本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「人間小唄」町田康
人間小唄 (100周年書き下ろし)
人間小唄 (100周年書き下ろし)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2010/10/19
  • 売上ランキング: 26673



ろくでもない作家、糺田両奴が、読者から届いた珍妙な短歌を勝手にネタにして文章を書いたところ、
読者がキレて作家を誘拐した。
要求は「感動する短歌を作る」「ラーメン店をやって人気店にする」「暗殺」。
「何故それを要求するのだ」「情熱だよ、やむにやまれぬ情熱だよ」・・・・、
短歌はともかく、ラーメン店はがんばる作家だが・・・

いやはや、町田節炸裂ですよ。最初の方、ミスドで読んでたんですけどやばかったっす。
ほんま噴き出しそうでぷるぷる震えてました。腹痛い。

とはいえ、他の町田康の傑作「告白」、「宿屋めぐり」と比べると、小品だよね。
短いし、あとの残る衝撃を考えても、まあ小粒。
町田康入門にはいいかもしんないけど。

でもこの小説を決定的に印象付けてるのはあのみょうちくりんな短歌だと思う。
冒頭に、読者である傍安が両奴に送った短歌が紹介されて勝手な解釈をされるんだけど、
その短歌が素晴らしい。いや、名作じゃないと思うんだ、短歌には詳しくないからあれやけど、
素人目に見ても、別にうまくはない。でもそのうまくなさが絶妙で、
町田さんにしか書けないよね。って感じなのです。
もっとすごいの書けるんだろうけどちょっと微妙なレベルで短歌書いてみた、
その微妙なラインが醸し出す味ときたら、もう絶品。
そこについてる解釈も珍妙で絶品。

で、そんなこんなで作家の両奴は誘拐されちゃって、短歌を作らされるわけだけど、
その短歌がもう、ひどすぎて爆笑もの。ひどすぎてこれも味わいすらある。
どちらも町田さんにしか書けない超絶短歌で、それがこの小説の印象を
決定づけてると思う。素晴らしいわ。とりあえず冒頭の短歌を読んだだけで、
この本から離れられなくなってしまいます。すごい威力。

物語も不条理極まりなく、作家が誘拐されて何故か資金もなくラーメン店をやらされ、
ちょっとずつ成功して行っちゃうくだりは笑いなしには読めない。
なんかちまちまと小さいんだけどそこがおもしろくって・・・

その不条理さは最後まで続き、最後の最後には文壇をも皮肉ってるかのような、
なんか一瞬考え込まされるような、空虚なような、結末が待っていて、
この、読み終わったあとにすこーんと何も残らない感じ
(印象にないという意味じゃなくて、あたまんなかが空っぽになっちゃうの)、は、
「告白」やらにも通じる町田さんの虚無、をちょっと垣間見たような感じがしました。
こんなん思ってるの自分だけな気もするねんけど。

ああ、町田さんの本の感想書くだけで文章破綻して大阪弁丸出しになる。
読み終わった後は確実に脳内破壊されてて町田的文章が踊ってるんですが、
読み終わってだいぶたって感想書いててすらこんな感じ。町田さんすごいわ。
私もあんな短歌書きたいわ。無理やけど。書けそうで、誰にも無理。

ところで、なんとなく思うんですけど、
最後に登場した猿本って、某大人数のアイドルグループをプロデュースした
とある人がモデルのように思えました。気のせいですかね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:35 | category: 作家別・ま行(町田康) |
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