本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「SOSの猿」伊坂幸太郎
SOSの猿
SOSの猿
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2009/11/26
  • 発売日: 2009/11/26
  • 売上ランキング: 34597



伊坂さんと多ジャンルの方とのコラボはいつも楽しみにしています。
映画監督の山下敦弘さんとのコラボとか、斉藤和義さんとのコラボとか。
今回は漫画家の五十嵐大介さんとコラボしています。五十嵐さんが「SARU」(全2巻)、
伊坂さんがこの「SOSの猿」。

SARU 上 (IKKI COMIX)SARU 下 (IKKI COMIX)

このコラボ、最高傑作かと思います。コラボ具合が。他のももちろん好きですけど。
絶妙な絡み具合なんですよね。まるで違う話なんだけどつながってて、でも違ってて、
世界がいい感じでつながってます。どちらかを読んだ後にどちらかを読むと、
より想像力がかきたてられるというか、一つだけ読んだだけでは闇に包まれていた世界が
見えてくる感じです。お互いがお互いをフォローしつつ、どちらも個性を発揮している。
五十嵐大介さんはこれを読みまで残念ながら知らなかったのですが、絵柄がとても美しくて、
雰囲気があって、簡潔な線でその場の空気まで表現しちゃうようなすごい絵です。
今回は少しグロいシーンもありましたが全体的に美しくて、とても好きでした。

どちらも読もうかなという人は、「SARU」が先の方がいいんじゃないかな、と思います。
私は「SOSの猿」から読んで、それでも十分面白いんだけど、「SARU」を読んでから
「SOSの猿」に戻ってぱらぱらとページを繰って再読したので、先の方がいいような気が。
まあどっちでも楽しいので、「SOSの猿」を読んでいて「コラボしてるの知らなかったー」って人は
是非「SARU」も読んでみて下さいね。
正直に言ってしまうと、小説だけ読んだ時は「まあまあかなあ。」だった感想が、
漫画も読むと「小説も漫画もどっちも面白かった!」に変わりました。私は。
本だけだと伝わらない何かがあると思う。何かはよくわからんけど。

さて、小説の方の感想。
イタリアでエクソシストについていって悪魔払いを習ってきた青年の遠藤二郎という
異色の主人公が、もうおばさんになってしまった憧れの辺見のお姉さん、に頼まれて、
引きこもりの息子の悪魔払いをしなきゃいけなくなった、その物語と、
五十嵐真というくそまじめなシステム調査係の五十嵐が遭遇する株システムのトラブル、
それが交互に描かれていくのですが、語り手は「僕」と「猿」。僕は遠藤なんだけど
猿の正体はわかりません。五十嵐真の言動を猿が語り続けていくんだけど、「続きは次回」とか
言われたり、連続ドラマみたいになってます。そして怪奇現象が起こったりしますが
それは全部孫悟空がらみ・・・。

この不思議な語りに慣れるまでだいぶかかりましたが、何故こんな語りがなされるのか、
孫悟空って何だ、といった謎が、五十嵐真の語りになって解消していきます。
伏線が回収されていく様子は伊坂さん本領発揮、って感じで、
五十嵐真の章から私は一気に面白くなりました。全部は解消されてない気もするけど気にしない。
段ボールのエピソードとか、すごい伊坂さんっぽい。

そして回収されていない伏線は一部「SARU」でわかります。
「SARU」も読むと、伊坂さんの台詞遊びが冴えているのがよくわかる。面白い。
でも余計わからなくなることもあるんだけどね。辺見のおねえさんのこととかさ・・・
そういうもやっと感も含め、コラボもとても楽しみました。

五十嵐さんの遭遇した「ちょっとした打ち間違いで300億円損失」の話には震えた。
こんな損失出しちゃったら怖いよね・・・・こうなったら「ただの打ち間違い」で済まないよね・・・
でも打ち間違いの原因を突き詰める五十嵐さんがいたからこそこの話も解決するわけですから。

遠藤二郎君も、誰かを助けたい、って欲求が人より遙かに強い。だからこそエクソシストに
弟子入りしたりするし、救急車の音が鳴っているだけでそわそわしたりもする。
その、誰かを助けたいって言う切実さ繰り広げるドラマは、なんだかすごく暖かさがあった。
そりゃさ、誰でも何でも助けられるわけじゃない、病気の人は私が面倒を見るより
病院に行くべきだし、悪魔が憑いている人には私は太刀打ちできない。
遠藤二郎もそれはわかってるんだろうけど、誰かをとにかく助けたいっていう気持ちが、
悪い気持ちのはずがないんだよね。その気持ちのパワーがすごく伝わって、
私も誰かを助けられたらいいなあ、そう思えるような、あったかい物語でした。
| comments(1) | trackbacks(0) | 23:59 | category: 作家別・あ行(伊坂幸太郎) |
コメント
どちらの作品もそれぞれの個性が発揮されてますね。SARUは映画みたいな展開で、迫力があって、あっという間に五十嵐さんファンになりました。

SOSの猿は正直、前半とばしぎみで読んでました。
伊坂さんは、人に寄り添うような小説を書きたいというようなことをおっしゃってたので、そういった意味でも傑作ですね
40までは悩んでようって思えましたから

また、心地よい若干の突き放された感が、この作品の特徴だと感じてます

伊坂さんがそんなにコラボされてるとは
和義さんともコラボされてるとは!
知らなかったので、SOSの猿を再読する前に検索してみます。
いい情報ありがとうございます。

気になるのは、イーサン・カコータ・ロウばりに伊坂さんがハンサムなんでしょうかどうか。

have a nice day!
| 二十歳になったばっかのものでござる | 2013/03/10 11:19 AM |

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