本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉
謎解きはディナーのあとで
謎解きはディナーのあとで
  • 発売元: 小学館
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2010/09/02
  • 売上ランキング: 68


本屋大賞受賞作は今のところ全部読んでいます。本屋大賞だからってわけでもなく、
私のアンテナが「読みたい」と反応するのです。
でもこの作品だけはアンテナがぴくりとも反応しなかったので、読まなくていいか、と
思ってたんですが、本を滅多に買わない連れが買いまして、何となく借りて読みました。
いきなりハードカバー買わせちゃう本屋大賞ってすごいなー。と改めて威力を知りました。

まあそういうわけで読んだんですけども、えっと・・・
あんまり酷評もあれなので褒める方向でいきたいんですけど、昨日うっかりドラマを見てしまったので
原作の評価すら下がってます。お許しを。

私はミステリはどちらかというと社会派を好みますけど、本格ミステリだったら
B級と呼んでいいくらいキャラ立ちしてたりぶっ飛んだトリックだったりするものだったら、
おもしろみがあると思ってるので、それはそれでいいのですよね。
この小説も、お嬢様刑事と毒舌執事の安楽椅子探偵もの、まずはキャラありきで、
構成も、あえて動機を描かずにトリックだけを際だたせたのはいいと思いました。
こういうのはトリックと推理とキャラを楽しむものなので、人間の業とか感じたりしなくても
いいのです。動機とかどうでもいいのよ。
そういうのとか、人の命の大切さとかは、他の本で知ればいい、と私は思う。

しかし、肝心のB級的な面白さもちっとも感じられないから、困っちゃったんだな。
まずお嬢様がお嬢様じゃない。しゃべり方とか常識とか全然普通。
お嬢様は「だっちゅーの」とか言わないよね(っていうか最近誰も言わない・・)。
設定的にはものすごい金持ちなんですからもっと浮世離れしないと楽しみが半減。
まあそれは別に、きつくて常識的なお嬢様ってことでやっちゃえばいいけど、
とにかくキャラ設定が迷走している。
こういうのはキャラが立っててなんぼなんだからそこがんばらないと!
そして執事もあの程度の毒舌じゃチャンチャラおかしくて片腹痛うございます、が、
お嬢様と比べたらまだましだったかなあ・・・。安楽椅子探偵ではあったし。
(最終話で外に出ちゃったけど、あれはいかんね)

そして事件そのものも軽いというか、トリックがわかっちゃうものも多くて、
第5話とか、まさか私の思ってるオチじゃ・・・?それは反則よ・・・?と
思ってたことがそのままオチだったりして、あらまあ、って感じでした。
こういう小説ってトリックの意外性は大事だと思うので、もうちょっとさあ・・・。
名探偵コナンの方がしっかりしてるやろ、と正直思っちゃいました。

しかし何が一番ダメって、肝心のギャグがつまんない。コメディなのに面白くない!
執事の毒舌を各短編中、たった一言に限定した、それはいいんだけれど、
その毒舌のあとのお嬢様のリアクションが痛くてちっとも面白くない。
言ったあとが大事なんだけどなー、そういうのは。漫才でもボケ役よりツッコミ役の方が
重要なのです。この場合の執事の毒舌はボケにあたると思うからさあ。
それ以前に、風祭警部とのやりとりも、執事とのやりとりも、正直くすりとも笑えなかった。
いかにも「今面白いこと書いてるでしょ」って感じで笑わせようとしてる感満載でしたが、
それが笑えないし痛いだけだったってのがなあ・・・・
文章自体も間が悪いしテンポも悪いし、私はのれませんでした。

会話が面白い、と書いている感想も多く見かけたので、個人的な好みの問題かとは思いますが、
私にはとにかく合わなかったです。
私は奥泉さんや森見さんの世界をおもしろがる人なので、普通の感覚とは違うのかもね。

ドラマはその間の悪さまで引き継いでしまって更に私と合わない感じになっちゃってたうえ、
安楽椅子探偵のはずの執事がせっせと外に出て行くので原作の良さまで損なわれてました。
唯一、椎名桔平の風祭警部が、原作通りにもかかわらず、「痛くて面白い」域に達してたのは、
さすが椎名さんだなあと思いました。
コメディってシリアスより難しいんだから、もっと本腰入れないとダメだよね、と、
原作にもドラマにも思いました。なめてはいけませんよ。

しかし、私の評価はともかくとして、取っつきやすいし読みやすいし、
読書って堅苦しいっていうイメージがあった人でも「本って楽しいなあ」と思わせる力は
あるんじゃないかな?と思う。
そうであれば、本屋大賞っていうのも意義深いと思います(賞の趣旨が変わったような気はしますが)。
小学生の頃、赤川次郎を読んで読書に目覚めた私は、その頃を思い出しました。

この感想の方が執事よりよほど毒舌で、なんだか申し訳ありませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

せっかくなので、この本を読んで「読書って楽しいなあ」と、読書の入り口に立った人に
私のオススメの本を紹介しちゃいます。(えらそう?すいません。つい。)

金持ち刑事といえばもちろんこの人。ドラマ版は深田恭子主演で、それもはまってましたが
原作では主役は男性です。金の使いっぷりが半端ないです!
「富豪刑事」筒井康隆

お嬢様と執事といえば。執事でなく女性運転手ですが、このシリーズもどうぞ。
日常ミステリでもありますが、昭和の空気を堪能できるすばらしい作品集。
街の灯」「玻璃の天」「鷺と雪」北村薫

そして執事といえばこの人かと。影山など足元にも及ばないくらい優秀で、性格悪いです。
文庫でお手軽なシリーズが出始めたのでオススメしときます。
ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」「ジーヴズの事件簿―大胆不敵の巻」P.G. ウッドハウス

また、執事と言えば、この執事の物語も、人生の悲哀を味わわせてくれてステキでした。
(今回の本とはだいぶ雰囲気違いますけれど。)
日の名残り」カズオ・イシグロ

他、歴代の本屋大賞受賞作なんかも、全部取っつきやすくて、いろんなタイプがあって、
楽しめると思います。
特に初代本屋大賞「博士の愛した数式」は名作。
最近の「天地明察」は時代小説を読みやすく、取っつきやすくしたという点でも
とてもよかったし、何より面白かったです。
それに、本屋大賞は、2位以降の作品も面白いしとっつきやすいです。
| comments(4) | trackbacks(0) | 22:44 | category: 作家別・は行(その他の作家) |
コメント
はじめまして。
いつも楽しみに読んでいます。

私もこの本が「本屋さんがその年一番推したい本なのか?」と
疑問に感じていたので、スカっとしました!いやー、うれしいな。
ありがとうございます!!

追伸:私も森見さんや岸本さんが好きです。ウフフ。
| ripa | 2011/10/21 7:19 PM |

初めまして。
いつも密かに本選びの参考にさせていただいてます。
私も本屋大賞は毎年チェックしているのですが、今回のこの本についてはちょっぴり期待はずれだったので、嬉しくなってコメントしてしまいました。
読みやすい本なんですけどね…。
これからも楽しみにしてます♪
| あひる | 2011/10/21 7:29 PM |

うわあ。私の気持ちのまんまの感想です。なんだか嬉しい。

因みに森見さんは大好きです。
| yura | 2011/10/21 9:50 PM |

新撰組局長近藤勇の斬殺剣 虎徹しっかりと本物を描ければ、古今に稀なる名作になることもある、 作品は古今東西を問わず美術工芸品として第一級の評価がなされているこれは、最上大業物の一つでも、日本の国の国宝と重要文化財に指定されている、長さは二尺三寸五分 無銘
| 新撰組局長近藤勇の斬殺剣 虎徹 | 2011/12/09 4:52 AM |

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