本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「ジェノサイド」高野和明 | main | 2011年10月に読んだ本 >>
# 「どろんころんど」北野勇作
どろんころんど (ボクラノSFシリーズ)
どろんころんど (ボクラノSFシリーズ)
  • 発売元: 福音館書店
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2010/08/10
  • 売上ランキング: 268650


日本SF大賞の候補作になっていたのを覚えていて、今回図書館でリクエストしたのですが、
すると図書館の人が「福音館書店で出てるんですか、へえ、なのに児童書じゃないんだー」とか
(私が一般受付でリクエストしたせいで)言ってましたけどやっぱり児童書でした。
そんなつもりじゃなかったんだけど、と思いながら児童書カウンターに取りにいった私です。
そうかあ、こんなにかわいい本だったんだ・・・。
でも私が借りた後予約が少し入って、これから子どもたちが読むのかな、読むのならいいな、と思います。

鈴木志保さんのかわいらしい挿絵がふんだんに入っていて、特に亀のイラストかわいい!
で、フォントがイラストに合わせて動きを持っていて、その一連の工夫が
すごくいいリズムを生んでいる本です。とにかくかわいい。

かわいいけれど本格SF。私はかなり怖かったです。
子どもが読んでトラウマにならないか心配ですが、きっと私みたいなひねた子どもだったら
この怖さがたまらん、とSFの虜になることでしょう。そんな彼らの将来が楽しみです。
私も小さいときに読みたかったなあ・・・・。怖いけど・・・。


ワンダーランド社が作ったアンドロイド少女のアリス。「万年1号」を紹介するショーをするのがお仕事。
長い夢を見ていて、つまり長い間機能を停止していて、久しぶりに目が覚めたら、
そこには彼女と万年1号しかいなかった。万年1号はレプリカメで、子どもを守るロボット。
万年1号と脱出を試みるが、外に出てみるとそこは泥だらけ、そこで出会ったヒトにそっくりの
ヒトデナシが言う。「人間はもういません」
本当にいないのかな、テレビの中にはいるのにな。アリスはヒトデナシと万年1号と旅に出る。

だんだん人間のような推論ができるようになってくるアリス、ヒトのまねをするのが仕事のヒトデナシ、
言葉はしゃべらないけれど頼りになる万年1号。人間ではない3人が旅をするロードムービー的な物語。
彼ら3人のやりとりがなんだかほのぼのしていて、ヒトがいないヒトの世界も珍妙で楽しい。
読んでて何度かうっかり眠くなってしまうくらいほのぼのとしていた(ただの体調不良かもしれんが)。
でも、ヒトデナシはとにかくヒトのまねをしたがって結局外だけを真似してる、とか、
なんだかブラックユーモアな気もして、何ともいえないけどね。ヒトデナシって名前もなんか哀しいし。

でも彼らはヒトではないから余計なのか、自分の仕事を精一杯こなそうとする。
ヒトがいなくなって万年1号の紹介ができなくなったアリスが指示を仰ぎにいったり、
万年1号が淡々と仕事をこなしてるのを見ると、生きていくのにはやっぱり明確な目的がいって、
それに邁進するのが大事なんだろうなあ、と思って、背筋が伸びる心地もするんだよね。
そしていろんなことを推論し、だんだん人間に近づいてくるアリスの姿に、
人の成長が重なるようです。私もこうやって現状を分析して次に進める力がほしいなー。
大人が読んでも学ぶところがいっぱいあります。

でもしかしやっぱり本格SFであったこの作品。この世界の全貌が見えるにつれ、
私はその恐ろしさに震えました。なんかほんま怖かったんですよね・・・。
今までがほのぼのしていたから余計なのかもしれないけれど・・・
前回の「きつねのつき」でも思ったけれど、何があったのか理詰めでしっかり語られない感じが、
想像の余地を残すようで、余計怖い部分もある。
しかし、ヒトって、哀しいよね・・・

アリスが再会するシーンでじーんとしました。
いなくなっても、思い出でも、いるんだよね、そこに。そう信じたいです。

万年1号やアリスや、ちょっと哀しいヒトデナシのこれからも、
ステキな旅が待っている、そんなラストがとても素敵でした。
最後の一行は素晴らしいですね。
怖い世界でも、前を向いて進んでいく彼らを想像していたいです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:42 | category: 作家別・か行(北野勇作) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/950896
トラックバック
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links