本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「変愛小説集2」岸本佐知子編訳
変愛小説集2
変愛小説集2
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2010/05/28
  • 売上ランキング: 20426
  • おすすめ度 5.0


「変愛小説集」がとても気にいって、そこから「岸本さんが訳すなら」と何冊か読んで、
「変愛小説集」に出てきた作家さんが書いた「空中スキップ」や「中二階」も読んでみて、
どちらも一風変わった作品でなかなか出会えない感じがすごく気に入って、
まだあまり踏み込めていない翻訳小説の、一風変わったドアをあけてもらえた、
そんな手ごたえをすごく感じていたのです。
だから、また「変愛小説集2」が出る、と聞いてとてもうれしかった。
また岸本さんセレクトの「変な」愛の物語が読めるなんてそれだけで幸せだし、
またいろんな作家やいろんな世界を教えてもらえるのが、うれしい。
読んでみたら期待通り、変な物語ばかりだった。
でもなんていうか、セレクトはばらばらではなくて、筋のとおった何かが
あるような気がした。前回からぴーんと一本、筋は通っている感じ。
どれも「変」ではあるんだけど、なんだろうなあ、大笑いできる変でも、
くすくす笑う変でもなくて、どれもこれもやっぱり「愛」であって、
「愛」だからこそ、さみしかったり哀しかったりむくわれなかったりする。
どの作品も、幸せ、というより、さみしい、って感じが強くて、
ぎゅっと胸をしめつけられる物語が多かった気がするのだ。
でも、そのさみしさは、物語が愛に満ちているからこそ、それがふと途切れたり、
消えたりしたようなときに、すごくさみしくなるような。
愛があるからこそ、さみしい。それが「変」な愛であっても。
そんな読後感が残る物語集だった。

でもネタとしては笑える話も多いんですよね。だから私の感じ方なのかなあ。
島に漂流したら超イケメンばかりの島で、みんなが自分を好きになってくれる物語とか、
夢のようじゃないですか。そんな島行きたいよとか思うじゃないですか。
でもこれも「わーいいなあ、天国だなあ」では終わらない、むなしさが漂う。

ほか、チアリーダーを探す話。伝説になっている、なぜか山にいるチアリーダーを
探して何年もさまよう女たち。チアリーダー?・・・と設定からして驚きで、
これは実際、想像するとさすがに笑ってしまうんだけども。
でもなんか、読むとなんかさみしくなってしまった。チアリーダーに応援されたい、私も、と
切実に思ってしまった。なんだかすごく元気になれそうじゃないか。チアリーダー。
とおもって、自分が疲れてることに気づく、そんな物語だった。

他にも、体中に歯が生えてしまう女性の話とか、実は妻が木でできていたことに気づく話とか、
どれも設定はものすごく変だし、設定だけ読むと一見笑えるんだけど、
でもやっぱり切ないんだよなあ・・・・。

やっぱりそれはテーマが愛だからなのでしょうか。
愛とはさみしいものなのか、・・・そう思う私がさみしい人なのか。
人によっていろんな読み方ができそうな、深みや味わいのあるセレクトです。

「シュワルツさんのために」って最後の短編でじーんときました。
記憶を切り売りする世界での愛。記憶がなくなってしまっても、
きっと愛って生き続けるよね、とくさいことも考えながら、じーんときた。

ほんと、何気ない短編なのにね。やっぱり切ないしさみしいんだけど、
どれも、温かい。「2」もやっぱり好きでした。

また岸本さんのセレクトでどんどん変な愛の物語を読んでいきたいです。
続編希望です。

で、気に行った作家さんの本がどれだけ読めそうか調べてみました。
今回少なめですが、見逃してたらすいません。

「人類学・その他一〇〇の物語」より というショートショートの連発が
とても素敵だったダン・ローズ。このショートショート(っていうか数行)が
全部愛の物語にちゃんとなっていたのには本当に驚いたし、楽しかった。
そのダン・ローズ氏の文庫になっている本が、「ティモレオン」という長編。

ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー (中公文庫)

収録のショートショートとはだいぶ趣が違いそうな、犬が出てくるけれど
苦い後味の長編のようです。また読んでみようと思います。

で、「シュワルツさんのために」を書いたジョージ・ソーンダーズ氏は、
「パストラリア」という短編集を出している模様。
パストラリア

「シュワルツさんのために」もそうでしたが、こちらも近未来を舞台にした短編集のようで、
ぜひ読んでみたいなあ。
| comments(1) | trackbacks(0) | 00:16 | category: 海外・訳者別(岸本佐知子) |
コメント
こんばんは。突然コメントすみません。
いつも記事を楽しみにしています。

ダン・ローズさんは「コンスエラ」という短編集も出してらっしゃいますよ。こちらはちょっとグロテスクな部分もある恋愛小説・・かな。
私は少し苦手だったのだけれど、興味がおありなら是非☆☆
| atsuko | 2010/08/02 9:17 PM |

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