本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「四畳半王国見聞録」森見登美彦
四畳半王国見聞録
四畳半王国見聞録
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2011/01/28
  • 売上ランキング: 9455


森見登美彦さん、読むのはじめて、って人は断じてここから読むべからず。
先に「四畳半神話大系」「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「新釈走れメロス」まで
読んで耐性をつけてから、読んだ方がいいです。
「四畳半神話大系」「太陽の塔」あたりで「これは、阿呆すぎる・・・」と思った人は、
まあ仕方がないのでこれも読まなくていいですが・・・。
それでも、「ペンギン・ハイウェイ」は面白いかもしれませんよー。

私自身はむしろ、森見さんのこの手の阿呆な作品群が大好きで。
おひとりさまの女が読んでも共感できてしまうのです。「同志よ!」と思う。
クリスマスになるたびに「四条河原町で「ええじゃないか」って踊ってる阿呆ども」を
思い出しては共感してしまいます。ま、女子全員がそうだとは絶対言いませんけど。
(あまり女子にはおおっぴらにお勧めできないの正直)
森見さんの結婚には正直がっかりしました。同志じゃなかったのね・・・と思って。
余計なお世話ですけど。でも結婚したらキャラ変わるんじゃない?と思ってて、
「ペンギン・ハイウェイ」を読んで、とてもかわいい素敵なSFだし
森見さんしか書けないものだってわかっていても、やっぱりソフトになったな、と
思っていたんだけれど・・・

森見さんの男汁は健在でした!この作品で実感しました。何にも変わってない!

京都の大学生、学業もシュレディンガーにしてやられて挫折し、モテないし彼女もいない、
そして四畳半に住んでいる。そんな彼らたちの物語、なのですが、
世界は全て四畳半の中にある。そして、阿呆な男の親不知や、カタツムリの角や、
シュレディンガーの猫の額や、丹波という男が弾く謎のマンドリンの中、そんな中にも世界がある。
四畳半の阿呆神が仕切る、四畳半の世界が。

なんともいえない妄想炸裂の連作短編たちなのです。こんなの森見さんにしか書けない。
森見さんの物語に登場する数々の阿呆たちが総出演、という豪華な(?)短編集。

最初の「四畳半王国」に君臨する「余」の独白、おもしろがって読んでる分にはいいけど
ふと我にかえると、「この人、四畳半で住んでて友だちいなくて彼女もいなくて物理もできなくて、
ただ引きこもって妄想してるだけやん、・・・大丈夫かいな」と思ってしまいますが、
そこは我に返るのをぐっとこらえて読んでいきましょう。
だって出てくるの、そんな連中ばっかりなんですもん・・・

真夏に冷房もない四畳半に集まりキムチ鍋を食すという苦行にわざわざ耐える阿呆どもや、
ブリーフ一丁で街に立つ阿呆、寝ている男に額にペンで落書きする阿呆、そんなのばっかりです。

まあでも彼ら、同じ阿呆な友だちがいるだけ全然いいと思うし、何よりその豊かな妄想!
四畳半の中でこれだけの豊かな妄想が繰り広げられる彼らの内面世界はすばらしい。
一人でぼうっと四畳半でいてても、これだけ豊かな世界が広がってるなら、
いつも仲間と楽しく過ごして、実際は空っぽな人よりはいいと思うなあ。
彼らのネガティブな思考回路がいつしか愛すべき阿呆妄想に!すばらしい。

と、共感できてしまう私も相当の阿呆です。

大日本凡人會の面々が最高でした。凡人になりたい非凡人の集まりなんだけど、
彼らの能力はことごとく役に立たない。
数学で「自分に彼女がいることを証明」しようとする阿呆、人の心を読める阿呆、
桃色映像のモザイクを消し去れる阿呆(これは役に立つのかもしれないね、一部男性には)、
気持ちが凹むと地面まで凹ませる阿呆、そして存在感のなさという点では誰にもまけない無名君。
数学氏が、自分に彼女がいることが証明できた!というので、彼女が現れるはずの駅に出向くと・・・

彼らが出てくる短編はちゃんとオチも決まってて、
混沌としたこの短編集の中で一番読みやすくて、痛快でしたわ。
でもこの紹介をするだけで、全編通じてどこまで阿呆が出てくるのか、
ちょっとはわかってもらえたかなあと思ったり。

森見さんはおっぱいとか平気で言うけど、じっとりしたいやらしさがないのがいいです。
桃色映像のモザイクを消すとか、よく考えたら随分生々しいんだけど、
「桃色」って言葉がいいのかなあ、なんか、嫌らしくはないんだよね。
阿呆だからなのか、しょせんは妄想だからなのか・・・。

それから、出てくる女性たちがまたいいのよね。三浦さんとか初音さんとか。
黒髪の乙女が理想のはずなのですが、少々気が強かったり、とんでもない天然だったり、
森見さんの作品に出てくる女性たちは、少々変わっています。好きだけどね。
ま、でも、おしとやかな黒髪の乙女で、実はとてもしっかりしている女性たちは、
とてもモテますけどね。そして男たちは、知らぬ間に彼女たちの尻に敷かれている。
なんか世間一般的にそんな気がしますよ。いろんなカップルを見てきたけれどね。

ま、とりあえず森見登美彦熟練者にしか勧めませんが、面白いですよ。
読み終わったので、森見氏の「太陽の塔」「四畳半神話大系」を「俺のバイブルだ」と
あがめている男に(一応既婚なんだけど阿呆です)、この本を貸そうと思います。
ますます阿呆になるんだろうな、あの男は。
| comments(0) | trackbacks(1) | 22:45 | category: 作家別・ま行(森見登美彦) |
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またまた四畳半の世界
小説「四畳半王国見聞録」を読みました。 著者は 森見 登美彦 いやー まさに森見ワールド 今までの総括とでもいうような・・・ 7つの話からなりますが つながりもあり そして 今までの森見作品ともリンクがあって やはりこちらなど他の作品を先に読んでからのほう
| 笑う学生の生活 | 2011/11/22 11:17 AM |
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