本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ラブレス」桜木紫乃
ラブレス
ラブレス
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2011/08
  • 売上ランキング: 120679


「ラブレス」桜木紫乃。著者名とタイトル、そしてこの表紙。
そこからイメージする「なんとなくケータイ小説っぽい」チャラさからは想像もつかない、
哀しい女性の生涯を描いた、しんみりする物語でした。
よく考えたら「紫乃」さんって名前、別にチャラくないんですけどね。
(ご本人も私よりだいぶ年上の、落ち着いた雰囲気の美しい方のようです)
このタイトルと装丁とセットになるとなんか軽くなっちゃうの不思議ですよね。
なんか損している感じがするので、文庫化するならタイトルはこれでいいですけど
装丁は雪景色とか川のある景色とかそんなのにして欲しいです・・・
もっと地味で渋い印象の物語でしたので。
今回直木賞候補になったので読みましたが、正直言うと、本屋では素通りしたんですよね、
この表紙・・・・もったいなかったなあ。


酒乱の父の元で育ち、歌が大好きなのに、貧乏で学校に行けず、
バスガイドの夢を捨てざるを得なかった少女、百合江。
ある日、芝居の一団に飛び込んで町を出て、さまよう人生を送りはじめる・・・
その百合江の人生と、百合江の晩年とで視点が入れ替わり、百合江の娘である理恵と、
百合江の妹里実、その娘小夜子の人生模様も絡めて描かれる小説です。

百合江の不幸っぷりはすごいものがあります。父親は酒乱だし奉公先でもひどい目に遭うし
芝居の一団でやっと歌を歌えて幸せになれるかと思ったけどやはりそうはならない、
そのあと何度も訪れる幸せの機会がことごとく不幸な方向へ流れていく。
結婚しても借金のかたに働かされたりしてるのですが、ほんまこの夫はひどいわ。
それでも百合江は、その場その場でたくましく生きていきます。
旅芸人を続けた何年間かで培われた、流れ流れゆく根無し草の性分が強さを培っている。
そして作中では旅芸人仲間の宗太郎が柳のようなしなやかさだとたとえられるんだけど、
私は百合江もそうだと思います。折れない、めげない、そして今を生きる。
彼女みたいな目には遭いたくないけれど、彼女のたくましさがうらやましく思いました。
とにかく「今」を懸命に生きる、そのたくましさが素敵なのです。

対照的に里実は、離れて暮らしていたのに酒乱の父がいる家に引き取られてから、
こちらも波乱の人生ではあるけれど、一つところで根を張って自分の社会を作っていってる。
性格も対照的な姉妹が描かれることで、重層的な物語になってるんだと思う。
それに姉妹の娘たちも対照的。里実の娘、小夜子は40代にして不倫相手の子を妊娠し、
彼女が百合江の人生を辿りながら自らの人生を思うところも描かれていきます。
そして百合江の娘、理恵。母とわかり合えなかった理恵も、百合江の人生を通して
何かを思っていく。この二人(もう若いとも言えませんが)の変化も読みどころです。
そして百合江と里実の母についても、酒乱の夫に苦労させられ無気力になる人生、
その三世代の女の人生がいつしかつながっていき、脈々と続く血の流れを感じた時に
なんだかふっと泣きたくなるような、そんな物語なのでした。

そして最後にいろいろな伏線がつながって、百合江が晩年何を思っていたかがわかる章、
やっぱり涙が出てしまいました。百合江はどんな思いで日々を過ごしていたのか・・・。
でも百合江はきっと幸せに思っていたんじゃないかな、思いどおりにならない人生だったけど
最後は幸せだったんじゃないかな、そう思いたいようなラストが、とても良かった。

「ラブレス」ってタイトルですけど、愛がないようには思えなかった。
男性への愛、子を思う愛、歌への愛、師匠への愛、・・・百合江の人生は愛に溢れている。
百合江が与えるばかりだったかもしれない、届いてもいない愛もあるし、
そういう意味では百合江は客観的に見れば不幸かもしれないけど、
一人の人と結婚して平穏に過ごす幸せとは違う幸せを、百合江は感じていたと思う。

女性として、読んで良かったと思います。
| comments(0) | trackbacks(2) | 00:01 | category: 作家別・さ行(その他の作家) |
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