本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太
どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)
どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 550
  • 発売日: 2009/01/15
  • 売上ランキング: 6584


芥川賞受賞時の、朝吹さんとの受賞ツーショットが面白かった西村さん。
経歴がやたら取りざたされてましたね。あの報道で、朝吹さんより西村さんの方が
気になっちゃった私は、以前芥川賞候補になったこの作品から入ってみることにしました。
(「きことわ」も読んだんですけどね。)

藤澤清造という大正時代の作家、でも無名で最後は公園で凍死した作家のことが
好きで好きでたまらない男、つまり西村氏が主人公の、私小説です。
この「好きでたまらない」度合いは度を超していて、世のオタクと呼ばれる人たちの
かなりの人が「参りました。」というくらいの傾倒ぶりです。
あれだけ一人の人に夢中になれるもんなんだね。もう愛しちゃってるもんね。
別に男同士のホモ的な愛とかではなくて、家族っていうか、一体化してるっていうか・・・
とにかく半端じゃないです。読めばわかります。
私ですら藤澤氏に少し詳しくなってしまいました・・・。

そんな西村氏の日常?が書かれている表題作他三編が収録されてます。
西村氏と、一時期共に暮らしていた女性との生活も描かれるんだけども、
主人公が最悪です。DVです。で、女性が実家に帰っちゃったら、
じめじめと後悔したりしてます。
この最低な男、でも殴る時は冷静に「また自分やっちゃうんだろうなあ」とか
思ってる節もあり、で、やっちゃったらとことん反省します。多分本当に、
二度とやらないと思ってるんでしょうね、その時は。そんな感じがします。
DV男なんてまっぴらごめんだし、つきあう女性の気持ちがわからんと思ってましたが、
なんか主人公のうろたえぶりとかをうっかりかわいいと思ってしまい、
ああ、見捨てられない心境ってこういうことかー、と女性の気持ちがちょっと
わかってしまった気になりました。それでもDV男はごめんですけどね。

一つのことに夢中すぎてあとはぼろぼろの最低の男なんですが、全体的に何か憎めない。
最低すぎる自分を本人が自覚し、ここまで冷静に文章に出来てるからかもしれない。
まあ、だから少々自己弁護も入ってるかもしれないが・・・
(いやここまで最低だと、ありのままかな・・・)。
自分の最低さを自覚する時の感覚に似た、妙な共感を覚えました。

朝吹さんみたいな芸術的な小説もいいけど、どぶ川を泳いでいるみたいな、
こういう小説の方が距離が近くて私は好きかもしれない。そんな自分ってどうよ、と
思いつつ、また西村さんの本を読んで、また藤澤清造に詳しくなろうかと思います・・・

そういや藤澤清造氏の「根津権現裏」も新潮文庫で出ましたね。
西村賢太氏のおかげだね。まさか今頃、こんな風に読んでもらえるなんてね。
なんか、文学っていいなあ。死んでしまっても、その人の考えていることが、
どんな未来にでも読めるっていうのは。
西村氏と藤澤氏のかかわりに、そんなことを思いました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:51 | category: 作家別・な行(その他の作家) |
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