本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「蝦蟇倉市事件」1,2
蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア)

東京創元社さんサイトに特設サイトあります。

蝦蟇倉市という架空の市が舞台。
そこでは、年間15件もの不可能犯罪が頻発していて、犯罪の磁場があるとしか思えない。
そんな街で起こった11の事件を、11人の作家が描く。

素敵な企画です。若手作家11人が同じ街を舞台に競作する。ステキ。
1970年代生まれの作家を集めているのですよね。70年代なので、私と同年代の人が多くて、
勝手に親近感を感じてました。なじみの人もいれば初めましての人もいて、
特になじみの人は伊坂さん、米澤さん、少し馴染みは道尾さん(そういやこないだ
トップランナーを見たので友達モードになってますが、作品はあまり読んでいない)、
そして越谷さんはお久しぶりな感じ。越谷さんってミステリも書くんですね。
あとの方々ははじめましてでした。
こういう競作ものって、やっぱりお目当ての作家がいて読むものですが、
読んでると新しい出会いがあって、それもまた楽しいですね。


それから、こういうアンソロジーの利点は、いろんなタイプのミステリが楽しめること。
探偵が活躍する本格ミステリ、刑事もの、バカミス、メタ、学園もの、など、ミステリ博物館みたい。
しかし、不可能犯罪の専門家、真知博士という人物がいて彼が何度か登場するだけに、
やっぱりちょっと本格ミステリ的な作品が多かったかな。
あとは伊坂風、道尾風、米澤風、とでも言うべきか、その人の持ち味が存分に発揮されたものもあり、
特に伊坂幸太郎なんかはもう、彼が一つのジャンルだなあ、と感心しました。

こういうのを読んでいると、自分のミステリの好みがわかってきますね。
私は実は本格ミステリ、というか、事件が起こりました、さあ探偵が来ました、
さあ密室です、大変です、さあ事件を解きましょう、的な、なんていうのかなー、
登場人物が全員事件のために生かされている、的な小説が、実はあまり好きじゃない、
ってことがこれを読んでわかりました。ずばりここにそういう小説があってつまんなかった、
って話ではないんですけど(皆さんもうちょっとひねっていた)、なんか苦手だなあ、と。
それよりは、事件はあるし解決はするけれど、それだけじゃない人間ドラマみたいなのが
ちゃんとある方が私は好きみたい。でもそれって別にミステリじゃなくても読めるよね、ってことで、
私は生粋のミステリ好きではないことが判明したのでした。
でもたまにはいいんですけどね、こってこての本格ものってのも。たまに、でいいかな。

まあそんなことを思うようなアンソロジーでした。楽しい企画でした。
蝦蟇倉市というちょっと変な街を各作家がうまく表現していて、また他の作家の短編で出てきた
登場人物が、別の作家の短編でちらりと出てくるとか、そういうコラボも楽しかったです。
これ、やってる作家さんたちも楽しかったんでしょうね。

残念だったのは、わりとオチが似ちゃってたことかなあ、特に2巻。
何人かの人が、ちょっと凝ったことをしようと思って、結局同じようなオチになってしまった、って
雰囲気が漂ってて、だから似たような印象がしちゃう短編がいくつかあったような・・・。
まあそういう、うっかり似ちゃったよ、的なことも含めて楽しい企画なんだろう。

好きだったのは伊坂さん(これ伊坂さんの作品の中でもかなり気に入りました)、
それから米澤さんのもよかった。どうも、「さよなら妖精」の番外編らしいですね。
「さよなら妖精」をうっかり読んでいなかったので、すぐにでも読まなければ。失敗。
あと、道尾さんも暗かったけどクオリティ高くてさすが。すっかり騙されました。
それから、格闘技系のバカミスで笑っちゃった伯方さん、メタっぽいミステリで
一風変わっていた「毒入りローストビーフ事件」、あと越谷さんの青春ミステリは
爽やかなイントロの印象とは全く違う全貌が明らかになって驚かされたし、
あとは「さくら炎上」の女子高生二人のひりひりした雰囲気も印象に残りました。

あと、「バスコ・ダ・蝦蟇」ってホテル名には爆笑した。
| comments(1) | trackbacks(0) | 00:04 | category: アンソロジー(他) |
コメント
こんにちは、第二巻にある米澤氏の作品「ナイフを失われた思い出の中に」は「さよなら妖精」の後日談です。この作品の内容、ある意味で「さよなら妖精」の強烈なネタバレですよ。あのラストの衝撃を味わえなくなってしまいましたね。ご愁傷様です。
| hama | 2010/08/19 6:43 PM |

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