本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」酒見賢一
泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部
泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2012/07/25
  • 売上ランキング: 20335


待ってました第参部!でも読む前にちょっと躊躇しました。
1,2の内容を忘れてるから再読してから読む方がいいかな・・・と思って。
どうしよっかな、と思ってページをぱらっとめくると酒見さん独特の調子で
「今、三国志がヤバい。」って書いてあってひとしきり現代の三国志談義が。
それを夢中で読んでしまってあっという間に本編に突入してしまい迷う間もなかったです。
で、本編に入ったらなんだか覚えのあるシーン。「あ、レッドクリフやんこれ」
今回やっと赤壁の戦いに入ったもので、映画「レッドクリフ」と内容が被る。
だから話についていけました。
映画見たせいで脳内で周瑜がトニー・レオン、孔明が金城武に自動再生されちゃいましたが、
この作品の周瑜はトニーのイメージじゃない、というかこれがトニーだったらトニーが
気の毒な感じなので、途中からトニー再生はやめました。が、金城武はそのまま再生。
金城武の演じる孔明の胡散臭さは私の中ではこの本の孔明と被るんですよねー

さて、本編に入る前に酒見さんの三国志蘊蓄がひとしきりあるわけですが、
確かに三国志は熱い、やばいですね。
案外私の周りでは女性陣ではまってる人が数名いて、その1人にこの本を教えたら
「むっちゃおもろい!」とお気に召してました。
その方は他の作品読んだりドラマ見たりしててかなりはまってる人だったんだけど、
斬新な解釈が面白かったみたいです。

私は、酒見さんのこの作品から三国志に入った人間ですので、もう多分どの三国志を読んでも
「孔明かっこいい」とか絶対思えないし、荒唐無稽な物語を斜に構えて読んではツッコミを
入れるようになってしまいました。あのレッドクリフが爆笑B級映画みたいになってしまい、
何度も笑いをこらえて見てたからなあ・・・。
生粋の「サンゴクシシャン」にはもうなれない!酒見さんのせいです(いや、読む順番間違えただけ)。
既に三国志にはまってる人は、この本で自分のイメージが崩れるのが楽しいんでしょうね、
そういう読み方も羨ましいです。

まあ、そうやって三国志のもろもろを笑い飛ばしつつ酒見流爆笑三国志を作り出すこの小説。
3巻までかかって、満を持して、赤壁の戦いです。
孔明が魯粛をそそのかし、孫権が仕切っている呉に乗り込むところから始まりますが、
孫権一味が広島弁(周瑜除く)のヤクザ風で度肝抜かれます。しかしむっちゃ雰囲気出てる。
そこで孔明は自分ところの劉備軍団はよれよれで役立たずのくせに、何故か上から目線で
呉と対等な立場で同盟しようとして、孫権集団の頭脳派の反論を次々と論破する。
孔明の言ってることはもっともらしいがむちゃくちゃで、その理屈でどうして
納得しちゃうの、という酒見さんのツッコミにもいちいち頷いて笑ってしまう。
そして周瑜と出会ったとたん、周瑜に「あいつ殺す」と決心させてしまう孔明のあやしさも
また面白いです。周瑜も一目でよく見抜いたね孔明のうさんくささ。さすが。

まあこのあたりまででかなりの枚数を使っちゃうわけですが、赤壁の戦いあたりからは
思ったよりさくさく進んだ感じでした。「レッドクリフ」でも思ってたのだけど
孔明が敵から矢を奪う作戦とか「さすが、姑息やわー」ってほれぼれしちゃって笑っちゃうし、
あとは孔明って天気予報しかしていないような・・・って映画でも思ってたけどここでも同じで。
いろいろ胡散臭いことしてるけど、風向き変わるの待ってるだけやん。そして大好きな火攻め・・・!
孔明らしさが存分に発揮できた戦いでしたね。
まあそりゃあこの時代に風向き予測するだけでもえらいんだろうなあとは思うのですが
いちいち壇を作ったりってあたりが何とも胡散臭くてねー

まあ、そうやって赤壁も何とか戦い抜くのですが、そのあとまで話は続きます。
美周郎とまで言われたイケメン参謀の周瑜が、孔明にさんざん虚仮にされてしまうのが
何とも哀れで・・・。ここで描かれていなければずっとイケメンのはずなのに・・・
まあ、ここでもイケメンなのですが、孔明に関してだけは会うたんびに「殺す」と思って
策を練っては失敗する役どころで、なんだか気の毒・・・。そんな周瑜の最期までが描かれます。
戦い抜いて逝った周瑜、最期はそれでもイケメンだったよ、と思いました。

しかし、周瑜を相手にする孔明は、なんだかただの性悪だった気がしてね・・・
今まで姑息だけど憎めないキャラだったのに、今回普通に悪い奴やん、と思った時もありました。
まあ、本当は優れた軍師=深慮遠謀を働かせる食えない人、だったのでしょうから
今までの2作での、恐妻家のかわいらしいイメージからずれていっても仕方がないか。

あとは孔明のマブダチにされてしまって大迷惑の魯粛、それに劉備の婚礼など、
やっぱり笑っちゃうシーンも多いのですが・・・。
前2作は涙出るほど笑って、電車で読むのは危険すぎたのですが、今回の笑いは
電車でこれを読んで怪しげな笑みを浮かべる変な女、というレベルで収まってしまい、
少々残念ではありました。やっぱりいにしえの人々が書いた三国志関連の物語が
このあたりは充実しているだろうから、酒見さんがツッコミまくって好き勝手に解釈する、という
前2作までのスタンスが少し遠慮がちになったのではなかろうか、と勝手に思っています。
いっぱい説があるけど僕はどの説を採ろうかなあ、的な物語作りになっているのが
ちょっと残念。でもそれでも十分面白いし、次回以降も読みますけどね。

新作が出たらその都度読みますが、完結したら文庫で揃えてまた一から読みたいなあ。
それはいつになることやら。その日を楽しみにしています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:34 | category: 作家別・さ行(酒見賢一) |
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