本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集」長嶋有
エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集
エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集
  • 発売元: エンターブレイン
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/05/31
  • 売上ランキング: 108451
  • おすすめ度 3.5


タイトルと、フジモトマサル氏の挿絵、そして長嶋有。
なんだこのゆるさは。こりゃたまらん。と手に取ってみる。
最近お疲れかもしれない。私。
それにしても長嶋さんとフジモトマサルさんのコンビは絶妙すぎる・・・。

異色作品集となっていたので「そりゃエロマンガ島だし」と思っていたが、
全体的に、「え、これ長嶋さん?」と思うような短編が集まった短編集。
表題作はむしろ「ああ、長嶋さん。」って感じなんだけれど、
意外だったのはSF短編だった。長嶋さんがSFを書くとこうなるのかあ。新たな発見。
それにしても長嶋さんの作品をほんの2作品しか読んでいないのに、
この「ああ、長嶋さん。」という確信はなんだろう、と自分が不思議である。
ある意味すごく雰囲気の確立された作家さんだと思う。

表題作は、「エロマンガ島」でエロマンガを読もう、というどーでもいい企画に乗った
雑誌の担当者など3人が、本当にエロマンガ島に行きエロマンガを読む話。
というと元も子もないか。でもそうだしなあ。
ちなみに一番驚いたのはエロマンガ島が実在することであった。

エロマンガ島の3人は、日本とあまりに違う島でぼんやりとしている。
佐藤は出かける前に彼女ともめたし、同行の日置氏は何を考えているのかわからないし、
久保田氏はいかにも人のよいデブ。そんな三人の道中と、日本との対比が描かれてる。
ふと、現実を忘れてどこかに行きたくなる。それでも人はやっぱり生活に帰る。
そんな迷いの心もとなさと、それでもまた帰る場所がある安心。
そんなことを思い、読むほうも安心して、なんだかちょっとほろりとする。

そして次はSF短編2編。長嶋氏が書くと、なるほどほのぼのとはしている。
でも書いていることはすごく怖くて、説明が圧倒的に不足していて不気味でもある、
だけどやっぱり最後には、ほのぼのとしている、としかいいようのない、
これって相当シュールなんじゃ、ってSFである。
廃墟の街が舞台の短編はとくにそうだった。これ長編で読んでみたかった。

逆にゴルフのやつは、スカッとする。過去との決別が何気なく描かれる。

それから、長嶋氏いわく「官能小説だけど全然いやらしくない」短編。
これは「パラレル」のスピンオフらしく、津田という人物が気になった私は
さっそく「パラレル」を買ってみたりしている。

最後に「青色LED」。
この本、「エロマンガ島」のタイトルのあまりの強烈さに、連作短編集だと
勝手に思い込んでいた私は、読んでいて少々肩すかしをくらっていたが、
この短編が最後に入ることで、本全体が引き締まった気がした。
ゆるい本だけどゆるーくつながって引き締まる。そんな感じ。

全体的に、人と人との関係とか、事件とか、世界とかが殺伐としてたり、
ドロドロとしてても、長嶋さんにかかると、なんだか全部がやんわりとしてしまう。
そんな気がする。それはすごく、いい持ち味だと思う。

現実を忘れてトリップして癒されたい、そんな願望は誰でもあると思うけど、
そんなときに、これを読んで彼ら三人とエロマンガ島に渡って、
日本の歌といってアニソンを紹介したりして(素晴らしい選曲!)
読書でささやかな旅をして、そしてまた現実に戻る。
それもまた読書の醍醐味なんじゃなかろうか。うん。素晴らしい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:05 | category: 作家別・な行(その他の作家) |
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