本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ダブル・ファンタジー」村山由佳
ダブル・ファンタジー〈上〉 (文春文庫)ダブル・ファンタジー〈下〉 (文春文庫)

「スイートリトルライズ」にはじまり、結婚してから何故か不倫小説を読んでいる私ですが、
(まあ本棚に何故か不倫ものがたくさんあるので、いつもどおりなんですが)
これは青春小説のイメージが強い村山さんが急にどぎついの書いたんだなあと思って
ちょっと驚いて買ってしまった本でした。
とは言え村山さんの本は「星々の舟」しかまだ読んだことはないのですが、
それがいい作品だった記憶は残っていて、あまり悪い印象もなかったのですが。

これを読み終えて、村山由佳さんという作家の本を今後私が読むかどうか、正直わからないなあと
思うに至りました。残念です。昔出版された本はまだ手元に積んでいるのもあるので
読むとは思うけど、この1作で方向性が変わってしまったのならもういいや、って感じです。
正直読んでる時間がもったいない、と思うほど、合いませんでした。

主人公の奈津は売れっ子脚本家。でも専業主夫になってしまった夫が彼女の仕事に口を出し、
無意識に抑圧されている。性的欲求が強い奈津なのに、性的にも満足させてもらえていない。
そんな時に、彼女を選考してくれた憧れの劇作家、志澤からメールが届き、やりとりをして
本音を吐露していくうちに、奈津は志澤と関係し、そして家を出る・・・

前半はまあ、まだ良かったんですよ。彼女を抑圧する旦那が本当にうっとうしいんだけど、
夫婦であっても全く話が通じない感じ、いくら説明しても伝わらない感じがすごく出ていて、
怖いなと思ったし、彼女がその抑圧から逃れたい一心で志澤にすがりたい気持ちもわかった。
そして、旦那の支配から逃れて、自分だけの力で脚本を書いていきたいという強い意志、
性的欲求も極めてその果てにあるものを見てみたい・・・。そういう意思で動いているってのは、
そこで極めるのが性的な欲求ですか、ってのはツッコミどころとしても、
まあわかるような気がしたのです。だから期待してしまった。彼女が旦那から逃れて、
不倫しまくって、そのあとに何を見るのか。

まあ、10年もこんな旦那によく我慢できたなというのもありますが。その後の彼女の行動を
考えると、10年我慢できるような人に思えないのですが・・・キャラ変わりすぎ・・

そんなわけで前半少しは期待した分、落胆も大きかった。
結局下巻では男をとっかえひっかえしてわがまま言いまくって、それだけで
終わってしまったように私には思えた。最後には悟ったようなことモノローグで書いてたけど
(「自由とは孤独だ」とか何とか)それがどうした、って感じだった。
奈津の仕事がグレードアップしたわけでも、自由の果てに何かが見えてきたわけでもない。
結局、概要を読んだだけで「つまんなさそうだなー」と思う戯曲を1つ書いただけで、
何も成長しないまま終わってしまったやん、と、驚愕でした。きっとこれから先も
おんなじように男性遍歴だけ重ねて自分に酔って自分に言い訳して過ごしていくんだろうな、と
思うしかないラストでした。

大学の先輩の元彼が出てきて、志澤のワイルドな魅力(志澤ってかなり古くさいおっさんで
ワイルドな俺大好き、な感じが私は全然好きではないが)ではない穏やかな生活に出会い、
そこで心も身体も愛されて、って展開だったのですが、読んでたらただのセフレやんこの二人。
別の男と関係してそれ報告してね、だったら俺も燃える、みたいな台詞とか正直しらけたしね。
そこでエロ坊主登場、で「あほか、この女」って感じになって、なんかもう笑うしかなかった。
それでまあ開き直ってくれたらまあ面白いんだろうけど、そのあともうじうじしたりして、
結局は最後はこの淫乱女の言い訳を上下巻読まされたような嫌な気分だけが残りました。

まあ結局同族嫌悪なのかもしれないけどね。
登場人物をここまではっきり嫌いと思ったのは久しぶりなので、案外のめりこんで読んだのかも。
奈津が好きな相手に拒否されてても、うざいと思われるとわかってるのにメール送ってしまって
ほんまにうざがられるところとか、私もわりと今までの恋愛でやりがちだったので、
「自分みたいで嫌・・・。」って思う時もあった。
もちろん、そういう部分だけシンクロできただけで、基本的には絶対こんな勝手な女、
友達になりたくないとは思うけど、女のいやな部分をいろいろ背負ってる女だから、
これだけ嫌いになったりするのかもしれない。

これだけ激しく「嫌だなー」と思われる小説というのは、読んで何も思わないで
あっというまに忘れてしまう小説よりは、読んだこちらに何かを残したのかもしれませんね。

共感できる女性も多くいるようなので、賛否両論なんでしょう。私には合いませんでした。

性描写はかなり露骨、エロ小説としても読めますが、個人的には露骨に、というより
きっちり書きすぎてる気がして、エロにはチラリズムが必要だ、なんて
おっさんくさいことを思ったりもしました。
それに、なんで同じ女である作家が、渡辺淳一が好きそうな「すぐに落ちる女」を
書いてしまうのか、と、残念な部分もありました。
女がみんなこんな風なわけじゃないし・・・と同じ女としての反発もありました。

口直しに村山さんの他の作品(初期の頃)も読んでみようかなと思っています。
口直しになればいいけどなー。
| comments(2) | trackbacks(0) | 14:36 | category: 作家別・ま行(その他の作家) |
コメント
はじめまして
検索しているうちに当ブログにあたり、興味を持って拝見しました。
さて、この本は図書館で予約待ちでやっと読めました。
実は私は村山は初めてで、高校生か若者の作品と思っていました。
今回は脱皮した話題作ということで挑戦
がっくり
この人は本当に直木賞作家?
独りよがりで自慢したい?
お嬢様が精一杯悪ぶってる?
私小説らしいが、まだ作品にするのは自分で消化されていない
後味の悪いこと
本当に口直しが要ります。

この本だけかしら?と思い「星々の舟」を読みましたが
この本はそう悪くない
村山評判のみずみずしさは出ています。
まあ、私も次回からはパスかな・・・
| imerudadebi | 2012/12/19 1:38 PM |

途中から旦那の省吾がかわいそうになりました。
| こう | 2016/02/25 10:10 AM |

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