を、主人公がまだ幼い息子、恵太郎に向けて書きつづる、
という形式を取っている小説です。與次郎の生い立ちから結婚のエピソードなどなどが
独特の語り口で綴られますが、そこで現れるのが幻書という言葉。
本の雄と雌が合わさってできてしまう幻の書で、タイトルも混ざっていたり、
むちゃくちゃな内容だったりするのだけど、たまに未来を予言するようなものも混じっていたりする。
その幻書は放っておいたら空を飛んでいってしまうので蔵書印を押さないといけない・・・。
主人公も幼い時、空を飛ぶ本を祖父が押さえ込むのを目撃したのだった。
と、何とも荒唐無稽な物語。

最初はそういう話が独特の駄洒落満載の文体で描かれていて、個人的には面白かったけど
なかなか話が進まないなという印象だった。與次郎を取り巻く家族の紹介や、
與次郎と與次郎の妻ミキとのなれそめ、與次郎のライバルしゃっくり氏とのやりとり、
(しゃっくりがずーっと止まらなくなった男性なんですよね。大変だよなあと思いつつ
笑ってしまう・・・)、それから與次郎の子どもたちの話などなど。
與次郎の家系はややこしかったのでちょっと家系図が欲しいな、と思いつつ、
語り口が面白かったので構わず読んでいました。

本を主題にしたファンタジーかと思っていたら、どんどん話が大きくなっていき・・・、
思いも寄らないシーンが出てくるようになりました。戦争のシーンや事故のシーン・・
スケールがどんどん大きくなるにつれ、ファンタジー色もどんどん強くなります。
本が飛ぶ程度(?)のネタで展開する駄洒落満載のファンタジーかと思いきや、
ものすごいスケールになっていき、広がっていく世界は、哀しいシーンもありましたが、
その広がり具合が本当に心地よかったです。あまりに途方もないので何度も驚かされました。
何が起こるかはなるべく書かない方が、きっと楽しめると思うので、書きたいけど自粛。

最後に驚きの事実も明かされたりしますが、結局はあふれんばかりの夫婦愛や家族愛に
満ちた、いい意味で平凡な、平穏な物語だったんだと思いました。
與次郎とミキはこれからも幸せなんだろうな、と思ったり、恵太郎はこれからどんな人生を
歩んだんだろう、とか、過去形と未来形が混ざるようなことを考えてしまったりして、
先のことを考えるのも一興。

しかし本好きには本当にたまらない本です。本が増える言い訳にも使えますし、
終盤に至るにつれ、私も行きたいなあ!って思える場所があるのよね。
無限に本を読めるところ・・・・。羨ましいなあ。極楽だなあ。
そういう夢を見るのもいいかもしんないね。

語り口も作風も大変好みで、この作家さんのファンになりました。
同年代で大阪在住ってところも親近感が沸きます。今後も期待しています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:27 | category: 作家別・あ行(その他の作家) |
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