本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「聖夜」佐藤多佳子
聖夜 ― School and Music
聖夜 ― School and Music
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 1,450
  • 発売日: 2010/12/09
  • 売上ランキング: 12553


「第二音楽室」につづく、School&Musicのシリーズの第二弾です。
「聖夜」というだけに、クリスマスイブまでに読めたらよかったけれど、読んだのは1月でした。

「第二音楽室」と同じコンセプトの、学校と音楽にまつわるお話だったけど、
前作とだいぶ雰囲気が違って、戸惑いながら読みました。
前のは、多少暗い話があるにせよ、全体的にはさわやかな、誰にでもお薦めできる、
温かいお話が多かったのです。主人公たちも、ちょっとひねくれてる時もあるけど
だいたいが素直で、かわいらしいかったんだけれど。

今回の主人公はずいぶんひねくれてました。
また、宗教音楽とか、オルガンとか、メシアンとか、あまりなじみのないジャンルだったのも、
ちょっととっかかりが悪かった理由かもしれないです。

私のなかでオルガンというとファンクのハモンドオルガンが真っ先にイメージされちゃって。
全然クラシックでも宗教っぽさもない。あとはジャズのJimmy Smithとか。
ほか、この本でも出てきますけどロックの、オルガン破壊しちゃうやつとか、
そっちの方がまだイメージがわく。
メシアンも、宗教的なオルガンも、聞いたことがなくてわからないのがとても残念。

主人公は、キリスト教系の高校で集会でオルガンを弾くクラブの部長、一哉。
父は神父、母はオルガンを弾いていたが、家族を裏切って消えた。
母の罪を常に意識し、父にも反発し、宗教も拒絶し、でも聖書について語ったり、
オルガンを弾き続ける一哉。彼の混乱した内面は、同じオルガン部の仲間、
真弓のまっすぐな演奏や、ロックを通じてできた友達や新たな世界によって、
少しずつ変わっていくのだが・・・

逃げた母への複雑な気持ち。彼女がオルガンを弾いていたから感じる気持ち。
メシアンを弾けば弾くほど、技術的なことができてくると、
母への思いを昇華しなければ弾けないことがわかってくる。
そこから一哉は一旦逃げ出してしまう。逃げちゃった時は、
とんでもないところから逃げちゃった気がして、私が気が気じゃなくて、
あとで傷つくよ、と心配だった。負の共感というかなあ、
私も逃げたくなったことは山ほどあるから、だからこそ逆にわかるんだけど、
逃げなかった後悔より、逃げたときの後悔のほうがきついんだよね。
なので逃げたあとの一哉が心配だったけど、負の連鎖に陥らずに、
立ち向かえたのでよかったと思います。

「第二音楽室」の温かさはあまりなくて、暗い雰囲気だったけど、
「第二音楽室」では少しまぶしかった青春も、今回は等身大というか、
「ああ、ダメだよね、でもわかる」といった負の共感が強くて、
宗教観とかわからないことが多かったなりに、彼の成長を、
素直に見守ることができました。

今回は、オルガンだから、合奏じゃなくて独奏、一人で立ち向かわなきゃいけない。
そのきつさもあったけれど、パイプオルガンを弾くシーンは、
音に包まれる様子が想像できて、オルガン部の人たちも一体になれたような、
不思議な満足感が味わえました。
いいなあ、パイプオルガン、聴いてみたいなあ。
聴けるだけで自分の中で何か変われるような気がします。

影響を受けて今聴いているのはJimmy Smithだったりするけれど・・・
あと、「カラマーゾフの兄弟」も読み始めました。

罪とか、許しとか、難しいことは私にもまだわからないけれど、
生きていけば少しずつ、昇華できるんじゃないのかな・・・。
音楽できて楽しい!という楽しいお話ではなかったけれど、
いろいろ考えさせられました。

このシリーズ、あとがきにあったんですけど、
あと2つ、お話が用意されているそうで、それが読めるのを楽しみにしています。
| comments(1) | trackbacks(0) | 00:28 | category: 作家別・さ行(佐藤多佳子) |
コメント
この本で

読書感想文を書くので

参考になりました☆
| みぃ | 2011/08/09 4:38 PM |

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