本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ほとんど無害」ダグラス・アダムス/安原和見訳
ほとんど無害 (河出文庫)
ほとんど無害 (河出文庫)
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 893
  • 発売日: 2006/08/05
  • 売上ランキング: 75336


今年、少しはまっていた「銀河ヒッチハイクガイド」の第5作目にして完結編。
前作は地球を舞台としたラブストーリーで、このシリーズのパターンである
登場人物が1人1人であっちこっちの星に飛んでいろんな人(?)に会ってえらい目に遭うけど
最後にはみんな出会ったり出会わなかったりする、的なしっちゃかめっちゃかな感じとは
かなり違ったので、第5作目はどうなんだろうと思ったら、少し元に戻ったかな?って感じでした。


でも、常連のゼイフォードはいないし、何より鬱病ロボットマーヴィンが前回で終わりと
いうのが大変残念ではありました。
マーヴィンがいないと正直魅力半減(ワタシ的には)のこのシリーズですが、
今回は冒頭に楽しいロボットが出てきます。フォードにプログラムを変えられ、
何をやっても幸せを感じるロボットになってしまう。
いじめられようが何されようが幸せなのでまるでマゾ。
そのロボットを使って、フォードは「銀河ヒッチハイク・ガイド」を作っている会社に侵入
(自分は社員なのに何故か侵入)するのですが、どうも経営陣が変わっていて、
昔のクレイジーな空気がなくなっていてグレーの色調に。何だこれは、と思っている間に
しっちゃかめっちゃかの逃走劇を繰り広げる羽目に。

その頃(?時空軸はぐちゃぐちゃなので何とも言えませんが)アーサーは、宇宙船で
事故に遭い、最愛のフィンチャーチも行方不明、自分は地球を探して旅を続けますが
地球があるはずの場所に謎の星があったりして、地球にたどり着けない。
どうやら違う並行宇宙にきてしまったようで、地球が存在しなくなってる。
仕方がないので原始的な星に落ち着きサンドイッチ職人になったが・・・。

もう1人、宇宙人ゼイフォードにナンパされたのに宇宙についていかなかった女性、
トリシアが出てきて、彼女は当然地球で生きてる。なのでいろんな並行宇宙が
同時に描かれている状態。すごいスケール。説明もあんまりないし頭は混乱しつつも
お気楽に読めるのはこのシリーズのいいところ。「こんな世界思いついちゃったよ」的な、
SFにありがちな過剰な説明がないので、案外すんなり読めるんだよね。

お気楽というけど、最初からすごい設定なんですよね。地球がいきなりなくなって、
人類がほんの数人になっちゃうっていう凄まじい設定なのにギャグ満載で、
おかげで悲愴さがなくなっちゃってたんだけど、この5作目でやっと、なんだか哀しくなる。
「自分の居場所」について考える登場人物がいるけど、多重宇宙で地球も無限に
存在しちゃうわけだから、ふるさとがなくなって飛ばされてしまったアーサーの哀しみや
居場所探しは普通だったらどれだけつらいのか、それを思い出させる回だったな。
田舎の星でサンドイッチ職人になって(ある時までは)平穏に暮らしていたアーサーは、
なんだかんだで居場所を見つけて幸せそうに見えたなあ。
やっぱり人はただそこに居るだけじゃなく、誰かに必要とされて認められてなんぼなんだろうな、
ってことを思ったりした。

なんて思ってのんきに読んでいたら、すごいラストが待ち受けていて、呆然としました。
今までの明るいノリを考えると、けっこう驚かされます。
でも、ちゃんと伏線は回収されているし、小説的には「あり」な終わり方だと思うし、
あとで思うと、なんだかこのシリーズらしい終わり方かもな、って気になってきました。
うまくいえないけど。なんか、ループして戻った感じというか・・・。
無限の地球にいる無限のアーサーがのんきに生きてるはず、と思えば少し慰められるけど、
どのアーサーも唯一無二なアーサーだと思うと、やっぱり哀しいかな。

どうも「新 銀河ヒッチハイク・ガイド」は出ているようなのですが、
著者はもうお亡くなりで、別の人が書かれているようで、味わいも変わってるだろうし、
私はダグラスさんが好きなので、もう読む気はないですが。
映画も小説も含めて、いい意味ですばらしいB級の世界観を堪能させてもらいました。
ダグラスさん、安らかにお休み下さい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:10 | category: 海外・作家別ア行(ダグラス・アダムス) |
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