本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< June 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「昔、火星のあった場所」北野勇作 | main | 「ガラスの仮面の告白」姫野カオルコ >>
# 「黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2」奥泉光
黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2
黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,418
  • 発売日: 2012/09/22
  • 売上ランキング: 116213


クワコーのスタイリッシュな生活、第2弾です。続きが出ると思ってたんだよね。
(クワコーの初登場は「モーダルな事象」で、正確にいうと第3弾ですが、「モーダルな事象」と
今のシリーズとではだいぶ雰囲気が違い、違わないのはクワコーのダメっぷりくらいなので、
第2弾としました。「モーダルな事象」も大変面白いです。オススメ)

桑潟幸一、通称クワコー。たらちね国際大学准教授。ものすごくダメな人間である彼を主人公に、
彼が顧問をしている文芸部の女子大生たちが、クワコーが巻き込まれた事件を解決する
(クワコーは見てるだけ)というミステリ小説です。一応。

「妄想捜査」というタイトルで、佐藤隆太主演で深夜ドラマ化されました。
佐藤隆太って別に好きでも嫌いでもないですが、クワコーは違うだろ、と、
キャストを見ただけで激しい抵抗があり、更に予告編で見た佐藤隆太の
蝶ネクタイ姿にめまいがして、結局ドラマは見ていません。
コミカルなのはいいんだけど、違うんだよなあ・・・
クワコーはイケメンでなくていいんですが、佐藤隆太ではエネルギッシュすぎます。
もっと徹底して覇気のない、「生きてる?」と言いたくなるような人でないといけません。
(多分、俳優さんではそういう人いないような気がします・・・)
まあ、ドラマについて見てないのに語るのもあれですし、面白かったのかもしれないので、
何とも言えませんが。

さて、本の感想。
底辺に生きる男クワコー、准教授なのに収入はものすごく低く、第1弾では
底辺を這うようなけちけちした生活が切ない笑いを醸し出していましたが、
今回もその吝嗇っぷりには拍車がかかっています。タダより安いものはない!と
近所に生えている紫蘇を大量に入手して様々な紫蘇料理を作ったり、ザリガニを釣ってきて食べたり。
素晴らしい節約料理の数々は妙に美味しそうです。そればかりか雑誌は道で大量に拾ってきて、
夏休みの予定は拾った雑誌のタダ読みと、近所のスーパーの猛烈なセールに行くこと、
なんですから、凄まじい底辺っぷり。

そんなクワコーですが一応准教授、教授たちの派閥に巻き込まれつつ、ちまちまと
誰かの犬になったりしながら、仕事もしています。大学だから期末テストもあるんだけど、
今年から採点ちゃんとしよう、なんてことが教授会で決まりつつある頃、
クワコーが採点するはずの答案用紙がなくなってしまい・・・というのが「期末テストの怪」。
これも文芸部の女子大生が鮮やかに解決。段ボールで住んでるホームレス女子大生探偵ジンジンが
見せる名推理、女子大生たちの捜査も手慣れてきて連携も素晴らしい。
クワコーは見てるだけ。見てるだけで解説もされず勝手に事件解決。
学生だと鍵が開けられないから必要だから呼ばれる、とか、その程度の存在理由でそこにいる。
これだけいなくていい主人公も珍しいよ・・・
しかもクワコーの不都合がなくなれば事件だって平気で隠すよ、みたいな。
ダメ過ぎてステキ過ぎる。笑える。
クワコーがやらかした「全優事件」も笑ったなあ(詳細は本にて)。准教授としてどうよ。

そして表題作「黄色い水着の謎」。クワコーの夏休みは雑誌のタダ読みだけしてるはずなのに、
文芸部の夏合宿に巻き込まれ、ついていく羽目に。文芸部の女子大生が漁労部も兼務してるってのが
またすごいんだけど(海に潜って魚とか貝とか獲ってるし)、そこで蟹とかエビとか入った
絶品のスープを堪能し、男性だけ扱いが違うボロ部屋に寝たりしているうちに、
また事件に巻き込まれるのだった・・・。ま、解決したのはまたしてもジンジンだが、
ものすごく風呂敷広げたのに、「え、結局事件ですらないよね」ってレベルまで落として
解決しちゃうのがなんだか面白いのであった。ミステリとしての謎は鮮やか?ではあるが
なんだかしょぼすぎる。まあクワコーが主人公だから仕方ないか。
そしてまあ結局、みんな女子大生たちの手のひらの上で踊ってるだけな感じがして
哀れみすら感じるよ。面白いけど。

1作目は抱腹絶倒の笑いでしたが2作目は慣れてきたのか、爆笑で腹よじれるってことは
あまりなかったですが(でも「キタカタケンゾー」には噴き出した)、やっぱり面白かったです。
物語の面白さより、クワコーのケチっぷりや小物っぷり、女子大生の延々続く会話とか、
唯一の男子学生モンジのわけのわからん話っぷりとか、あとは文芸部員が受けとか攻めとか
語るあたりなんかも面白いし、事件とか別にいいからいつまでもだらだら読んでいたい、
という類の小説です。
続編希望。事件なんぞどんどんしょぼくなっていいからもっとやれーって感じです。

人を選ぶ作品ですが、ツボにはまればとことんはまれます。文中に頻発する太字ゴシックも
だんだんないと寂しくなってくるくらい。
そして、手軽に読めて面白い。これ読んでる時はひどい風邪ひいて微熱あったんですけど、
楽しく読めていい気分転換でした。読書っていいですよね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:13 | category: 作家別・あ行(奥泉光) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/951025
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links