本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「宵山万華鏡」森見登美彦
宵山万華鏡
宵山万華鏡
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2009/07/03
  • 売上ランキング: 64217


2011年最後の読書は森見さんでした。祇園祭の宵山って季節外れやなあと思いつつ。
そういや、関西に住んでいるのに祇園祭には一回いったかなあ、ってくらいです。
すごい人だったなあ、という記憶があります・・。宵山には行ったことがないです。残念。


京都祇園祭の宵山の1日に起こる様々な出来事を描く連作短編。
赤い浴衣の少女たちでつながる宵山の世界、そして宵山から抜けられなくなる人々の物語は
おおむね「きつねのはなし」にも似た、ひんやりした展開でもありますが、
とある章では、いつもの森見作品に出てくる阿呆ども登場します。
ある意味いろんな森見さんを読めるので、森見登美彦って初めてだわーって人には、
入門編としてはいいかもしれませんね。
物語の雰囲気が気に入ったなら「きつねのはなし」に入るもよし、
阿呆どもが気に入ったなら「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」などに続けばいいと思う。
そういえば、どこかで聞いたことあるエピソードも出てきます。
(出典は「新釈走れメロス」だったかな?手元にないからわからなかったが)
他作品とのつながりを見つけるのも楽しいですね。

最初の章は姉妹が主人公で、幻想的な雰囲気で、いつもの森見さんらしからぬ展開でしたから、
阿呆登場でなじみの世界にやってきて、ちょっと安心したのは事実です、が、
全体を読み終わると、幻想的な雰囲気のまま終始一貫していた方が、好みだったかなあ、と
読み終わって思いました。阿呆どもはやっぱり現実的だし、夢から覚めた感がある。
まあ、あんなあほなことができるのは一種のファンタジーではありますが・・・。
でも、山田川さんと小長井くんのコンビはとっても好きでしたし、いいんですけどね。

最終章に向かうにつれて、宵山に閉じこめられてしまう、様々な人たちの哀しみが胸にしみました。
大事な人を失ってしまうと、人はそこから動き出せなくなるんだと思います。
その気持ちが、宵山で留まってしまった。祭りの喧噪から離れて。
お祭りって、賑やかで楽しいものでもありますけど、それを離れると特に寂しくて
賑やかな分、闇が目立つ気がします。そして、寂しさも際だつのですよね。
京都という街の、いい意味で古さが残る雰囲気もあって、よけい寂しいのかもしれません。
哀しみに取り込まれている人々の姿が、だからこそ切なく苦しい。
なので、ちょっと胸苦しいけれど、そういう世界観でずっと描いてもらっても
よかったのかなと思いました。

全部が全部わかった、うまくいった、って終わりではなくて、幻想は残しつつ、
でも彼らはいつか宵山から抜け出せるだろう、というほのかな希望が見えた気がして、
ステキなラストでした。
阿呆どもの悪戯かと思わせておいて、宵山様って本当はいたのかしら・・・。と思わせる
ラストの章がいいんですよね。
最初の章に登場した姉妹がまた登場し、輪が閉じるような不思議な感じもあって、好きです。
それと、全体を通じて、万華鏡をイメージさせていたのがまたよかった。
くるくる回すとまるで世界を変える万華鏡。宵山に来るいろんな人が見た宵山の景色は
また全然違って、でも赤い浴衣の少女はいつもどこかに見え隠れ。万華鏡と重なりますよね。

森見さんのまた違う一面が見られた連作集でした。こういうのも好きです。
次作「聖なる怠け者の冒険」も楽しみです。
| comments(0) | trackbacks(1) | 10:26 | category: 作家別・ま行(森見登美彦) |
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森見登美彦 宵山万華鏡
祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでい
| マロンカフェ 〜のんびり読書〜 | 2012/03/02 3:45 PM |
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