本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「運命の人」山崎豊子
運命の人(一) (文春文庫)運命の人(二) (文春文庫)運命の人〈3〉 (文春文庫)運命の人(四) (文春文庫)


ドラマが始まる前から本は買ってあって、するとドラマが始まってしまい、
キャスト的にもいい感じだったので「こりゃドラマだけ見てもよかったな」と思いつつ、
ドラマを見るのをやめて本を読んだのでした。ドラマのキャスティングのイメージが
読んでる間だぶっちゃってたのですが、違和感なかったので、はまり役だったのだなあと思います。

この物語が事実かどうかは知りませんし、著者も事実を元にしたフィクションです、と書いています。
なので私はこれが事実かどうかはともかく、物語の感想を書きます。事実への感想ではないです。

沖縄返還に揺れているころ、新聞記者の弓成が入手したスクープ。沖縄返還の条件が記された密約。
アメリカ側が支払っていることになっている費用が、実は日本が肩代わりしていたという極秘情報。
スクープだが、ネタ元が明かせずに記事にできない弓成。しかし決定を覆すために
ある決断をしたのだったがそれが問題になり・・・

国民の「知る権利」に真っ向から立ち向かう1〜3巻。山崎さんがこれを書いたのは
もちろん震災前ですが、今読むといろいろと考えさせられます。
原発のこととか私は素人ですけど、その私が見てても「何か隠されている」と思うような
報道の連発。いくら追及しても、のらりくらりと隠されていては何も知ることはできない。
「知る権利」を行使しようにも、私たちは誰にどんな情報をどんな手段で求めれば、
真実を知ることができるんだろう・・・?そんな風に強く思いました。
この頃と今と、何が違うんだろう。何も変わってない、そんな気がします。

国の一大事の密約の存在を巡っての、知る権利を争わなければいけない裁判が、
「男女関係を利用してスクープ記事を取った新聞記者のモラル」の問題に落とされていく
描写にはぞっとしました。そうやって大事なことがすり替えられ、捨てられていくのだな、と
社会の一面を見た気がします。

弓成を巡る女性2人の存在は、同じ女性の立場として読みましたけど、どちらもいなさそうで
いるのかなと思います。三木昭子を見ていると、人間って自分を守るために、自分の記憶を
自分に都合のいい物語に変えて、それを信じ込んでしまうことってあるよね、って思う。
そう信じてしまったら、それはもうその人にとっては嘘ではないんだよね。
三木昭子もそういう心理にはまったのかもしれないよね。ありそうなことだと思う。

妻の由里子の献身は泣かせます。私だったらこの夫、きついな、無理だな、と思うけど、
一旦離婚を考えたり悩んだりしつつ、なんだかんだで支えていくんですよね。
山崎さんの本に出てくる「妻」たちは、夫の冷遇に耐え続ける強い女達で、頭が下がります。

3巻まではそんな感じなんだけど、新聞記者の仕事を断たれた弓成が、絶望して沖縄に着く、
そのあたりで4巻が始まります。この4巻だけ別の話ですか、ってくらい中身が濃くて、
今までの3巻までが序章に思えたくらいでした。

沖縄の返還問題をさんざん言っておいて、3巻までは沖縄そのものは出てこない。
しかし4巻で出てくるのは生身の沖縄です。米軍基地とともに暮らすというのがどういうことか、
戦時中に唯一地上戦があったというのはどういうことだったのか、そんな沖縄の歴史が
弓成の目を通じて私たちに語られます。弓成自身、沖縄の記事で生涯を変えながらも
どこまで沖縄を知っていたのか、と疑問もあったので、沖縄に彼がたどり着いて
やっと物語が終わったような、いや、始まったような気もしました。

そして私が知らなかった沖縄の一面がこれでもかと描かれ、泣かずには読めません。
沖縄は一度、1人でゆっくり行ったことがあります。天候が悪かったので海にはあまり行けず、
ドライブが中心でしたが、ナビで描かれない広大な土地(米軍基地)があり、その隙間を
くぐるように道があり、街がある、そんな印象でした。
ひめゆりの塔は観光地化されていて賑やかでしたが、そのあと現地の人が戦時中に何人も
自決した、という崖に行って、崖の高さに震えました。
そんな景色を思い出しながら読むと、いかにこの土地が犠牲を払ってきたか、
更に考えさせられる思いでした。

そんな沖縄の基地問題も、私たちにいろいろ隠されたままだろうし、日本の最前線で
犠牲を払ったこの土地に対し、今のままではあまりにも誠意がないと思う。
私ができることは本当に少ないけれど、この本をみんな読んでね、って言うだけでも
少しは何か変わればいいなあ、と思います。
偉そうに書いたけど、沖縄については私も知らないことだらけ、これをきっかけに
いろいろ知ることができたらなあ、と思います。
知ろうとしなければ、知る権利も何もないですものね。

4巻こそが真骨頂と思う。ドラマでは最終回2時間スペシャルで描かれたようですが、
もっと派手にやってもよかったんじゃないかしらん、と見てもないのに思いました。
是非最後まで読んで下さい。
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