本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「花桃実桃」中島京子
花桃実桃
花桃実桃
  • 発売元: 中央公論新社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2011/02
  • 売上ランキング: 106855


43歳独身の花村茜。会社でも肩を叩かれ行き場がなくなり、
亡くなった父が管理していたアパートの管理人になることに・・・
そこの、一癖もふた癖もある人々、そして近所でバーをしている同級生の尾木くんとかと
繰り広げる群像劇。連作短編集。

直木賞を受賞した「小さいおうち」や「FUTON」、「イトウの恋」などのスケールの大きい
長編もすばらしいけど、中島さんのこういう力の抜けた感じの作品もすごくいいな。
気軽にすっと読めて、心地よい作品です。
三人称なんだけど、ちょっと遠くから眺めているかのような独特の飄々とした感じが好きでした。
でも、花村茜と同じアラフォー独身としては身につまされました。
茜が、白髪が元気よく伸びちゃってぴーんと立ってるのを見て悲しくなってるシーンとか
「そうそう」と一緒に悲しくなったりしました。白髪って、元気なんですよね・・・。
そうやって一つずつ、「年」を感じることが増えていきます。茜と同様。
43歳にしてはお茶目なところもあるけど、体だけはしっかり年をとってる茜は、
本当に共感できる人でした。子どもの頃は、大人になったら誰もが「大人」になって
しっかりするんだろうと思ってたんだけど、いざ大人になってみると、
別にそう変わらないんですよね。体だけが年を取っていくけれど、
気持ちが成長したかといえばそうでもない。それは私が独身で家族を作ってきてないからかも
しれないんだけど。その微妙な幼さとお茶目さ、でも年なりに出てくる図太さ、
そういうリアルな40代女性像が花村茜という人に投入されてたと思います。

でも、気づかないけれど、年とともに豊かになっていくものもあるんじゃないかな、と
茜の生活を見ていると感じました。
住人に、整形マニアの女性が出てきてなかなか面白いのですが、若くありたいとあらがう彼女と、
あらがってない、自然体の茜との対比が印象的でした。自然に年を経て、自然に過ごすことで
得られる何かもあるんじゃないかな、と思います。

住人は個性的な人ばかりで、茜の父親の愛人だった老婆もいい味だしてますし、
彼女に振られた弱い青年が弾く哀愁漂うウクレレとか、もうかなり笑っちゃうけど
なんだか哀愁漂ってて笑いとばせない、みたいな人たちが出てきて、みんな愛おしいです。
昔はちょっとヤンキーだったらしい花村茜もおかしいし、ヤンキー時代を知ってる
高校の同級生の尾木くんもやたら理屈っぽくておかしい。でもいそう、こういう人。

花桃実桃というタイトルには、花が咲かなくて実がなっちゃうような植物もあるけど、
それでいいじゃない、みたいな意味が込められていて、そうだよね、そういう人生も、いいよね。
とふと気持ちが落ち着くような、ほっこりする小説でした。
肩の力を抜いて、人と比べたりしないで、ゆっくり、自分のペースで生きて行けたらいいです。

なんかここの住人たちと、いつまでも過ごしていたかったなあ。そんな小説でした。

そういえば、中島さんらしく、海外からの居住者もいたなあ。
英語で書いた百人一首は新鮮でした。他の作品ではもっと感じますが、
いつも国際的な視点でものを見ている作家さんで、こちらも視野が広がる気がします。
| comments(0) | trackbacks(1) | 00:00 | category: 作家別・な行(中島京子) |
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