本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「小夜しぐれ」「心星ひとつ」高田郁 | main | 「宇宙の果てのレストラン」「宇宙クリケット大戦争」ダグラス・アダムス/安原和見訳 >>
# 「かわいそうだね?」綿矢りさ
かわいそうだね?
かわいそうだね?
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2011/10/28
  • 売上ランキング: 2663


「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の2編収録。
「かわいそうだね?」は、彼氏が困っている元カノと一緒に住んでるのを
必死に許してる主人公のお話。
「亜美ちゃんは美人」は、とにかく美人の亜美ちゃんと、彼女につきまとわれて
仕方なく友達をしてるけど比較されてるさかきちゃんのお話。
どちらも、男の影は薄くて、女vs女の物語として読みました。面白かった!


「かわいそうだね?」は、最初比較的だるいんですけどね。
つきあいの浅い彼氏が、長年つきあってた元カノと家でルームシェアしてるなんて、
それだけでマジギレしていいレベルの話だと思うんだけど、主人公はそれを許そうとします。
なんか、この程度のこと許容できないなんて心狭いひとよね、とか思われるのって嫌だし、
仕事もない、服もださいし顔も普通の元カノはかわいそうなんだから、って気持ちが
働いたんだろうけど、自分は百貨店勤務で見た目もいけてるしおしゃれな服も着てるし、っていう
優越感も随所に見られて、だからこその「かわいそう、私が我慢しなきゃ」なんだよね。
その心の動きはリアルだった。けど、毒がなんか足りないんだよなあ、
いけてて我慢してる女の子の日常やん、と思ってたら、強烈なパンチを食らうことになる。
そこからの展開が、今まで抑圧されてた分、超面白い。

結局はどっちがかわいそうなのよ、って話。
どう考えても「鰯雲」の方が圧倒的に負けてて、あのくだりでは笑いながらも
すごく切なくなった。(読んだらわかります、すいません)

私も小さい頃、「かわいそう」って言葉は、自分が人を見下してる時に言うものだから、
言わない方がいい、って小学校の先生か誰かに言われたのをすごく覚えていて、
(私めがけて言ったわけではなかった気がするけど)
そこから安易には言わないようにしている。
私は当時そんなつもりで言ってなかったのに「私って上から目線の言葉使ってたんだ」と
思って(当時は「上から目線」なんて言葉はなかったが)、子供心にショックだった。
そういう意味での「かわいそう」をこの物語ではうまく捉えていて、うまいなあと思った。

「亜美ちゃんは美人」は、亜美ちゃんと比較され続けるさかきちゃんと、亜美ちゃんの物語。
いるいる、亜美ちゃんみたいな空気読めない美人っている!!と思いながら読んだ。
自分の話、しかもオチも全然ないし面白くもない話を延々とし続けて、
それでも男子につっこまれない美女ってけっこういる。
関西だから面白いことを言わないといけないというプレッシャーに常にさらされて
いつもギャグを外してきてる私からしたらうらやましい存在だ。
でもその美女って嫌な子では全然ないんだよね。むしろ心もかわいいっていうか、
見ていると見た目も麗しいし素直だしで癒されることが多いんだわ。
だからいつも、ほんまかなわないなーって思う。

さかきちゃんは常に亜美ちゃんと比較されてて、私も大学の時の友達が美人だったから
わりとこういう立ち回りやったなあ、と思ったりしてさかきちゃんに共感しつつ読んだ。
さかきちゃんは最初亜美ちゃんに困ってたけど、物語が進んでいくうちに、
だんだん真の友情を持つようになる。
亜美ちゃんの孤独に気づくあたりは切なかったけれど、こんな友情でも本当の友情だと思う。
亜美ちゃんとさかきちゃんの関係を的確に分析していた小池くんの存在も効いてると思う。
亜美ちゃんファンの屈折野郎だけど、私は好きだったな。

この物語はさかきちゃん視点だったんだけど、登場人物を、亜美ちゃん、さかきちゃん、と
ちゃんづけする書き方も珍しくって、呼び捨てにしたり、「私」って一人称にするより、
ちょっと客観的に読める気がして、独特の効果を生んでいると思う。

両方とも、普通の女、対、かなわない女(計算高い地味な女性と、絶世の美女は、
両方とも勝てる気がしません。)との対決のように読めました。
当然共感するのは主人公の方です。そして、女ってやっぱり自分と他人を比較するもんなんだなー、
とも思いました。他の女性と比較して自分の立ち位置を決めるというのは、悪い癖ですね。
私は中の下なので、「自分は自分、人は人。」と逆に思うようにしてますが、なかなか難しいもんです。
女の子のリアルが描かれてて、面白く読めました。

綿矢りささんは前から好きでしたけど「勝手にふるえてろ」を読んでから
ますます好きになりました。痛いけど共感できる女性を描かせるといいんですよねー。
見た目はとってもかわいいのに、毒気がたっぷりでステキです。
同時期に芥川賞を取った金原ひとみさんは子育てをしながら「マザーズ」を書いて、
綿矢さんはこういうのを書いて・・・。最初から作風は全然違いましたけど、
それぞれの生き方が作風に反映されているようで、すごいなあと思います。
(と、まるで知り合いみたいに語ってみる・・)
| comments(0) | trackbacks(1) | 13:29 | category: 作家別・ら、わ行(綿矢りさ) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/950913
トラックバック
女性をユーモラスにリアルに
小説「かわいそうだね?」を読みました。 著者は 綿矢りさ 「勝手にふるえてろ」が私的に良かったので また 綿矢作品を! 今作も 女性を軸に 恋愛モノといえながらも その文章タッチは 彼女ならではというか 若者らしさ、なんというかポップさというのか しかし 文
| 笑う社会人の生活 | 2015/03/14 9:32 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links