本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「烏に単は似合わない」阿部智里
烏に単は似合わない
烏に単は似合わない
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,418
  • 発売日: 2012/06/24
  • 売上ランキング: 107961


松本清張賞を最年少の20代の女性が受賞した、ってことで、どんな渋い女の子よ、と
思ったけれど本の表紙を見たらきゃぴっとしているし全然渋くない。
松本清張賞ってすごい渋い、いぶし銀のイメージがあったので拍子抜け。
(調べてみると、選考委員も桜庭さんとか石田衣良氏とかだし、あんまり渋くない・・・)
なんだ誤解か?でも松本清張賞よ、この表紙でいいのん?と思いながら読み始めました。

読み始めても違和感は変わらず。少女漫画かラノベですか、って展開。
平安時代のような時代の架空世界を舞台に、国の若宮の正室になるために、春殿、夏殿、
秋殿、冬殿にそれぞれ4つの国の姫が妃候補として逗留し、美貌や琴、裁縫を競ったりしてる。
姫の初恋の相手が美貌の若君だった?的なエピソードも登場し、また夏殿にいるのが
何を考えているのかわからない男勝りの姫だったりして、なんていうか諸々が、
すっごくベタな感じなのです。いかにも少女漫画!的な。
渋いのって八咫烏ってモチーフだけやん。八咫烏って熊野本宮大社の守り神で
古くからいわれのある由緒ある象徴だと思いますが、
ここに登場する人たちは烏に変化する人々であるという設定です。
但し位の高い人は人として生きていくようです。

春殿にいるのはあせびと呼ばれる天然の姫、邪心も野心もなく、姉の代わりに殿に入れられてしまう。
そこで謎の男性に琴をもらったりして音楽の才能を無邪気に発揮したりしてる。
夏殿の姫、浜木綿は男勝り、とても嫁に選んでもらおうなんて思ってなさそうなふてぶてしい態度。
そして秋殿の姫は美貌を持つしっかり者、冬殿の姫は色白だけど芯は誰よりも強い女性。
こういうとき一番手強いのは天然ボケ系の姫だったりするんだよねーとか思いながら
いつのまにか夢中で読んでいた。ベタベタなんだけど話は面白いし先も気になってしまうし
キャラもたっていて魅力的なので、松本清張の存在を忘れて読むと十分楽しめるのです。

しかし事件が起こり、とある姫の悲恋が絡んだりとこれまたベタなんだけどきゅんとする
逸話が挟まれたりするのだけれど、気づいたらいつのまにやら不穏な展開に。
きた、松本清張がきたよ・・・!と思うブラックな展開、大変驚きました。
ふんわりした物語がだんだんブラックになっていって予想外のオチが待っています。

そのオチ自体はなんか伏線が足りない気がする、と私は思ったし、ちょっと急すぎて
納得いかないところもあったんですけど。
なんていうか、本当の悪人ってのは見た目ではわからんというか、無垢な悪意って
絶対あるよなーって思わせるぞっとするものがあって、おおっと思ったりしました。
女の視点から見た新しいタイプの謎解き小説だなあってすごく思いました。
これ女にしか書けないと思う、だから面白いんだよな。

伏線の張り方が不十分な気がしたり、やっぱりちょっとベタすぎたりとかして、
100%面白いって思える本じゃなかったのがちょっと残念でしたが、
私みたいに最初感じた人も、最後まで読んだ方がいい小説だと思います。印象変わりますよ。
浜木綿のさばさばしたキャラが一番好きでした。ラストはそのキャラのおかげで
すがすがしい感じで、胸キュンで良かったです。
恋愛小説と思ったら、これはベタ甘で楽しいと思います。
でも私は最後まで松本清張の顔がちらついてしまったのが良かったのか悪かったのか、でした。
これが日本ファンタジーノベル大賞だったら全然違和感なくて良かったのになー、と、
あとで何となく思いました。

(松本清張でいつまでもひっぱってすみませんでした)
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:40 | category: 作家別・あ行(その他の作家) |
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