本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「幸せ最高ありがとうマジで!」本谷有希子
幸せ最高ありがとうマジで!
幸せ最高ありがとうマジで!
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2009/03/27
  • 売上ランキング: 211169


友達が本谷さんの舞台「クレイジーハニー」を見に行った、という話を聞き、
うらやましい!と思っていたら、この本が読みたくなり読んでみました。
見たかったんだよなあこの舞台。永作博美さん主演で本谷さんの世界観って
すごくはまる気がしたんですよね。
そして読んでから思った。「舞台見たらよかったなあ!!」
DVDが出てるとあとで知り、すごく見たいと思いました。
ただ、ネタがわかっちゃってるんで、読む前に見たらよかったなと思いました。
戯曲も面白いんだけど、やっぱり舞台用に書かれたものですから、
舞台を見た方が数倍面白いんだろうなと思います。

とはいえ、本で読めてよかったなと思う部分もありました。
立ち止まって考えたり、この台詞すごいな、って台詞を何度も読んでみたりという
楽しみがありますよね。リアルタイムで見る芝居とは違う楽しみ方ができます。
永作博美さん演じる主人公が、新聞の配達をしている普通の家族にいきなり乱入し、
「私は愛人よ!」って騒ぐところから物語は始まります。
しかしこの女、愛人ではなさそうで・・・?彼女の目的は何なのか?
そして彼女の登場でこの家族は一気に崩壊していくのですが・・・。

誰の台詞とは言いませんが、台詞の中には、
「あなたは絶望できてうらやましい」とか、「(絶望する)理由をくれ」とか、
「あなたは手首切ってるんだからもっと主張しないと!」みたいな、理解不能の言葉もあります。
理解不能だよ、意味不明だよ、と思いつつちくりと刺さる部分が多くありました。
「私ってかわいそう」と思う時、その人は結局自己愛の塊で、
「こんなにかわいそうな私」を自分で眺めてうっとりするような、
「こんなにかわいそうな私を見て」と誇示したくなるような、そんな気持ちがあるんじゃないか。
これを読んでるとそう思えるし、思い当たる節がないとは私には言えません。
私にもかわいそうな時期があって、「私ってかわいそう」って当時は本気で思っていたし、
実際かわいそうではあったと思うんだが、かわいそうな自分を見て!って部分があったり、
大袈裟に大変ぶったりとか、私は絶対してないよ!とは、正直言えません。
そんな自分を思い出してなんかざくっと心えぐられた気がしました。

もちろん、本当に大変な人がそんなこと思ってるとは全然思いませんし、
この本でもそんなことは書いてないんですけどね。
むしろかわいそうな理由がない人が理由を探しているというか、そういうお話なので、
痛烈な皮肉みたいに読めました。

そういう風に、本谷さんの作品には、誰もがそれなりに心当たりがある、
自分の一番いやーなところを見せつけられるような気がするのですが、
その毒々しさがたまらなくて、私は読むのをやめられません。私ってMなのかなあ・・・。

それから、今って、なんか変な言動があったり、理解不能な人がいたとして、
周りは「病気だ」と思って納得して安心しようとするけれど、そうじゃない場合も多いじゃないですか。
この作品みたいに。
「私は病気じゃないんだよ」と言いながら、思いきり変なことをしてしまう人というのは
読んでみるとこんなに異様なんだな、と思って、その理解できなさへの恐怖が
すごく伝わってくる気がしました。だから自分と違う、って思いたいんだよね。
でも、本当に自分とは違うって言えるんだろうか?
なんか、そういう怖さがある。うまくいけないけど。

わけわからないなりにスピード感があって一気に読めますが、
そのあとにそこはかとない寂しさが残るラストでした。

やっぱり、舞台で見たかったなあ。舞台の独特の「間」とともに。
DVDも見てみたいです。
| comments(1) | trackbacks(0) | 23:26 | category: 作家別・ま行(本谷有希子) |
コメント
まがまがしい感じで、おもしろかったですねー。本谷節炸裂。
何度か、吹き出してしまいました。
頭いかれた女が、何かを暴いたような、ただかき回しただけだったような。
私も舞台観に行けば良かったなぁ、と後悔しているところです。
| つつつ | 2011/11/01 7:46 PM |

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