本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)
  • 発売元: 富士見書房
  • 発売日: 2004/11
  • 売上ランキング: 148258


今は角川から大人向けの文庫が出ていますが、私は富士見ミステリー文庫で読みました。
表紙もこんな感じだし、カラーのイラストとか挿絵とか入っていて、昔コバルト文庫を
読みあさっていた頃を思い出して、ちょっとこそばゆくなりました。
しかし私が中学の頃にはここまでブラックなものは読んでいなかった・・・。
ほんわかした挿絵に反して、物語は残酷でした。

1ページ目で、残酷な現実が知らされてから、本編に入ります。
なので読者は、主人公海野藻屑の未来を知っているのです。この少女に何があったのか、
そう思いながら読むことになります。その手法、大人の私には非常にうまいなと思いました。
何故かというとやっぱり最初のノリはライトノベル風だったから。
中学にやってきた転校生の藻屑はすごい名前だし、「自分は人魚だ」と言い張る子だし
すごい変人だけどすごい美人、親は有名人っていう設定で、なんかちょっとそのノリに
最初はついてけない感じがしたので。あの導入部がなかったら熱心に読めたかどうかは微妙でした。

でも読んでいくうちに、導入部は関係なく、いつのまにかのめりこんでました。
自分を「人魚」と言い張る藻屑はどうしてそういう子になったのか、わかっていくうちに。
藻屑と父との歪んだ愛情がわかってくるうちに。

主人公は藻屑ではなく親友の山田なぎさなのですが、藻屑に興味がないからという理由で
藻屑に興味を示されます。山田なぎさは父を亡くし、母と兄と暮らしていますが、兄が引きこもり、
兄の面倒を見ています。兄が現実とは違う世界で生きているので、なぎさは「実弾」を求めて、
自衛隊に入ろうと思ってます。すぐに稼げるから。
そんな状態でも美しいお兄さんは大好き。でも自分が彼を「飼育」しているという実感はあって、
その愛情はまっすぐでもあり、歪んでいる気もします。
まだ13歳なのに、現実的にならざるを得ない少女の葛藤が痛いほど身にしみます。

そんななぎさだから、藻屑とも親友になれた。同類だから。
13歳の少女は、家族から逃げる術を持ちません。
どんな親であろうがどんな環境であろうが逃げられない。
だからなぎさは現実を見つめて戦おうとし、藻屑は「砂糖菓子の弾丸」で身を守ろうとします。
この「砂糖菓子」という喩えがすごいというか、すごく腑に落ちるんですよね。
主食じゃない甘いお菓子、と、藻屑が自らを人魚と称して、想像力で武装しているあたりが、
すごくリンクしてて切ない。そして、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない、のです・・・
最後の方は胸が詰まりそうでした。
全く救いのない最後でしたが、なぎさはずっと藻屑を忘れないだろう、そう思えることだけが救い。

少女時代のどうしようもない閉塞感がすごく迫ってきました。
でも、砂糖菓子が武器でも「実弾」(なぎさが言うところの「現実」)が武器でも何でもいいから、
とにかく大人になって欲しかった。大人になれば、家族というどうしようもないしがらみからは、
抜けられるときもある。少女の頃よりはある意味楽になれるはずだ、と、大人の私は思うから。
大人になる寂しさもあるけれど、それでも、世界中の少女が、ちゃんと大人になって欲しいなと思った。
そういう切実さがこの小説にはあった。きつかったな・・・

「私の男」「ファミリーポートレイト」を読んだあとでこれを読むと、
この作品に桜庭さんの原点がぎゅっと詰まっているのがわかる。
家族のどうしようもない絆。どうしようもないからこそ残酷だし、でもとても大事なもの。
それを徹底的に見つめて、角度を変えて描き続けているような気がする。
桜庭さん、ツイッターだと、カレーが大好きで今はかわいらしい犬と穏やかに暮らしていて
すごく癒し系でほのぼのしてるんだけど、中にすごく熱いものを持っておられて、
それがまた魅力だなと思いました。原点を読んだので、新作が余計楽しみになりました。
| comments(2) | trackbacks(0) | 22:05 | category: 作家別・さ行(桜庭一樹) |
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