本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ワーカーズ・ダイジェスト」津村記久子
ワーカーズ・ダイジェスト
ワーカーズ・ダイジェスト
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2011/03/25
  • 売上ランキング: 88126


津村記久子さんは、最近好きな作家さんの1人。新刊出たらとりあえず読もうと思える人です。
最近は同じような系統の働く女性の日常、的な物語が多いような気もするし、
出てくる人たちもなんとなく似てる気もするのですが、そんなの気にならない。
とにかく読みたくなるのです。

仕事がしんどいんでしょうね、私もね。誰でもいいから「つらいよねー」と愚痴をいいたいんだよ。
津村さんの小説には、自分と似た「友達」の日常を聞いて「わかるわかる」と言ってるような
気軽さがあります。女子会で喋ってストレス解消みたいな。
津村さんの小説に出てくる登場人物は友達のようでも、自分のようでもあります。

今回の物語も共感度はすごく高かった。冒頭から、奈加子の朝の出勤のシーンで、
黒い靴下を大量に買い込んでてどれも似たような感じだけど少しずつ違ってるもんだから
どのペアかわかんなくなってるとこを読んで、「昨日の私を見てたのか?」と思った。
実際、毎日みたいに同じことをやってる。
このピンポイントにずばり当ててくる共感度、すごいなと思った。(私だけかも・・・)

でも、全体的に今回は、「愚痴言ってる」感じのマイナスの共感より、プラスの共感の方が
高かったな、と思いました。いい意味での「そういうことあるよねー」が多くて、
とても素敵な物語でした。

奈加子と重信は、姓も同じで年齢も同じ。違う会社に勤めていて、冒頭に仕事のやりとりで
一度出会います。そのあとはずっとばらばらでの2人のお仕事生活が描かれていきます。
まあお仕事なんで、けっこう理不尽なクレームとかいろいろリアルなことがあるんだけど、
何気ない機会に、奈加子も重信も、「あの人はこんな時どう言うかな」と思ったりして
お互いを思い出してます。それが何となく2人の心のよりどころの1つになってる。
別に一目惚れでも恋でもないんだけど。

ただその時すれ違って少しだけ出会っただけの人について、「あの人どうしてるかなあ」って
思ったりすることって、誰にでもあると思う。
実際、最近仕事で少し関わった人がいて、もうすでに仕事は終わって縁は切れたんだけど、
あのあとあの人どうしてるかなあ、って思い出す人がいて、ああ、この感じだわ、
これが「ワーカーズ・ダイジェスト」で書かれてたあの感覚だわ、とこの本を思い出したのでした。
その人も男性だけど、別に恋愛感情とかでもなく、ただ何となくこの人とは友達に
なれるかもしれない、そうでなくてもこういうことを相談できるかもしれない、
今何やってるのかなあ、と少し思い出す、みたいな、そういう感覚。
まさにこの本のこれだわ!と思ったのでした。
まあ、道でばったりでも会わない限り、もう会うこともなさそうですけどね、私の場合。

そういう、恋愛でもなんでもないような、そんな些細な出会いが人生にもたらすものについて、
すごいリアルに描かれてると思います。今回まさに実感しました。
あんまりないんじゃないかなあ、こういう小説って。

そして、小説の2人はニアミスを繰り返す。安易に恋愛にならないところが
この作家さんのいいところでもあるんだが、これに関しては、だんだん、
「再会できるかなー、できたらいいなー」という期待に変わっていく感じがまた楽しかった。
さて、再会できるかどうかはお楽しみということで。

このふたりがまだ大阪のどこかで普通に住んでいるような気がしています。
こういう読後感、好きです。

もう一つ収められた短編もさりげないんだけど、仕事が受け継がれていくって
こういうことかなあ、としみじみするような内容でした。

津村さんはやっぱりいいです。まだまだ読みますよ。
| comments(0) | trackbacks(1) | 14:20 | category: 作家別・た行(津村記久子) |
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小説「ワーカーズ・ダイジェスト」を読みました。 著者は 津村 記久子 さて津村作品 最近読んだのは そこまでだったのだけど、果たして本作は・・・ これは楽しめましたね! やっぱり 津村作品は大人主人公のお仕事系が自分は好みなのだと 本作はまさに普通の企業で
| 笑う社会人の生活 | 2016/05/19 6:35 AM |
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