本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子
すべて真夜中の恋人たち
すべて真夜中の恋人たち
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2011/10/13
  • 売上ランキング: 1241


川上さん初めての恋愛小説ということで、読んでみました。
実は図書館返却期限が迫ってる本がこの本ともう1冊、だいぶ借りるのに待った
ベストセラーだったんだけど、私は今こっちを読みたい気分だったので、
こっちにしました。川上未映子さんの優先順位が私のなかであがってます。
でも、ほんま読んで良かったです。これ。

今まで読んだ川上さんの「ヘヴン」や「乳と卵」なんかは、なんていうかなあ、
どわーっと何かが襲ってくるような感じ、で読んでいた記憶がある。
共感はできるんだけど、強烈な何かが押し寄せてくる感じ。特に「ヘブン」は圧倒された。
でもこの作品は違った。すっと包み込んで寄り添ってくれる感じ。
今まで感じていたひりひりした感じはなくて、とても優しい物語ではあったけれど、
やっぱり、うまく生きられない不器用なひと、を描き切ったあたりは、
今までの作品と違いはないと思いました。

文章がすごいですね。読むたびに違いますものね。
ここまで一作ごとに雰囲気をがらりと変えてくる人を私は他に知りません。
今回は沁みこむようにじんわりと入ってくるような、そんな文章でした。

主人公の冬子は34歳で、フリーで校閲の仕事をしています。
働いていたけれど、同僚となじめなくて、フリーになって、仕事は淡々と、
でもまじめにこなしていきます。仕事ぶりには本当に感心します。
人づきあいは、まるでタイプが違う出版社の聖と気が合って話すくらい。
いつしかお酒を飲み始めて、魔法瓶に日本酒を入れて出歩くようになるのだけど、
とあるきっかけで三束さんという男性に出会い、光について教えてもらうのです。
なぜなら冬子は、誕生日に夜の街を歩いて光を見るのが好きだったから。

冬子は本当に不器用です。ちょっと極端だし、こんな人の気持ちはわからないって
人もいるかもしれない。でも私はすごくわかりました。
お酒を飲まないと人との距離がわからないのです、彼女は。たぶん。
私はお酒が飲めないけれど、飲めたら飲むだろうなあ、と思うのです。
人とうまく話せなかった時期が私にもあったし、今でも人によっては
うまく話せなかったり、どうしていいかわからなかったり、自分だけだって思ったり、
いろいろしてます。この世界に自分は100%なじんでる、そう言い切れる人は
誰もいないような気がします。そんな人たちが感じるいくばくかの孤独が、
ここではすごくしんとした夜の光のように、ささやかに静かに描かれていて、
そこにすごく共感しました。共鳴といってもいいでしょうか。

淡々と進む物語を、私は冬子になって読みました。同じように切なくなって、
同じように苦しくもなりました。そんな心地で読みました。なので苦しかったです。
冬子から見たら華やかな世界でうまく生きているように見える聖も、
穏やかに生きているように見える三束さんも、
みんな同じように、何かとてつもない孤独を抱えて、生きてるんだな、と
最後に思えました。それがまた切なくなって、なんか泣けました。

夜の光はそれぞれ、遠くで瞬いているだけなんでしょうかね。
それでも、少しずつ寄り添っていけたらいいのにな。そう思います。

なんていうかなあ。久しぶりに「恋愛小説を読んだ」と言い切れる、
すごく切ない思いが残ったんですよね。胸が締め付けられるというか。
すでに枯れかけているアラフォー女が思うようなことじゃないんですが。
でも、うまく生きていけなかった、でもそれでもがんばって生きてる、
大人が読むべき恋愛小説だと、私は思います。
美男も美女も出てこないけれど、普通の、ちょっといやかなり不器用な、
私たちみたいな彼女たちの恋愛。とても、素敵に思えました。

ふーむ、久しぶりにくさい感想を書きました。おかげさまで。

校閲のお仕事を少し垣間見られたのも、本好きとしては良かったです。
どれだけみんなで見ても、誤植のない本はないらしいです。不思議ですね・・・。
それでも、誤植のない本を目指す、100%を目指す、
そんな仕事ぶりには頭が下がる思いでした。
人生、恋愛だけじゃないし、一人で仕事ができるんだったら、
一人でだって生きていけるかもしれない、それはステキなことだけれど、
だれかと寄り添うのもステキなことだ、どっちもあればもっといい。
この本を読んでそう思いました。
| comments(0) | trackbacks(2) | 23:57 | category: 作家別・か行(川上未映子) |
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