本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「猫ノ眼時計」津原泰水 | main | 「脳男」首藤瓜於 >>
# 「NOVA3」大森望編
NOVA 3---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
NOVA 3---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2010/12/04
  • 売上ランキング: 68572


新作SFアンソロジー「NOVA」もやっと3作目を読むに至りました。もう8冊出てるけど・・
個人的には読む時期が悪かった。
ちょっと忙しい時期だったので、短編集なら区切りよく読めるかな、と手を出したのが間違い。
忙しい時期に片手間に読むような気軽な短編集じゃなかったですわ。

NOVA2とはまた雰囲気が違って、今回はすごく本格的なSFのにおいがしました。
前半はまだソフトなんだけど、後半がハード。そしてその合間にB級SFで箸休め、って
感じですかね(褒めてます)。
SFは読むけれど文系でSF理論には疎い私にとっては全体的にちょっとハードでした。
私もSF読みとしてはまだまだやと思いましたです。

簡単に各短編の感想を。

「万物理論[完全版]」とり・みき
これはSF好きな人には面白いんだろうなあ。私にはよくわからなかった・・・。
残念。

「ろーどそうるず」小川一水
自分の意思を持ち運転制御するようになったバイクが、上に活動状況を報告する、
その会話で成り立っている物語。これが一番面白かったなあ。バイクが自分に乗った人の重みなんかで
自分の主がどんな人かを知って共感したり酷使されたり。バイクにしては劇的な人生(?)を
辿りながらもけなげに走り続けた素直なバイクに共感してしまいました。
小川さんは「天涯の砦」しかまだ読んでないんだけど、メカに強い人だなあという印象だし、
バイクにも詳しいし、バイクへの愛も感じられました。話の収まり方もぐっときたなあ。

「想い出の家」森岡浩之
「思い出」を買えるようになった世界で、とある老人に思い出を提供する男性。
切なくてちょっと寂しいハートフルストーリーかと思ったら、最後に一気にブラックになって
にやりとしました。ブラックな方が好きな自分って・・・。
しかし、誰もいなくなった家で、思い出を手に入れて1人で眺めるというのは、
幸せなのか切ないのか・・・。自らの老後も含めていろいろ考えました。

「東山屋敷の人々」長谷敏司
東山家の当主が医療の進歩により年を取らない身体となって若いまま、他の一族と亀裂が・・。
これも前作と同様、高齢化について考えさせられる一作。
みんなで年を取らないならもしかしたら幸せかもだけど、1人だけだとすごくいびつです。
いや、ヴォネガットの短編で全員年取らなくなって人口過多になった小説もあったし、
やっぱり加齢も寿命も自然なのが一番なんだろうなあと思いました。

「犀が通る」円城塔
相変わらずの円城ワールド、喫茶店で描かれるいろんな視点。犀とかも含む。
伝説の犀がいつから生きてて何を思っているかとか考えるのは楽しかったけど、
やっぱり今回もよくわかんなかったです。雰囲気を楽しみました。

「ギリシア小文字の誕生」浅暮三文
爆笑の小休止劇場が来た、って感じでした。箸休めに肩をふるわせて爆笑するのにうってつけ。
しかも下ネタ。ギリシア小文字をネタにした(わりとハードな)下ネタ。
誰が思いつくのんこんなん。すごすぎる・・・・
日常的にギリシア小文字を目にする仕事とかじゃなくて良かったです・・・。
この1作で、かわいい女子に安易に勧められない本になりました。

「火星のプリンセス」東浩紀
NOVA2で「クリュセの魚」という短編がありましたがその続編です。
ここでは終わらず、更にNOVA5と8に掲載されてるようです。
これを読んだので次はNOVA4を飛ばして5を読むことに決めました。続きが気になるので。
人が住めるようになった火星と地球の間に起こる摩擦。火星を救う救世主として
カリスマの女性の娘が祭り上げられようとしている。その娘の父は普通の男性なので
彼の苦悩が主に描かれています。愛する女も娘も「星」に取られようとしてる男。
つらいですよね。起承転結の「承」に当たる部分だったと思うので続きが楽しみ。

「メデューサ複合体」谷甲州
ラスト2編はこのNOVAの中でもメインディッシュに当たる部分かと思います。
力作、って感じの迫力に満ちてます。こちらは木星に建造物を建てているけれど、
異常が発生し、自動制御が効かないため、現地に作業員が出向く・・・という内容。
木星とかいってるわりに派手さがなくて建築作業員ががんばる話なので、硬派、いぶし銀、って感じ。
でも人間は確か1人しか出てこないあたりがど真ん中SFですが。
正直建築の全貌を想像しきれなかった私にはなかなか難しい作品だったです。

これ読んでる時は長野県に旅行中で、緑あふれる車窓の景色が広がる中で読んでいたので、
褐色(のイメージ)の木星の中にいてふと目をそらすと緑、みたいなことになって、
なんだか面白かったです。SFってほんま非現実でそこが楽しいですね。

「希望」瀬名秀明
自らのクローンが衝突実験を繰り返す少女、幼いころから監禁され、重力を研究する男と
素粒子を研究する母に育てられた少女。彼女がインタビューに答える形式で描かれる一篇。
いやこれ難しかったです。物理とか全然わかんないのもあって、「ヒッグス粒子」が出てきて
あ、これ聞いたことある最近発見されたやつ、とかくらいしか反応できなくて
(でも多分発見される前に「発見された」って話書いてることになるからなんかすごいと思った)
これわかってる人が読んだら面白いんだろうな、とも思ったりもして・・・。
それに物語自体が深くて。神に祈る少女の姿、「希望」とは何か?いろいろ考えさせられる
部分はあったと思う。一回読んで「わからん」と終わるのはもったいないような、
何度読んでもわからないかもしれないような、そういう物語でした。
こちらも旅行中に読んだのでコンディションも悪かったな。家で正座して読むべきでした。
「希望」というタイトルで瀬名さんの短編集が発売されているようで、瀬名さんの短編集の中の
1つとして読むとまた違った味わいかもしれませんね。敷居は高いけど、挑戦してみようかなあ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:36 | category: アンソロジー(大森望編) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/951013
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links