本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「宇田川心中」小林恭二
宇田川心中
宇田川心中
  • 発売元: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/03
  • 売上ランキング: 397797


ピースの又吉さんが「第2図書係補佐」で紹介してまして、
時空を超えた恋愛もの的な紹介だったので、何これ知らないけど面白そう、と思って、
でもどうも売ってなさそうだったんだけど、図書館で見かけたので借りてきました。

渋谷の交差点で出会った少年と少女、一目見ただけで惹かれあった二人の姿を描いたあと、
物語は幕末の江戸の道玄坂に飛びます。更に鎌倉時代にまで時代は遡り・・・
道玄坂を巡る時空を超える物語へと進んでいきます。

渋谷の道玄坂って、いろんな物語の舞台になっているような気がします。
ハチ公前から延びる坂みたいですね。何度か通ってると思いますが、通ってる時には
「これが道玄坂かあ」とか意識したことはないんですが(毎回迷子になってますし)。
名前の由来は今回初めて知りました。鎌倉時代の大和田道玄という山賊のアジトだったと
いう伝説から名前がつけられたようです。けっこう物騒ですねえ。
そういう話を読むと、東京って今は大都会だけどずっと山だったんだよなあ、と思って
不思議な気がします。

幕末の時代でははつという17歳の女性が、昭円という僧侶と知り合い、恋に落ちます。
昭円は道玄寺の僧であり、二人の恋は禁じられている。しかし誓いをたてようと
会う約束をする二人だが、待ち合わせ場所に来たのは昭円とそっくりな男、桜丸だった。
はつはさらわれてしまい、はつを助けたい昭円も様々なトラブルに巻き込まれていく。
そして鎌倉時代の大和田道玄の哀しい過去もその物語に絡んでいくのだけど、
いろんな伏線がはられていてそれがきっちりつながっていく様子は、少々できすぎた感じも
あったけどそこは面白かった、んだけど、全体的には個人的にはあまり好みではなかったかなあ。

文体は芝居調というか、会話も多いし台詞がかっていて大変読みやすいんだけど、
ちょっと現代語調すぎて(特に会話が)、軽い印象を受けました。時代をはてなく遡っていく
感じがあまりしなかったのが残念だったかな。それにちょっと受けを狙って寒い会話もあったし・・・
時代ものを読み慣れてる身としては少々物足りなかった。

それに悪役が悪役過ぎたり、画一的過ぎたりするのも気になったかなあ・・・
いろんな伏線が回収されたのはいいんだけど、結局主人公達が取った決断は、
本当にそれでいいの?と、私には少々納得いかなかったしな・・・。
なんか逃げた気がしたんだけどな・・。

いや、それもこれも、私がもうすっかり枯れちゃって、恋をする人の情念とか、
狂おしい感じ、がなんかぴんとこなくなっちゃったことも、原因かもしれません。
恋することって楽しいことばかりじゃない、むしろ苦しいことも多い。
嫉妬に狂ったり、もっと独占したいと思ったり、会えなくてつらかったり・・・
そういう恋する想いが悪い方に転んでしまった怨念が凝縮したような登場人物が
出てきたりして、それにはちょっと胸をつかれたりしていたんだけれど。
そんなつらさをもっと丹念に描いて欲しかったかな、そしたら共感できたかも。
それでも、そんなつらい時があっても、時空を超えて愛を貫こう、って言う二人のすごさが、
より実感できたかもしれないなあ。

分厚いわりに読みやすかったですが、個人的にはちょっと、でした。
又吉さんとは好みが合うと思ったんだけどな。全部合うわけでもないあたりも、面白いところです。
引き続き又吉先生の好みを追いかけてみようと思ってます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:36 | category: 作家別・か行(その他の作家) |
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