本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「NOVA2」大森望編
NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2010/07/02
  • 売上ランキング: 162704


第二弾、やっと読めました(もう第7弾まで出てますね・・・)。
ちょっとSFでも読みたいがあまり長編でがっつりはきついなーって時に
つい手が出るアンソロジー。
かなり本格なものからふざけたものまでバリエーションも豊富で、飽きずに楽しめます。
いいシリーズです。

NOVA1では、学校のクラスメイトが集まってわいわい騒いでふざけてる、って
印象が少しあったのですが、NOVA2は大人の異業種交流会でまじめに語ってる印象でした。
集める作家さんのキャラで本の色合いがだいぶ違うのも面白いです。
正直、個人的には1の方がはまりました。私はおふざけ系が好きなんでしょうね。
でも、2には背筋がぞくぞくするような短編もあったし、どちらもよかった。

法月さん、宮部さん、小路さんなど、あまりSFの印象がない人が書いてるのも楽しい。
(宮部さんは「蒲生邸事件」などの傑作SFやファンタジーなんかも書かれてますが、
全部堪能すぎてジャンルのイメージがないです。どっちかというとミステリかな・・・)

さて、1作ずつ感想を。
「かくも無数の悲鳴」神林長平
ベテラン作家さんらしいんですが初読みです。ゴキブリ大量投入でぎゃーってなりました。
パラレルワールドとかの概念が出てくると何度でも生き直せるような幻想を持ちがちですが、
一度きりの人生にこだわるあたりがハードボイルドで良かったです。

小路幸也「レンズマンの子供」
「東京バンドワゴン」のイメージが強いのでSFも書かれるとは驚きです。
これはでも、ノスタルジックな空気が流れる素敵な短編で、ある意味イメージ通りかも。
秘密基地に明かりが差して、舞う埃がきらきら輝くような、そんな光景を浮かべながら読みました。

法月綸太郎「バベルの牢獄」
鏡のような相棒を持つ男の思考が閉じこめられた。脱出はできるのか?
これ、意味は何となくわかったんだけど笑いどころがわからんかったんだよなー
きっとわかるとすごく笑えるような気がするんだよなー。
きっと面白いんだと思う。ついていけなくて残念でした。

倉田タカシ「夕陽にゆうくりなき声満ちて風」
眺める分には面白かったし、綺麗だなと思った。けど読めなかったよ・・・。
小説ですか・・・?前衛的・・・。

恩田陸「東京の日記」
読み終わって発行年を見ました。2010年。あの震災前にこれを書いたのかと思うと
背筋がぞっとする感じがしました。
物語自体は、外国人が震災後の東京で和菓子をたしなみのんびり過ごしているのだけど、
震災後の戒厳令が東京をむしばんでいく、という話です。
いつのまにか何か強力な脅威がじわじわと迫ってくる感覚と、美味しそうな和菓子との
ギャップが印象深い作品。横書きって読みづらい、と最初思ってたけど読み続けるうち慣れて、
横書きも悪くないと思うようになりました。何よりこの話の雰囲気に合ってる。
NOVAだといろいろ実験的なこともできるんだろうな、作家さんも楽しそう、と思いました。

田辺青蛙「てのひら宇宙譚」
円城塔さんの奥様ですよね。普段どんな会話されてるんだろう・・・
それはともかく、超短いショートショート(たった1ページとかある)でも
ちゃんとにやりとできて面白い。新たな感覚で読み終わりました。
「人面蒼」には笑っちゃった。

曽根圭介「衝突」
地球に何かが衝突することがわかっている世界で「私」があちこちで活躍する・・
「私」は同一人物なのか違うのか?その謎が解けるまでぞくぞくと読みました。
ラストの無情さは半端なかったな。曽根さんは初めて読みましたが、面白かったです。

東浩紀「クリュセの魚」
曽根さんに続き火星ものでした。クリュセって火星の地名?なんですね。
地球人が火星に移住し始めて200年経った頃の世界が舞台。
少年が少女と出会い、恋に落ちる。初恋の爽やかさや寂しさ、甘酸っぱさに満ちていました。
でもそこに、火星と地球との緊迫した関係が絡み、ただの恋愛ものでは当然ないです。
これは先が気になる作品だなあ、長編の序章だって大森さんが書いてるし、続きを読まないと、
と思っていたら続編がNOVA3にあるようで、楽しみです。
まとめて読みたい作品ですね。

新城カズマ「マトリカレント」
最初ちょっと意味わかんないと思ったんだけどだんだんわかってくると、
これはなかなか面白い世界だなと思いました。海で生きる人々の長い長い物語。
「華竜の宮」を思い出しました。
文章がちょっと装飾過多な気がして、読みづらくて好みではなかったかも。

津原泰水「五色の舟」
津原さんの傑作短編集「11」でオープニングを飾っていたこの短編、
他の作家さんもいるアンソロジーで読むとまた違いますね。
文章のうまさが際だってました。うまいし端正だし読みやすいのに、誰にも書けないような
妖艶で凝った文章。改めてうなりました。
内容については「11」時点でとっくに衝撃を受けていたのですが、
二度目を読むとより強い家族愛を感じて、何度読んでもすばらしいなと思いました。

宮部みゆき「聖痕」
宮部さんの現代物はいつからか少し苦手意識があって。読んだら面白いんだけれど
なんか宮部さんの言う「正義」の概念にたまに違和感があるというか・・・。
だったので、この作品も特に期待せず「断然読みやすい、けどくどい。」程度の仮想で
だらだら読んでいたのだけれど、読み終わると、背筋がぞくっと寒くなりました。
今回の宮部さんが言いたいことも、受け入れられるかどうかはわかんないんだけど、
物語としてすごく力があるというか、迫ってくる何かがありました。うまくいえないけど。
宮部さんはやっぱりすごいなと思いました。
そして、ネット社会って怖いなと思いました。
・・・っていうかこれってSF?普通に現実的とちがうかな、と思うと余計怖いです。

西崎憲「行列」
ラスト、ゆるゆると何も考えず読みました。眠くなって、読み終わると寝ました。
オムニバスのエンドロールにふさわしい読み物だと思いました。
西崎さんも気になる作家さんなので、大森さんの経歴紹介が大変役立ちました。
翻訳家、小説家、そして昔はおにゃん子クラブの曲、作曲してたって・・・多彩すぎる・・・。
「世界の果ての庭」「蕃東国年代記」など、他の小説も気になっています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:52 | category: アンソロジー(大森望編) |
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