本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」奥泉光
桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,600
  • 発売日: 2011/05
  • 売上ランキング: 12468


「モーダルな事象」で登場したクワコーこと桑潟幸一。
沈没しかけた大学から何とか抜けだし、千葉の田舎の大学の准教授として滑り込めた。
ほっと安堵したのもつかの間、文芸部の顧問にさせられ、謎の文芸部員がクワコーの前に
わらわらと現れる。そして謎の事件が頻発、更にクワコーの給与も風前の灯・・!

この物語は、冴えない、俗物の大学准教授と文芸部員が繰り広げるライトなミステリです。

タイトルと表紙に偽りあり。というか表紙もタイトルもネタではないかと思うなあ。
クワコーの冴えない感じと「スタイリッシュ」という表現は全く合わないうえ、
この表紙のイケメンって誰ですか、って感じです。女子大生たちはわりと忠実に描かれてるけど。
「謎解きはディナーのあとで」とか、最近こういう表紙のおしゃれな感覚のライトミステリが
わりと出ている気がしますけれど、そういう本かと思って買っちゃった人は「金返せ」レベルですよ。
いや、ライトなミステリーではあるんですけどね・・・。おしゃれじゃない・・・。
むしろ笑えるので、電車で読むのは注意です。

クワコーは自分の生き残りしか考えてない俗物でくだらない人物です。
くだらなさがあまりに露骨すぎて爆笑レベル、私なんかもう大好きですけどね。
(「モーダル」でも相当ダメでしたけど、拍車がかかってます。)
生き残ろうと赴いた新しい大学では、准教授の給与とは思えない超低収入にあえぎ、
ちまちまと自炊生活をしたり、学生に研究室を乗っ取られたり(研究してないからいいけどね)、
野心ばりばりの権力者の使いっ走りをやったりしています。冴えなさすぎます。
大好きですが、結婚は絶対したくないです。

そんなクワコーはただ事件に巻き込まれるだけなのですが、この事件を鮮やかに解決するのが
オタク女子大生たち。文芸部員たちの若いんだけどもオタクな会話というのが妙に面白く、
キャピっとしててオタクたちなのにノリについてけない現代っ子な雰囲気と、
冴えない中年准教授とのギャップはもうシュールの域です。異色チームすぎ。

ミステリとしてはまあ普通、日常ミステリなのでおどろおどろしくもなく、
ひねりがきいてて楽しかった(最後のは少々無理があったような・・・)。
私なんかは、クワコーの最低生活を読んでるだけで満足できちゃったので、
別にミステリじゃなくても純文学風でもいいくらいです。

と、私にはツボにはまりまくりだったのだけど、ネットで感想をちらちら見てますと
「文章中に出てくる太字に気が散った」という意見を多数みかけました。
私は別に気にならなかったけど、なんで?ってところも太字になってたりもしました。
ま、太字もそうですが、合わない人には徹底的に合わないだろう作風なので、要注意です。
私は奥泉さんのノリは大好きなのでOKなのですが、こりゃ人を選ぶだろうとは思います。
まあ、ライトで読みやすく敷居も低いので、奥泉さんの入門にはいいかもしれませんね。

シリーズ化するのかなあ。クワコーの生活環境が改善されるのかが気になります。
あと、モーダルも読んでる人へ。懐かしい人が登場しますよ!笑ったわ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:10 | category: 作家別・あ行(奥泉光) |
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