本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「あられもない祈り」島本理生
あられもない祈り
あられもない祈り
  • 発売元: 河出書房新社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2010/05/13
  • 売上ランキング: 166405
  • おすすめ度 2.0


島本さんの本は何冊か読んでいるけど、数年前の話。
当時は「ナラタージュ」がよくて、そのあと何冊か続けて読んだのだった。
で、数年ぶりに手に取ったのがこの「あられもない祈り」だった。

「私」は、「あなた」からの告白に何度も首を振り続けた。
「あなた」は結婚が決まっていた。「私」は、直樹という男性と暮らしていて、
母は劇団の演出をしている父と二人でよく「私」を放っていたけど、
今は「私」に頼りきりで、金の無心をしてくる。
直樹は少し壊れている。「私」はいつしか、「あなた」に救いを求める。
・・・っていう話なんだけれど、全く気持ちが入らないまま読み終えてしまって、
少々困っています。感想も書けない感じ?
主人公の「私」、心にトラウマを持っていて、地味で勤勉で、というところは
そういえば島本さんの描く主人公ってこんな人が多かったなあ、と思うんだけど、
今回は全く感情移入ができなかったのだよね。直樹に対しても「あなた」に対しても
どうしてそんなことをしてしまうのか、ちょっとよくわからない時が多くて。
わがままなのか、さみしいだけなのか、不安定なのか、自己破壊したいだけなのか。
感情移入が難しくて、こういう人もいるんだなあ、と読み進める恋愛小説って、
やっぱりなかなか入り込めないものなんだなあ。と。

「あなた」もずいぶん勝手なようにも思えるけど、よくよく読むとちゃんと誠実で、
まあ結局は不倫ではあるけれども、時間をかけて整理をしようとはしてる。
普通にちょっとずるいけどまじめに生きようとしてる大人、という印象で、
彼についてはリアリティはあるものの、やっぱり感情移入はできなかった。

台詞が、なんていうか、言わないよね普通、ってことが多くて。
地の文も、どうしてそういう流れになるのかわからないことも多くて。
文章が美しい分、ますますリアリティがなくなっていってる感じがした。
リアリティのない美しい、でも底の方がどろっとした愛とか思いとかが垣間見える、
そんな感触。美しくて残酷でもあり、ひりひりとした作品。
自分がひりひりすることはないんだけど、「ひりひりしてるなあ・・」と
思ってしまうというような。

あんまりのめりこめない、と言いながらも一気に読んでしまって、
読み終わって静かな気持ちになった。恋愛ものを読んだのに、静かな気持ち。
わかっていてもどうしようもない、混乱しているうちに恋が終わってしまう、
そんな恋だってあるんだと思う。そんな恋だったけど、読後感は静かで、
あきらめが漂っている感じがした。

直樹って人が一番リアリティあったかもしれないなあ。直樹と「私」。
あやうい二人があやういバランスで一緒にいる。けどそのどうしようもない閉塞感。
「私」が「あなた」に向かう気持ちは、なんだか理解できた。

ふう。こういう物語に、心が揺れなくなった。
私がもう年をとってしまったってことなんだろうか。
ちょっと考えてしまった。

文章はとても美しいですよね。端正で。ちゃんとしている感じがする。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:00 | category: 作家別・さ行(その他の作家) |
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