本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「料理人」ハリー・クレッシング/一ノ瀬直二訳
料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)
料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 1972/02
  • 売上ランキング: 132314
  • おすすめ度 4.0


本好きのSNSで紹介されるまでまったく知らない本だったのですが、古典なんですね。
著者のハリー・クレッシング氏は有名な作家さんの変名だそうですが
海外作家をほとんど知らない私にとっては「あの人かも」とか全然推理できません。
ただ、変名でもなんでもいいんだけど、この小説が面白かったのは確かです。
表紙もかなり好みのイラスト。素敵。

城のある町。とあるいきさつから二つの大きな家が仕切っており、
城はどちらのものでもない。
一方のヒル家の大きなお屋敷に、料理人コンラッドがやってきた。
彼の料理は絶品で、いつしか家の者は彼の料理に、そして彼に夢中になり、
もう一方の家の人々もいつしか彼の料理の虜になっている。
人の体重の増減も思いのまま、魔法のような料理を作って人々を従わせる彼の、
本当の目的は何なのか?

たかが料理、されど料理。食べ物を支配されたら人は支配されるのですね。
食べるって人間に必要なことですものね。どうしても。
それがすごーくわかって、本当に怖い本です。
っていうか、結婚して多少不仲でも、料理がうまければなんとかなるって、
誰かに言われたことあるけど、きっと本当だと思う・・・。
今から料理できるようにならなくっちゃ(手遅れ)。

最初はコンラッドの料理が気に入るだけの主人たちですが、気づいたら、
いつしか彼らはその心さえ、コンラッドに支配されてしまっていくのです。
それに彼らは気づいてもいない。その気づいてなさが怖いのです。
そしてあまりの気付いてなさぶりが滑稽でもあり。
ホラーのようなコメディのような、絶妙すぎるブラックの味わいを堪能できました。
ミステリーとしても楽しめました。先は読めるんですけどね、でも面白い。
そして、人間のもろさを知った気がします。

読者は人をいつのまにか従わせてしまう手腕を、コンラッドに学ぶことになります。
料理だけの話じゃない。人に役割を与えて、人に充実感を与えること。
人々が自主的に、喜んで、彼の下で働くように仕向けること。
仕事、特にマネジメントをする人が読んだら役に立つんじゃないのかなあ。
コンラッドのやり方にはすごく感心してしまった。

案外、支配される側にも、支配される心地よさがあるんじゃなかろうか、
そんなことも思いました。いろんな意味で怖くて、
そして今読んでも新しさを感じる古典だと思います。
今まで読んだことあるような、ないような面白さでした。

読んでも料理はうまくならないと思うけどね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:36 | category: 海外・作家別カ行(その他の作家) |
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