本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「怪盗ジバコ」北杜夫
怪盗ジバコ (文春文庫)
怪盗ジバコ (文春文庫)
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2009/04/10
  • 売上ランキング: 68826


作家さんの訃報は哀しいものですが、まだ読んだことのなかった北杜夫さんの訃報も、
哀しいものでした。著名な方なのに、亡くなってからいろいろ知るのも残念なのですが、
歌人の斎藤茂吉氏の息子さんだったようですね。それを知って、「楡家の人びと」を
読んでみようと買ってはみたのですが、ふと本屋でこの本を見かけて買ってみました。
タイトルと装丁のいい意味でのバカバカしさがなんか好きだったので。

かなり面白かった!こういう軽快な荒唐無稽さは久しぶりで、
気軽に読めてにやりとさせられました。
それに私って、泥棒ものが好きなんだよねー。ルパン三世とか。
泥棒が、鼻もちならない人たちをぎゃふんと言わせるような、
そういう話が昔からとても好きだった。
この怪盗ジバコの泥棒っぷりは、だからとても好きでした。

怪盗ジバコは世界を股にかける怪盗。その正体も本名も誰もわからないが、
たまたま日本で大御所をからかった事件をもとに、ジバコと呼ばれるようになる。
怪盗ジバコは大金持ちだからもう泥棒しなくてもいいんだけど、
膨大な資金を使って、地下道を掘ったりして、ちょっとしたものを盗んだりする。
そんな彼の活躍を描く数編。

彼の泥棒っぷりは本当に荒唐無稽で、部下も大量にいるようだし、
やりたい放題なんだけど、彼の活躍を読んでいたら、
彼が一本ちゃんと筋が通った人だというのがよくわかります。
彼は自分の仁義に基づいて行動してるんだけど、にやりとさせられつつ
その仁義には共感し、すかっとしている自分がいます。
やっぱり、悪い奴がしてやられるのは気持ちいい。

蚤男(の後半)とか印象に残ってます。
(前半のヒトラーの話も相当にやりとさせられたが)
蚤だらけの男がサーカスに蚤を売って金持ちになるんだけど、みたいな話で。
富を得て蚤を失う男の姿は、なんだか哀しくもなった。
大事なものをなくした人みたい。難しいね、人生って。

ジバコと、ほかの有名どころたちの対決も楽しいのです。
明智小五郎、ジェームズ・ボンドとジバコとの対決はやはり読みどころ。
こういう夢の競演っていいですよね。荒唐無稽だけど楽しい。
そして、アルセーヌ・ルパンとの対面なんかもありました。
どの話もなるほど、というアイデアに満ちてたし、相手のフィクションの人物の
人物像なんかもしっかり研究して盛り込まれてるのも面白い。
007とか正直詳しくないんだけど、ファンの人でも楽しめるだろうなあ。
ルパンとの話が一番好きです。

ジバコが楽しいのは、ただの泥棒じゃなくて、アイデアを駆使して、
無理やろ普通、って誰もが思うところで盗みを果たしてしまうところ。
諦めないで知恵を絞れば、私も何か打開できるんじゃないかなあ、って、
なんとなく思えて、そんな希望を与えてくれる、楽しい作品なのでした。
あ、もちろん泥棒になろうとか思ってないけどね。

ラストでは、ジバコも初心に帰ったことだし、
これからも世界中で活躍して行くことでしょう。
今もどこかで存在してる、何かをこっそり盗んでいってる、そんな風に思いたいなあ。

そして最後に、遠藤周作さんの解説でおおっ、と驚かされました。
だってジバコ風?なんだもの。
全部信じて読んで、最後に「え?」と。お茶目だなあー。いいなあー。
遠藤さんと北さんの友情にほっこりしちゃいました。ステキだなあ。
| comments(1) | trackbacks(0) | 13:30 | category: 作家別・か行(その他の作家) |
コメント
こんな本あったんや!
次何読むかめちゃくちゃまよってたので「怪盗ジバコ」読んでみます♪
| 069 | 2012/01/26 11:59 AM |

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