本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「わたしがいなかった街で」柴崎友香 | main | 2012年09月に読んだ本 >>
# 「残穢」小野不由美
残穢
残穢
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2012/07/20
  • 売上ランキング: 2622


小野不由美さんと思われる「私」が受け取った怪談話の手紙。
入居したマンションの和室で、畳が擦れる音がする。帯が床を擦っているような・・・
その手紙をくれたライターの久保さんとともに「私」はそのマンションの謎を調べ始めるが、
マンションの別の部屋、近所の戸建てにも似たような現象が起きているとわかる。
この土地には何かあるのか?時代を遡り、調べた先にでてきたものは・・・・。

同じ小野さんのホラー「屍鬼」が非常に怖かったのできっと今回も怖いだろうと
覚悟を決めて読みました。しかしその覚悟が甘かったことがわかりました。
「屍鬼」もむっちゃ怖いけどそれは「虚構」の怖さであって、自分の生きている場所とは
違う世界で起こっている事件、というある種の安心感はある。映画を見て怖がってる感じ。
この「残穢」は違います。いつ自分に何が起こるのかわからない感じがある。
そもそもこれを読んでしまった私は大丈夫なのか!?出版されちゃって大丈夫なのか?と
思うくらいなのです。

奇しくも、これを読み終わろうかという時間に、家の近くの道路で、救急車やパトカーが
たくさん行き来している音がしていました。あとで聞いたら自転車とバイクの接触事故でした。
偶然に決まっていますが、これを読んでるとそういう偶然も「きた・・・」と背筋を
凍らせる何かに変わってしまいます。そのくらい怖かった。

小野さんが経験したこととして書かれています。小野さんご本人や、綾辻さんと思われるご主人、
更に平山夢明さんとか、実在の人物が登場します。だから自然と、ルポルタージュとか
ノンフィクションとか、そういうものを読んでいると思いこんで読んでしまう。
これが虚構なのか事実なのか、最後までわからない。いや、事実だとしたらこの本の
出版に関わった人は祟られるだろうから、きっと違う。読後、そう思いこむことにしました。

土地にまつわる因縁が、ずっと昔までつながってつながっていきます。
あまり考えたことなかったけど、自分が今住んでいる土地だって、過去にいろいろな人が
住んでいて、何かが起こっていたりするんだろうなあ、と思うと、それだけで怖くなる。
今住んでいる場所の過去なんて知りませんが、そういえば職場の建物を新築したとき
土地を調べたら遺跡が出たとかで騒ぎになったなあとか思い出したりしました。
遺跡・・・お城だったりしたら戦とかあったんだろうか・・・・。

人は土地からは離れられない。だから他人事ではないのです。
そして、死の穢れからも逃れられない。更に、怨みは伝染していく・・・
穢が伝染していく、広がっていく、そんなイメージが眼前に浮かび、
全然違う小説だけど「リング」を思い出しました。ビデオテープを見た者に広がる災い・・
ビデオなら見なければいい、でもそれを媒介するのが人なら、土地なら・・・。
逃れる術はありませんよね。
個々の出来事はそんなには怖くないですけど、何かが綿々とつながっていく感覚が
ものすごく怖かったです。
個々のキャラクターなら貞子の方がそりゃ怖いんですけど、誰、っていう悪役が
いない分、余計怖いってのもあると思う。幾多の人の怨みが積もっていく感じが・・・

このホラーの怖さは、ルポルタージュ風に描かれてること、それが土地にまつわる何かであり、
誰もが関わっているものであること、いずれもが相乗効果になって、
かつてないほどのリアルさを出してることじゃないかなと思います。
自分にふりかかってきそうな何かというか。それが怖い。

小野さんが本当に体調を崩されているとネットではちょっと噂ですが、
本当なのでしょうか。それもまた本当なら相当怖いです。早く元気になって下さいませ。
新作期待しております。
| comments(1) | trackbacks(0) | 20:57 | category: 作家別・あ行(小野不由美) |
コメント
初めまして

>小野さんが本当に体調を崩されているとネットではちょっと噂
そんな噂があるのですね
何ともないとよいのですが…
| gs645 | 2013/01/05 3:47 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/951009
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links