本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「居心地の悪い部屋」岸本佐知子訳編
居心地の悪い部屋
居心地の悪い部屋
  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2012/03/27
  • 売上ランキング: 74556


岸本さんセレクトの「居心地の悪い」短編アンソロジー。
「変愛小説集」が好みだったですし、居心地の悪いというタイトルも惹かれるものがありました。
読んでみてずばり当たり。確かに居心地が悪くてすばらしいです。

小説の好みもいろいろあるとは思いますが、すぱっと100%謎が解けてあーすっきり、みたいな
そういうはっきりした終わり方が好きな人には全く向かない短編たちです。
淡々と理不尽な説明つかないことが起こるんだけど、主人公や登場人物の行動は一切説明されず、
謎は謎のまま残り続ける。そんな短編集だからです。
わけのわからない部屋に連れていかれて、何の説明もされず、ぽつんと放置されたような、
そんな読後感。

でも、その置いてけぼり感がたまらんのですよね。
私はもともと、ミステリとかでも謎が残ったり余韻が残ったりして、後に引くような
感じの作品が好きです。100%解決しちゃったら、終わったー、って感じで、
あまり残るものがない気もします(そうじゃないすばらしい作品も当然ありますが)。

だからでしょうか、この短編集はとても好みでした。
わけのわからない話だけど飄々とした雰囲気、が全体に流れてる感じがして、
ただの怖い話やただの変な話でもないんですよね。独特の雰囲気があってそれがまた好き。
同じ人がセレクトすると、むちゃくちゃ選んだようでも、なんだか統一感があって、
こういう本、っていう本の印象がはっきりしてる感じがして、そこもいいと思う。

少し前に読んだので、思い出せる範囲で各短編の感想を。
(と思ったけど、けっこう思い出せました。印象的なものが多かったようです)

「ヘベはジャリを殺す」
密室で二人がいて片方が片方のまぶたを針と糸で縫っている。
しかし二人は淡々と会話している。ものすごい不気味ななか、変なユーモアもあって
強烈でした。最初からぶっとばしてる感じでした。

「チャメトラ」
戦争の兵士二人の物語。最後に夢幻の世界へ飛ばされて途方に暮れるようなお話でした。
死ぬ前によぎる思い出・・。切なかったな。

「あざ」
怖かった。説明のつかない物語ってホラー展開だととにかく怖い。
わけわからない物語でもいろんな意味で明るい雰囲気のものが多いこの短編集ですが、
これはとにかく暗い雰囲気で、湿気が多いというか、印象に残ってます。

「来訪者」
両親が娘の家に向かっているのだけど、道に迷ってしまって、大変な目に遭っている。
それが電話の会話だけで伝えられるものだから、読者にも何が何だかわからない。
電話を受けてる娘も何が何だかわからないけど巻き込まれていく。
岸本さんの訳でよく読むジュディ・バドニッツです。今回ものめり込んで読まされ、
最後にぽーんと放り投げられました。終わってもあれやこれやと想像がうごめき、
面白かったです。

「どう眠った?」
二人が会話で自分の眠りはどんなのか話していく話なのですが、夢の話じゃなくて
「眠り」自体が、何故か建物にたとえられています。いろんな建造物を想像できて
面白かった。それにしても眠り=建物っていうこの発想、どこから出てくるんだろう?

「父、まばたきもせず」
最初の短編「ヘベはジャリを殺す」と同じブライアン・エヴンソンの作品です。
最初のも強烈でしたがこれも強烈。淡々と死に対処する父と母・・・
最初のより怖くて不気味度が増してました。

「分身」
自分の足が取れてまた自分が生えてくる話。本当に短い作品ですが、何とも言えない
余韻がありました。

「潜水夫」
船でトラブルがあって潜水夫に助けてもらう夫婦の話なのですが、
潜水夫の存在が何となく不気味で、じわじわと恐怖に襲われていく感じです。
最後まで何が起こるのか恐れつつ緊張して読む作品でした。肩が凝ります。

「やあ!やってるかい!」
ジョギングで「やあ!やってるかい!」と声をかける男を、彼と出会う人々の
視点で描いています。理不尽な結末ながらも何となく結末が予測できちゃったんですが、
予測できた結末が来ても「だよね、うざいもんね」と思ってしまって、
そう思った自分にぞっとしました。
改行を入れないたたみかけるような文章、訳も雰囲気が出ていていいと思います。

「ささやき」
これが一番面白かったかなあ。自分のいびきを録音しようとしたら女の声が入っている。
これは誰だ?正体を確かめようと策を弄する男の滑稽さと、最後の突き放され感が
とても面白いと思いました。
つい最近、星新一氏の作品を読んでいて似たような短編があり、星さんの味わいかあ、と
少し思いました。でも星さんのは一応理由はわかるんですよね、それなりに。
これはまるで説明がついてないあたりが面白いと思いました。

「ケーキ」
何とも言えない味わいの短編。ケーキ腐っちゃうよね、ってそればっかり気になって
話に集中できてたかは謎です・・・

「喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ」
これは野球好きにはたまらないのではないかなあ。思わず信じてしまいたくなるような
でも絶対ありえないようなありえるような、そんな野球試合における珍現象を
次々に載せていて、小説というよりルポのよう(でも架空だから小説)。
読んだことない面白さを感じました。最後にいい締めだったと思います。
| comments(0) | trackbacks(1) | 22:41 | category: 海外・訳者別(岸本佐知子) |
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びっくりです。こんなに凄いの初めて見ました!!海外サーバなので取締りを逃れられるのですね♪
| Megaporn盗撮ライブラリー | 2012/09/01 10:39 AM |
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