本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー/黒原敏行訳
ザ・ロード
ザ・ロード
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/06/17
  • 売上ランキング: 68830
  • おすすめ度 4.0


私は単行本で読みましたが、今年5月に文庫が出ているようです。
ハヤカワepi文庫からです。映画化だからでしょうか。

映画の予告編を見るまで、存在を素通りしていた本だったのですが、
あの予告編を見て、引き込まれるように読み始めました。

奇しくも体調不良な時期で、めまいやら頭痛やらと戦いながら読んでたんだけど、
元気であっても読むのにはだいぶとかかったと思います。
薄い本なんだけど、進まない。読み始めたら引き込まれて読むんだけど、
いったん本を置くと、また読むのがつらくなって、なかなか読み始められない。
だけど気持ちはずっと、世界の終わりをさまよっている。
そんな一週間を、この本とともにすごしました。つらかった。
そこは核戦争でもあったのか、詳しくはわからないものの、世界の終わりです。
何かが起こってずいぶんたち、人はほとんどいなくなり、食べ物もなく、
死んだ植物が横たわっている世界。そこをひたすら南へ進んでいく男と、
その息子である少年。彼らは極限でも「善き者」であり続けようとする。
しかしそこはやはり、終わってしまった世界。彼らはどこへ向かうのか・・・

読んでも読んでも救いがなく、ただ世界の終りが広がるばかり。
そんな彼らの旅を、淡々と、句読点の異様に少ない文章がたたみかけるように綴り、
そして突如現れる彼らの会話は改行が続き、美しい詩のよう。
彼らの感情は切々とはかかれないんだけれど、時々ふと現れる激情、
それは強烈な絶望、としか言いようがないような暗い激情なんだけれど、
それが強烈に感じ取れるような、そんな文章です。
その激情を目の当たりにすると、苦しくなって本を置いてしまいます。
だってどこに救いがあるというのか。

人が人を食べる世界、盗みや略奪は当たり前、そんな世界で、「善き者」でありつづけること、
それはすごく困難なこと。でも彼らは一人ではない。
息子が見ている。善き者である男を見ている。だからこそ彼は善き者で
いられるのだろう、とすごく思った。
どんな過酷な、絶望的な状況であっても、一人ではない。大切な誰かがいる。
それが唯一のこの小説の救いで、そしてその救いは、絶望を覆うほど強いもので・・・。
男は一人だったら、善き者ではいられなかったろう。人の道を踏み外していたろう。
それでも人として生きていられたのは、神のおかげでもない、ただ息子がいたからなのだ。

ぎりぎりのところで繰り広げられるそんな親子の旅に、何度も涙した。
こんなにつらいのに、最後には生きる力をもらえたような気がした。
どんな状況であっても、きっと生きていける、一人でなければ。そんな気がした。

1週間彼らと一緒に荒野にいたことは、しばらく忘れられないと思う。
読んでよかった。

映画もみてみたいけれど、つらそうだな・・・。
| comments(1) | trackbacks(0) | 00:16 | category: 海外・作家別マ行(その他の作家) |
コメント
はじめまして。
私は、映画のほうを観ました。
非常に完成度の高い作品だと思いましたが、絶望感たっぷりの映像の連続でつらかったです。
原作に手を出すかどうか、迷い中です。
| maru | 2010/08/07 6:19 PM |

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