本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ビッチマグネット」舞城王太郎
ビッチマグネット
ビッチマグネット
  • 発売元: 新潮社
  • スタジオ: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2009/11/27
  • 売上ランキング: 5364
  • おすすめ度 4.5


今回の芥川賞、直木賞は、芥川賞の候補作の方が気になって、
芥川賞候補作を(受賞作なしと知ってから)せっせと読んでみたんだけど。
舞城さんが芥川賞をとれなかったのは、少し残念でした。
だってどんな方か拝見できたのに・・・・・。
今回の芥川賞候補、受賞するしないに関係なく、私にとって面白い作品が多かった。
で、この「ビッチマグネット」はけっこうほかの作品とかぶってて、
「犬はいつも足元にいて」と同じく、両親の離婚を引きずってる主人公がいて、
で、「ボーダー&レス」と少し似た読後感。
人は結局一人なんだな、といい意味で気づく、みたいな。
なんか今回、イメージだけど、いまどきの孤独、みたいな作品が多かった気がした。
松尾スズキはまたちょっと違うんだけど。

まあそれはともかく「ビッチマグネット」。舞城王太郎の作品は
いくつも読んだけど、入門編にはこれが一番入りやすいだろうと思います。
普通だし。変な世界に飛んでいったりしないし。フォントの大きさもあまり変わらないし。
ミステリじゃないから、人が何十人も死んだりしないし。
でも、普通の中に、舞城らしいぐるんぐるんの思考の感じとか、
ぶっとんでるわりに結局「愛」がテーマっていうなんか古風な作風とか、
「舞城王太郎」エキスがぎゅっと濃縮されて入ってる気がしました。
だから入門編です、でもほかの作品読んだらびっくりするんだろうなあ。

中学生の姉と弟が主役です。二人はこの中編であっというまに成長して、
結局大学とかいっちゃうんだけど、その二人の成長物語。
物語はあるようでなくて、離婚してお父さんがいなくなってしまって、
お母さんと向き合わなくなってしまった姉弟が二人で成長して、
そして弟は姉から自立していこうとするんだけど、変な女にひっかかって、
姉は姉で出て行った父の呪縛から逃れられないの?自分?トラウマ?と
自問を繰り返してて不安定なんだけど不安定なりにちゃんと生きてる。

私にも女の子だった時代があるから、その不安定な感じを含めて
共感できるところも多くて、なんだか懐かしくなった。
そして弟はいいなあと思うのだった。私は一人っ子だから。
弟が出会うビッチな女、こんなやついるよなあ。とも思う。
ここまで極端な奴には会ったことないけど、こういう性根の人と言うか。
舞城作品にリアリティなんか求めてなかったから、ちょっと驚いた。

彼女は物語を探してる。自分の物語を。語るべき物語はあるのか?
結局トラウマなんかに縛られちゃう陳腐な私の物語ができてしまうのか?

結局たどりついたところは「人は骨だ」ってことで、
私も弟も家族とはいえ結局一人で、いろんな人とのかかわりをもって
どうにだって変わっていくんだろうな、でもだからこそ面白いんだな、
といった至極当たり前のことで、言うならば「愛」なのだ。結局は。
ん?なんだそれ。

と、舞城作品を読み返してみると、言葉がぐるんぐるんと私の頭でも
渦巻いてしまって、カオスになって整理がつかなくなるのでした。
でもそれが魅力だったりもするのでした。

至極まっとうな家族小説だと思います。読んでてぐるんぐるんとなりつつも
あったまるし、こんな姉弟、こんな家族は好きです。
お父さんの愛人まで含めて好きだなあと思う。
| comments(1) | trackbacks(0) | 16:57 | category: 作家別・ま行(舞城王太郎) |
コメント
舞城さんの作品って『阿修羅ガール』しか読んだことがなくていまいち合わなかったんですが再挑戦したいと思い図書館から借りてきて手元にあるんですが後回しになってたんですが読んでみます^^;
芥川賞の選評を全部読んだわけではありませんが池澤夏樹さんがこんなことを書いてます。
『かって芥川賞は村上春樹、吉本ばなな、高橋源一郎、島田雅彦に賞を出せなかった。今の段階で舞城王太郎がいずれ彼らに並ぶことを保証するつもりはない。そんな予言者のようなことはできない。それでも、今回の受賞作なしという結果の失点は大きいと思う』
だったらあげればええんじゃないかと思っちゃうんですがねぇー
| bbanchi | 2010/02/15 3:37 AM |

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