本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙」河北新報社
河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,400
  • 発売日: 2011/10/27
  • 売上ランキング: 1134


3月11日、東日本大震災。この日からの地元新聞の戦いを記録したノンフィクション。

創業以来休刊日以外に休んだことがない新聞、でも3月12日朝刊は厳しかった。
サーバが倒れて機能しない。でも、他の新潟の新聞社の助けで乗り切ることができる。
中越地震を教訓に試行錯誤していたという新聞社同士の連携が実った瞬間に
同業者の絆ってすごいなあ、と驚かされたし、紙面作りがかなりコンピューターに
依存してるんだ、とか、知らない業界の仕事ぶりも堪能しつつ読んだ。
記者だけでなく、紙面のレイアウト係、そして運送する人、販売店、
様々な人の手をリレーされて新聞は届けられるんだな、って当たり前のことに
改めて気づき、感謝させられました。
何より凄いと思ったのは、あれだけの災害で新聞社も被災してて、記者達も
それぞれの家族が心配だったり家が倒壊してたり諸々の不安を抱えながら、
全員が新聞作りをやめようとしなかった、一丸となってたこと。凄い。
私だったら家に帰ってる。仕事ができる自信がない。河北新報では、
非番の人まで出てきたりして、全員で働いていた。彼らの職業意識の高さに敬服する。
自分って適当だなあってすごく思った。

福島の原発の事故で、会社が逃げるように言って(経営者としては当然だと私は思う)、
一旦福島を離れたけど、また福島に戻ってきた記者たちがいたこと、彼らが少しでも
福島を離れてしまったことをずっと悔やんでいること、そんなことを読むと、
本当にすごいと思う。私が同じ立場だったらどうだったろう、ここまで思えるだろうか、
できるだろうか。特に女性記者が悩んで出した結論には胸が詰まった。
逃げたって普通だと思うのに戻ってきたのに、一瞬でも逃げた自分が許せない・・・
記者って普段は命がけの仕事とまでは言えないのに、命を賭けないと仕事ができない
状況に陥ること自体大変なことだけど、そこで戻ってくる決断や後悔をするというのは、
普段から本当に懸命に仕事をしてるんだろうな、とすごく思わされた。

航空写真で「SOS」の写真を撮ったけど助けられずに悩む写真担当の人など、
報道って何だろう、いや報道にかかわらず、仕事をするって何だろう、と
真摯に考えさせられる本だった。私にとって。
特別なことではない。彼らだけのことではない。日本は地震国だし、私の足下だって
いつ揺れるかわからない。私はどれだけのことができるだろうか。仕事に対して、社会に対して。
すごく考えて反省をさせられる本でした。

私のような、被災地から離れている者は、被災地の様子を報道で知るしかない。
報道が偏っていたり誇張されていたりしても、それを確かめる術はない。
「死者」という表現を避け「犠牲者」としたり、津波の瞬間を写したスクープ写真を
遺族の思いを考えて掲載しなかった、被災者の立場にたった河北新報の報道であれば、
信頼できる気がした。
現場に行けていない私が知る手段は報道しかないのだし、被害状況や何が必要とされているかなど、
伝えることには絶対に意味があると思う。
記者は自問自答しつつ続けていたけれど、とても大事な仕事だから誇りを持って欲しい。
そう思いました。

被災地のためにやれることはないかずっと考えてたけど、何もできなかった。
毛布の寄付もできなかったし、迷い犬を預かろうと思ったけどそれもできなかった、
被災地に行く時間もなかった、結局寄付くらいしかできなかった。
この時期に何もできなかった自分にはずっと後悔すると思うけれど、
これからも報道を見て、何かできることがあれば少しでも力になりたい。
そう思って、心を新たにしました。そして、自分の仕事をちゃんとやろうと思いました。
読んで良かったです。

そうそう、おにぎり班のお仕事の大変さには敬意を送りたい。食べ物は大事。
身近な話題だけに苦労がしのばれた。そしておにぎり通信にはなんか和みました。
男女問わず全員が戦っている、そんな様子がわかりました。いい会社だなあ、河北新報。

それから、もうひとつ気になったんだけど、
私も刊行されてからかなり経ってから読んだので人のこと言えないのですが、
この本がもう既に図書館で予約も入らずいつでも借りられることに少し驚きました。
地元ではないからなのか・・・・。
地元だと、まだつらくて読めない人もいるんじゃないかなとは思いますが。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:13 | category: 作家別・か行(その他の作家) |
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