本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「サラの鍵」タチアナ・ド・ロネ/高見浩訳
サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 2,415
  • 発売日: 2010/05
  • 売上ランキング: 29436


1942年のフランス。フランス警察により、ユダヤ人を一斉に検挙したヴェルディヴ事件。
サラは両親とともに検挙された。
その時、小さな弟を守るため、弟を隠れ部屋に入れ、鍵をかけた。
すぐに戻ってこれると信じて・・・

数千人のユダヤ人とともに、サラは競技場に押し込められた。
狭い場所に閉じこめられて、倒れたり飛び降りたりする人がいる、
すさまじい状況のなか、サラは必死に家に帰ろうとするが・・・

そして現代のパリ。結婚してアメリカからパリにきてライターをしているジュリアは、
夫の実家を改装して住むことになる。その時に彼女が調べていたのはヴェルディヴ事件。
そして、夫の家庭とその事件との意外な関わりを知ることになる。
彼女はいつのまにか、サラという女性の人生を追っていくこととなる。

ヴェルディヴ事件を初めて知り、まずはそれに驚いた。
フランスでも、ドイツではなくフランスが、ユダヤ人を収容して虐殺していたなんて。
そんな私の知らない悲劇が展開される前半。1942年当時のサラの物語と、
現代のジュリアの物語が交互にあらわれるが、
正直、サラの章に引き込まれて、ジュリアの章がくると
サラはどうなってしまったのか早く知りたくて焦れた。

そしてサラの章は、競技場、収容所を経て、途中で途絶える。すごく衝撃的なところで。
途絶えてからはジュリアの章。ジュリアがサラの人生を追う章になる。
サラはそれからどうなったのか。
今度は私はジュリアに密着し、ジュリアと一緒になったつもりで読む。

展開がすごく巧みだ。サラの物語だけで充分衝撃的なのだが、
ジュリアがいたことで、この物語は重厚さを増す。
サラの人生をたどっていくうちに、ジュリアにも変化が訪れてくるのだ。
サラはどんな気持ちでその後を生きたのか?ジュリアは調べながら考えて、
自らの人生をも顧みて、そして一つの結論に至る。
知ること。どんなにつらいことでも、知らないより知る方がいい。どんな悲劇でも。

私はそんなジュリアの行動を読みながら、知らなくてもいいことってあるんじゃないのかなあ、
その方が幸せなら、それでいいんじゃないかなあ、といった、とまどいがあった。
でも最後まで読むと、自らの過去やルーツは、どんなことでも知っておいた方が
いいかもしれない、と思い直すことになった。
自らの父や母のつらい過去が、自らに、そして受け継ぐ者たちに、
何かを伝えることもあるのではないかと。そんな気持ちになった。
最後の最後のジュリアの言葉に、そんなことを思って、泣けた。

戦争の悲劇を語り継がないといけない、もちろんそんなテーマは奥深くにあると思うけど、
この作品はどちらかというと、サラという一人の女性の人生が、ジュリアという女性と共鳴して、
それが物語の渦となっていったのだと思う。女性が強く生きること、そして何かを伝えていくこと。
そんなことをこの本で読んだような気がした。読めてよかったと思う。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:26 | category: 海外・シリーズ別(クレストブックス) |
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