本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「産霊山秘録」半村良
産霊山秘録 (集英社文庫)
産霊山秘録 (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 820
  • 発売日: 2005/11/18
  • 売上ランキング: 171021
  • おすすめ度 4.5


阿部和重の「ピストルズ」を読んだときにこの本の話が出てきたのです。
どんな引用か忘れたけども、紹介されてて「おもしろそうやん」と思って、
で、自分の未読本棚にあったので読みました。(未読本棚にはなんでもある)
確か買ったのは、この文庫がすごい、かなにかのランキング雑誌で、
これが上位だったからだったと思います。そのランキング雑誌、
今思えばかなりマイナーな、知らないよって文庫を紹介してくれてたんだけど、
これ読んだら確かに信頼できるランキングだったと思います。
いやー面白かった。
荒唐無稽な歴史改変SFを読みたい人はぜひどうぞ。
天皇を守り平和な世を守る「ヒ」一族。彼ら一族の、戦国、幕末、そして太平洋戦争、
さらに現代(書かれた当時なので1970年くらい)にまでつながる、時空を超えた
時代を超えた活躍を描く歴史小説です。

ヒは、三種の神器を使ってテレポートできたり、という超能力を操れる集団で、
産霊山というテレポートできる地点を持っていて、そこには白銀の矢、
ヒにしか見えない光が飛んでいく。その矢は人々の願いが光になったもの・・・。
そして、産霊山の「芯の山」があってそこに願いが集まる、芯の山を制すれば、
世界は平和になる。そんな言い伝えがヒ一族には伝えられている。
だから、どの時代も、彼らは「芯の山」を求めてさまよっている。

テレポートは知ってる場所にしか行けないが、戦地で追い詰められて「芯の山」を
願ってテレポートした飛稚は、未来に飛んでしまった。そしてそこでも戦火が・・・。

歴史の面白いとこのおいしいとこどりなイメージで読んだけど、
戦の時代だからこそヒは活躍するわけで、結局は歴史で面白い、と思っちゃうのは
戦の時代なんだよね。それって人間の(というか私の)業かもね、と思ったり。

戦国時代ではあの人が実はヒだった、幕末ではあの人がヒだった、などと、
有名な人がだいたいヒなんだけどさ(「龍馬伝」見てる人はびっくりするよこれー)、
彼らが「ヒ」だからこそこういう行動をした、というのが、
実際に言われてる歴史に合致していて、その動機が妙に説得力があって、
もしかしたら・・・なんて思ってしまうあたりが面白いのです。
そして過去のヒが起こしたことが、現代につながっていくというのも・・・
荒唐無稽すぎて笑っちゃいますが、でもなんか、ロマンじゃないですか。
歴史改変SFはこれだから面白い。やめらんない。
またそう思えるすごい本を読んじゃいました。

しかし・・・、沖田総司の話は悪いけど爆笑した。その説はどうなの・・・!

ヒ一族の願いはひとつ。世界平和なのです。
誰もが殺し合いをせずに、ひとつの世を作っていくこと。
その一途な願いがいまだにかなえられない。
ヒの人々はいつも語ります。別の生命を食べて生きていく生命たち。
それが生のあり方で、それだけでけがれが生じると。けがれなくなるためには、
石や岩になるしかない。それに、人には欲がある。それは果てしがない。
かなってもまた願う人間の業。生きているだけで穢れなのだ、と。

それでも人は生きていくしかないじゃないか。どうしたらいいんだろう。
せめて、自分が生きてることに感謝してかないといけないね。お竜さんのように。

こんな穢れた人間たちの世で、平和な世を願うことこそ、貪欲かもしれない。
でも未来に向かって、ヒは生き延びていく。そしていつかは・・・
そんな希望も見出せるような、スケールのでかい物語でした。
| comments(1) | trackbacks(0) | 00:49 | category: 作家別・は行(その他の作家) |
コメント
こちらにははじめましてです。こんにちは。
無茶苦茶強引なのに、上手く結びつける技がすごいですよね。

「ヒ」一族なんて、変なネーミングだと思ったらこの「ヒ」が色んな「ヒ」に結びついて「ヒ」の暮す里だから多摩のあの街の名はこうなったなんて、もう「そこに来たか!」です。

長いですが「妖星伝」はこの話に輪をかけた壮大な物語です(=^^=)

| 長老みさわ | 2010/10/18 10:11 AM |

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