本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「バナナ剥きには最適の日々」円城塔
バナナ剥きには最適の日々
バナナ剥きには最適の日々
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2012/04/06
  • 売上ランキング: 154142


芥川賞受賞後第一作目。芥川賞を受賞したし、と思って読んだ人も多いかもしれない。
キャッチコピーには「どちらかというとわかりやすく」って書いていたと思う。
わかりやすい、ってわざわざ書かないといけないってあたりが面白いんだけど、
「どちらかというと」わかりやすいって書いてたのがミソだと思う。
世間から見てわかりやすいかと言えばそうではないけど、
円城さんにしては「どちらかといえば」わかりやすい、って感じの物語たち。
確かにデビュー作とかと比べれば、少しはわかりやすいかな?でも難解でした。

「道化師の蝶」や「これはペンです」とはまた違うSF的なハードなものもあり、
「言葉」に対するこだわりや、「私」とは誰か、何か、とつきつめていく雰囲気も感じられ、
理系なテーマが覆いながらも、文学的、哲学的でもある。文系理系問わない雰囲気を楽しめました。
雰囲気、としか言いようがないけどね。円城さんの頭の中身はまるでわからないし、
理解したとは到底思えないんだが。

「祖母の記録」、「バナナ剥きには最適の日々」、「捧ぐ緑」なんかが
個人的には比較的意味がわかって楽しめました。
「バナナ剥きには最適の日々」は、「はやぶさ」みたいな宇宙を飛んでいくものが
いろいろ思考している、っていう概要を読んでから読んだので理解できたけど、
いきなり読んだら意味不明だったかもしれないな、と思う。
でもそういう存在がいろいろ考えている、っていう発想からして楽しいし、
バナナ星人について想像するくだりとか、超楽しい。次から次へと発想が溢れてくるのが魅力。

「祖母の記録」は最初悪趣味だ、不謹慎だ、と思ったんだけど、
読み終わるとなんだかしんみりしました。こういうランデブーも悪くない気がして。

「捧ぐ緑」はもしかしてこれラブストーリーですか、と一瞬思って楽しくなった。
円城さんが書くとこうなるのか。そして、生物の進化の謎に思いを馳せました。

あとの作品は、わかった、と知ったかぶる気もしないですが、「equal」や「Jail Over」は
雰囲気を堪能しました。前者は美しい水がしたたるイメージ、後者はホラーでした。

確か「墓石に、と彼女は言う」のテーマだった気がしますが、パラレルワールドの世界、
それがね、作品毎に展開する気がするんですよね。短編のページを開く度に、
今この時系列でつながってるのとは違う、まったく新しい次元の世界が読める気がするのです。
そんな説明どこにもないし、短編だから世界の一断片にしかすぎないわけだけど、
違う何かが広がっている、とわくわくします。
その世界のほんのさわりもわからない時もあるけれど、それでもどこか違う場所に
連れてってもらえているという満足感がある。それがまた一つの魅力と思います。

円城さんは芥川賞の記者会見で案外普通の方でびっくりした(びっくりするのも失礼だが)。
大阪におられるし年も近いし、パラレルワールドの別の世界ではお会いしてるかもしれないな。
お会いできたら、普段何を考えているのか、とかいろいろ聞けて、楽しそう。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:55 | category: 作家別・あ行(円城塔) |
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