本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦
ペンギン・ハイウェイ
ペンギン・ハイウェイ
  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2010/05/29
  • 売上ランキング: 1734
  • おすすめ度 4.5


夏休みですね。私は別に夏休みではないですが。
なんだかこの本は夏休みにぴったりな本なような気がします。
今のうちにご賞味くださいませ。もちろん冬に読んでも面白いのですが、
暑い方が気分が乗るし、ペンギンのことを思うと涼しくなれます。

森見さんが京都が舞台でない小説を書くのは初めてな気がします。
(「宵山万華鏡」は読んでないけれどタイトルだけで京都。「恋文の技術」は能登と京都が舞台)
舞台は新興住宅地。それに(人間の)子どもが主役というのもはじめてですね。
新境地ですね。でもファンの私が読んでも、森見さんの良さはそのまま残りつつ、
リニューアルオープンしてパワーアップした森見さんでした。ステキな物語でした。
主人公は小学4年生の男子。とっても頭がよくって理屈っぽくって生意気で調子に乗ってる。
森見さんの幼少時代がモデルじゃなかろうか、と思ってしまったりもするのだが。
彼はでも、すごくかわいいのである。なんと言ってもおっぱいが大好き。
そしてそれを、教室で友達に平然と言う。こんな風に。

「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。
そうすると心が大変平和になるんだ」

この台詞には大笑いした。おっぱいは大好きだけど、おっぱい周辺の大人の事情というか、
おおっぴらに口にしちゃダメな雰囲気には全く気づいてない。
そこが子どもだし、すごくかわいいのです。

そんな少年の住んでいる町に異変が。突然、ペンギンが大量発生したのだ。
わらわらと出てきてはいつのまにか消えているペンギンたち。少年たちは、探検ごっこを
していくうち、だんだんとペンギン発生の謎に迫っていくのだけれど、
どうやら少年が仲良くしている歯医者のお姉さんが関係しているらしくって・・・?

おっぱいネタとかで大笑いしながら読んでいたら、だんだん不思議な雰囲気になって、
最後には少し酸っぱいような切ないような、そんな後味が残る物語。
たとえるなら、一夏の初恋、みたいな。
素敵な夏休みだった、きらきらしていた、こんな素敵な夏休みはもうこないだろうな、みたいな。
森見さんにしか書けないような独特のファンタジー風味のこの物語に、私はそんな読後感を持った。

少年を取り巻く友達たちが、ドラえもん風でなんともいえずいい。
かわいい女の子も、お約束みたいにいるジャイアンみたいな悪ガキの少年もいい。
ちょっとへんてこな子どもたちが活き活きしていて、きらきらしていて、素敵なお話だった。
だからこそ、最後はちょっぴり切ないね。

あとすごく思ったのが、少年のお父さんと少年との関係がなんだかすごくよかったの。
理屈っぽい少年を、そのまま包み込むようなお父さん。出番は少ないし父と息子の関係が
主の物語ではないんだけど、なんだか印象に残りました。
正直、独身男代表みたいな作風の森見さんがうっかり(?)結婚しちゃって、
キャラ変わっちゃって、これから作家活動どうするのよ、とか、
友達みたいに勝手に心配していた私だけど、
こんなお父さんが登場するファミリーものを書くようになったんだなあ、と感慨無量。
森見さんがこれからはこんなお父さんになっていくのでしょうか。理想なのかな。
なんかこれからの森見さんにも期待大です。って、えらそうですいません。
| comments(1) | trackbacks(2) | 00:47 | category: 作家別・ま行(森見登美彦) |
コメント
ぼくにとって世界=お姉さん。
世界のわからなさはお姉さんのわからなさ。

例え、ぼくがどれだけ立派な大人になっても、
決して「わからなさ」を埋めることはできないでしょう。
それでも希望は捨てないのです。

「お姉さんを大好きだった」。「もう一度会いたかった」。
それがぼくの希望の全てです。

| ナナシノ カズタカ | 2011/10/30 11:08 AM |

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「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦
「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦(2010)☆☆☆☆★[2010052] ※[913]、国内、現代、小説、思春期、少年、不思議、ペンギン、おっぱい(笑) 「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。 だから、将来はきっとえらい人間になるだろ
| 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜 | 2010/08/15 6:50 AM |
森見登美彦 ペンギン・ハイウェイ
小学4年生のぼくが住む郊外の街に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎の研究を始めるが―。冒険と驚きに満ちた長編小説。(「BOOK」データベースより) &nbsp; 第31回SF大賞受賞作
| マロンカフェ 〜のんびり読書〜 | 2011/11/10 2:09 PM |
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