本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「舟を編む」三浦しをん
舟を編む
舟を編む
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2011/09/17
  • 売上ランキング: 123



玄武書房の営業部でくすぶっていたまじめ(馬締)君は、辞書への才能を見込まれて
辞書編集部に異動となり、新たな辞書「大渡海」の編纂を担うことになる。
個性的なメンバーに囲まれて、さて辞書は完成するのか。
そして下宿で出会った美しい女性との恋の行方は・・・。

キノベス1位おめでとうございます。個人的にはキノベスのランキングって
とても参考になるランキングなので、そこで1位とは嬉しい限りですね。
だって面白かったもの、これ。すごく。


辞書ってどれもそんなに変わらないと思っていました。でも違うんですね。
辞書を作る人たちの方向性や思いで辞書は変化する。そんな当たり前のことに気づいてなかった。
これを読んでると、辞書の編纂者の言葉に対する情熱に心打たれます。
テレビ見るときにもメモを離さず、聞き慣れない言葉や言葉の使い方があったら激しく反応する。
一つの言葉についてどう説明すればいいか突き詰める。(よく考えると、
言葉を言葉で説明するというのは大変難しいですね。説明に利用した「言葉」も、
また別の場所で説明されている。そう思うとぐるぐるしてめまいがします)
そして辞書の紙の質にもこだわる。手に吸い付く感じを紙の「ぬめり」と言ってて
なるほどその語感わかるわかる、と思いました。そうかあ、紙も大事だよなあ。
そういう大変な作業をやってしまう辞書編纂の人たちって、正直変です、でも凄いです。
そんな人たちが集まっているこの小説はとても魅力的。

主人公はまじめ君、というよりは、辞書編纂に関わる人々がリレーのように語り手になります。
まじめ君だけでは見えなかったことがいろいろ見えてくるのがすごくうまいし、面白い。
特にまじめ君の相棒、営業活動にいそしむ口の達者な西岡氏が、私は好きでした。
辞書編集の才能を持つ変人まじめ君と自分を比較してしまい、自分は辞書編集には
夢中になれない、夢中になって仕事をしたことがない、そんな悩みを持つ西岡氏。
彼の葛藤はよくわかりました。私も仕事が好きでやってるわけではないから、
まじめくんみたいな、天職、とまで言わなくても好きなことを仕事にできている人は
本当にうらやましいと思う。
でも、西岡氏も、自分の持ち味を生かして仕事に奔走します。
できることを前向きにやる。だれにだって居場所はある。
仕事をするってことの醍醐味を、教えてもらった気がして、背筋がピンと伸びました。
そういう物語でした。

辞書編纂にはいろんな横やりが入って、結局すごい年数がかかってしまいます。
あとから入った新人さんの視点で読むとそれがよくわかる。大変な作業なんだなあ。
言葉の海を渡る舟のような辞書。「大渡海」はそんな意味合いで名付けられました。
読み終わってから「舟を編む」というタイトルと、そして装丁を眺めると、
なんだかこみ上げるものがありました。あっぱれ、と言いたい。
でも辞書は完成したら終わりではない、時代が動くと、言葉は日々増えていく、変化していく。
うごめく言葉にあわせて、辞書もまた進化しなければなりません。
彼らの舟はまだ動き始めたばかりです。その門出を見送るような物語でした。

元気をもらえるいい本に出会えて本当に良かったです。
そして辞書の世界も本当に魅力的!
これを読んだあと私はすっかり人間くさい「新解さん」(新明解国語辞典)にはまり、
夏石鈴子さんの新解さん解説本を2冊読破、「うめ版 新明解国語辞典×梅佳代」も買いました。
まだ本体の辞書は買ってはいないので、馬締くんたちにはごめんなさいって感じですけどね。
| comments(1) | trackbacks(1) | 23:45 | category: 作家別・ま行(三浦しをん) |
コメント
はじめまして。いつもレビューを参考にさせてもらってます。ありがとうです。文庫版を読むことが多いので、ざれこさんの2〜3年遅れで読んでいることが多く、これまでコメント出来ずにいたのですが、舟を編むは読みました。(2か月遅れだって。)
私も西岡の章が一番好きでした。本当は傷ついてるプライドを軽薄ぶった(本当に軽薄?)態度でごまかしながらも真摯に辞書作りにかかわろうとする。。読んでいて胸が熱くなりました。腐れ縁の彼女に「いい辞書作ってね」といわれるシーンでは、読んでいる私も胃からのどまで熱いものが駆け上りました。こうやって本の登場人物と同じ感情を共有できるから読書はやめられませんね。またいい本紹介してくださいね。
| isorin | 2012/03/27 9:57 PM |

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書籍「舟を編む」好きこそものの上手なれ
書籍「舟を編む」★★★★オススメ 三浦 しをん著 , 光文社、2011/9/17 ( 259ページ , 1,575円)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← この作
| soramove | 2012/02/13 7:40 AM |
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