本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「きみのいもうと」エマニュエル・ボーヴ/渋谷豊訳
きみのいもうと
きみのいもうと
  • 発売元: 白水社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2006/10
  • 売上ランキング: 564184



エマニュエル・ボーヴはフランスの作家。昔の作家だけれど、最近また読まれているらしい。
その人の「ぼくのともだち」が良かったので、これも読んでみました。
「ぼくのともだち」は、自意識過剰すぎてともだちができない男の物語でした。
(ぼくのともだち、と言いながら、ともだちはいないのでした・・・)

私はダメ男の物語は好きだし、自意識過剰すぎてダメになるあたりは、
フランスのアンニュイな森見登美彦みたい(?)で、共感しつつ読んだのですが、
笑えるだけではなくて、人が人とつながれないもどかしさに何か一抹のものがなしさも感じる、
独特の作風で、けっこうはまったのでした。
でもこの作風は、わからない人には全然わからないのじゃないかな、と思います。
で、わからない人は、きっと幸せな人生を送ってるんだろうな、と、そんな気がします。
(皮肉じゃないです、うらやましいです)

で、「きみのいもうと」。タイトルも似てるし主人公のテンションも一緒だったので、
前回の主人公の名前を忘れていた私は続編と思いこんで読んでいました。
ともだちができなかった主人公が、今は女の家に転がり込んでそれなりにいい暮らしをしている・・
そう思って読んでいたら前回の主人公の名前を思いだし、続編じゃないってわかって驚きました。
似たようなテンションの男性を書きつづける作家さんのようでした。

でもバックグラウンドはほぼ前と同じ、収入も乏しく仕事もなくていつも貧しく暮らしていた男が、
裕福な女のツバメ(死語・・・?)になって暮らしていたけれど、そこに友人が、
昔の自分みたいな姿で現れ、そこから話が始まります。
話が、といいましたが物語はほとんどないようなあるような、で、完全に予想がつくもので、
劇的な変化があるわりには、物語が進んだという感じもしなかったくらいです。

主人公がそう語るわけではないんだけど、彼は昔の自分が本来の自分だと思っているのではないかな、
だから昔の自分みたいな惨めな男が目の前に現れてもむげにできないしすごく構ってしまうし
自分を見ているようで、蔑んでるわけでもないけど優しくするわけでもない。
でも、2人の関係は、友達なの?違うよね?ってくらい他人っぽくて、なんで急に
接近してるのかまるでわからない。同じようですごく距離のある二人の男。

そして男のいもうとに主人公が会ってしまって話が動くわけだけど、
彼が彼女に向けた気持ちは同情なのか愛情なのかさげすみなのか?
そして主人公の彼は、暮らしている女を愛していたんだろうか。

なんだか落ち着かずに読んでいたんだけど、登場人物達が全員、誰かといるのを望んでいないような、
一人で生きていくのがしっくりくるような人たち、なんだけど、それをすごく寂しいと
思っている人たち、そんな感じがした。
でも結局、しっくりする方へ、つまり一人でいるほうへ戻っていってしまう人たち・・・

なんだか読み終わってすごく切なくなりました。
自業自得やん、とか、最低、とか、意味わかんない、とか、いろいろ思うこともできると思うけど
私はとにかく哀しかったし切なかった。
みんなもっとうまく生きていけたらいいのにね、と思う。

私も人間関係には昔はすごく不器用だったし、今も少しは器用にふるまえるようになってきたけど、
飲み会とかにいって騒いでいる時とかに、ぽつんと1人になりたい時がある。
だからなのかどうなのかわからないけど、なんかここの人たちの気持ちが、わかった気がした。

ボーヴさんも寂しかったのかな・・・・。また読んでみたいな。
「のけ者」という作品も訳されているようなので、読んでみようと思う。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:10 | category: 海外・作家別ハ行(その他の作家) |
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