本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「コッペリア」加納朋子
コッペリア (講談社文庫)
コッペリア (講談社文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 660
  • 発売日: 2006/07/12
  • 売上ランキング: 23144



突然ですが、我が家には積読本が800冊弱あります。自慢にもなりませんが。
先日大々的に整理して在庫を確認して、スマホのアプリに入力するという、
気も遠くなるような作業をしたのですが、その時に、あまたある本の中から、
この本が呼んでいたのでした。「あ、コッペリア読もう。」と思いこんだら止まらなくなり、
早速手にとってみたのでした。
人形に呼ばれたのでしょうか・・・。それにしても、加納朋子さんは久しぶりに読みます。


見る人を惹きつけずにはいられない、まゆらドールを巡るミステリーです。
人形って、精巧に作られているものほど、妖しげな雰囲気になるものですが、
このミステリーも、いつもは温かい雰囲気の加納さんの作品と比べると、妖しげな、
不穏な空気が漂っています。人形のせいかもしれません。

まゆらという女が作る精巧な人形を一目見て、忘れられなくなった青年。
そして、小さな劇団で女優をしている美しい女性、聖。聖の顔は、その人形にそっくりだった・・
聖にはパトロンがいたが、ストーカーにつきまとわれ、やがて・・・
聖と青年の交互の視点で描かれ、徐々に物語の全貌が明らかになっていきます。

人間そっくりの人形ってだけですごく妖しいし、まゆら人形の描写を見ていると
ものすごく精巧で美しく、見る者を惹きつけて放さないんだろうなあ、って
思わせるものがあります。私も見てみたい、とすごく思いました。虜になってしまうかもだけど。

それに、出てくる人たちもみんな複雑な過去を抱えていて、一筋縄ではいかない。
親につけられた聖子と言う本名が大嫌いな聖、そして青年も壮絶な過去がトラウマになっていた・・・
そしてまゆらという女も強烈な個性を放つ。そんな人たちと妖しい人形が関わり、
何も起こらないはずがありません。

さて、いつもだったら最後にわかるようなトリックが中盤でわかります。
わかった時点では「これってちょっと反則だよなあ」って思います。無理があるっていうか。
なんかトリックのためだけに登場人物が動いているような違和感を覚えたのですが、
それでもその後の物語を読み進むうち、妖しいミステリだと思っていた物語が、
終盤になって爽やかな恋愛小説のように変わったのには驚かされました。
恋愛目線で見ると、登場人物の言動は違和感が無く、むしろ素直になれない人たちが
不器用な恋をしている姿なのだな、と思って、ほほえましくすら感じました。

トリックが最後にわかるとそれがよほど鮮やかなものでない限り、
後味の悪い騙された感も残るものですが、後日談がちゃんとあると、トリックも許せるし
爽やかに読み終われるものですね。いい展開だと思いました。

しばらくは加納さんらしくない雰囲気で進む物語ですが、最後まで読むと、
やっぱり加納さんだなあ、と思わせる温かい空気が流れてきて、作家さんの持ち味って
なかなか消えないもんだなあ、でもそれがいいんだよなあ、と思いました。
ミステリとしても恋愛ものとしても一気読みでした。面白かったです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:55 | category: 作家別・か行(加納朋子) |
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