本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「新解さんの読み方」「新解さんリターンズ」夏石鈴子
新解さんの読み方 (角川文庫)新解さんリターンズ (角川文庫)


三浦しをんさんの「舟を編む」(辞書を作る人々のお話)を読んでいたら、
新解さんの話題が出てきていた。新解さんとは、「新明解国語辞典」のこと。
「舟を編む」を読んで、当たり前のことだけど辞書作りの「中の人」がいることに気づき
(当たり前のことなのにそれまで気にしたこともなかった、すいません)、
だからこそ辞書にも「個性」があることにやっと気づく。
言葉の定義って、数学と違って一つの答えじゃないんだよねー。同じ言葉でも、
人によってどう説明するかは違ってくるはず。そう思うと辞書って俄然面白い。
どうやら個性が強いらしい新解さんが、どんな人(?)なのか、この本を読んで知りたくなって
手に取ってみました。

新解さんが面白い、という話は、赤瀬川原平氏の「新解さんの謎」という本が火付け役のようですが、
この「新解さんの謎」を作りたいと奔走した編集者が鈴木マキコさん=夏石鈴子さんでした。
夏石さんの新解さんに向けての愛情は並々ならぬものがあります。
とにかくすごい読み込んでます。辞書を読み物として認識してなかった私は、
それだけで目から鱗でしたが、読んでみたら、新解さんはなるほど確かに面白い。
やたらお役人に厳しかったり、「それって個人的意見とちゃいますか」って
思うことも平気で書いてあったり、例文が物語っぽかったり、本当だ、人間くさい。

個人的には厳しいのが目につきました。しょんぼりしました。例えば「凡人」。
「自らを高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、
他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人」

「凡人」の解釈って、私は違ったんですけどね・・。いくら努力したって、
結局凡人で終わる人って普通にいると思うんですよね、と凡人の私は思うんだけど、
新解さんにかかるとそんなのただの言い訳。その代わり、努力や功名心があったら
誰でも凡人から抜け出せそうな語彙になってるのが希望が持てて嬉しいかもしれない。
なんか、そんな風に、厳しいけれど応援してくれる新解さんなのでした。

そんな新解さんの解釈に対する、夏石さんの分析もツッコミも面白く読みました。
辞書ってツッコミながら読むものなんだなあ、とちょっと勘違いしそうです。
まあ、夏石さんはでも、ちょっと新解さんの女性ネタには少し激しく反応するかな、って
印象があって、気になりましたけど、それはそれで人間らしくてよいと思います。

辞書は1回できあがったら完成ではない、そこから延々と改訂作業が繰り返されます。
夏石さんは新解さんの変化にも注目しました。「新解さんの読み方」では5版まで、
「新解さんリターンズ」では6版が出た後の出版になりますが、特にリターンズでは
新しくなった6版がどう変化したのかが特集されてます。
新しく載った言葉、消えた言葉、をせっせと拾い出す夏石さんの努力には敬服しますが、
その作業のおかげで、言葉の歴史を垣間見ることができました。言葉も進化するんだなあ。
時が経つと言葉も変わっていく。カタカナ言葉が増えたり、メジャーじゃなかった言葉が
認知されたり、また、「死語」と言われるような言葉が消えたり、古語が消えたりします。
消えてしまった言葉もここには載ってます。
夏石さんと一緒に、言葉よ、今までありがとう、と言いたくなりました。

さて、今は新解さんは第7版になっているはずですが、夏石さんは今頃嬉々として
6版との違いを読んでいるところなんでしょうか。続きも楽しみにしています。

ここまで読んで新解さんの魅力にとりつかれた私は、もう1冊買いました。
「うめ版 新明解国語辞典×梅佳代」
うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

見開きに写真と新解さんの解説が載っているという本で、その写真と新解さんの書く記事が
絶妙に合ってて、くすくす笑いながら、しんみりしながら眺めました。オススメです。
(この表紙の写真は「ライバル」の解説なんですよ。いい感じ)

そんなにとりつかれても肝腎の新解さんを買っていない私ではありますが、
(家に古い広辞苑があります・・。広辞苑1冊あれば一生いけるって本気で思ってました。
私はあほです。辞書も買い換えないとダメですね)
新解さん、スマホのアプリにもなってるようなので、それを買おうかなと悩んでいます。
だってポケットに新解さん、素敵じゃないですかねえ?いつでも読めるんですよ!
でも新解さんからしたら、やっぱり本を買ってめくりながら辞書を引いて、紙のぬめりを
感じて欲しい、って思ってるんだろうな、って気がするので、迷っているところです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:45 | category: 作家別・な行(その他の作家) |
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