本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「あの子の考えることは変」本谷有希子
あの子の考えることは変
あの子の考えることは変
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2009/07/30
  • 売上ランキング: 42952
  • おすすめ度 3.5


芥川賞候補作を読んでいるときに、そういやこれも過去に候補だったな、と
何気に読んでみる。いや驚いた。芥川賞候補だったんだこれ・・・。
芥川賞候補、と思って堅苦しい文芸作品のイメージで手に取ると、
電車で爆笑してえらい目に遭う。電車で笑いをこらえて胃が苦しかったです。
あの子の考えること「は」変、って限定しなくても、この本そのものが変ですよ。
巡谷は日田という女と同居している。日田はとにかく変。
手記を書いていると言ってちっとも書いてない、見た目はいけてないし汚いし、
言ってることも変。街を汚染しているダイオキシンが自分も汚染しており、
いつかダイオキシンが自分をもっと変にしてしまう、だから自分はこうなんだ、と主張する。

巡谷の一人称で描かれているのでぱっと見巡谷がフツーで、日田が変に思える、が、
読んでいるとすぐわかる、巡谷も相当変であり、日田よりヤバい。
日田いわく「グルーヴ先輩!」(この命名も笑えるんだよなー)で、
キレたら止まらない。男のセフレになってるんだけど、振り向かせようとあの手この手。
巡谷の唯一のよりどころは自分のFカップのおっぱいなのだ。それしかないのだ。

打ちのめされるたびに、自分はおっぱいだけになってしまえばいいのに、と思う巡谷と、
外界に出ず打ちのめされもしないけれど、自分がダメなのはダイオキシンのせいだ、と
むちゃくちゃなことを言ってる日田も、実はたいして変わらない。
自分のよりどころがたった一つ(日田に至っては何かのせいにするしかない)しかなくて、
それにしがみつく二人。そんな二人の姿は腹を抱えて笑いながらも痛々しく、
全然わかんないと思う気持ちと、すっごく共感できる部分とが相反して、
自分でも結局この小説をどう思うのか、だんだんわかんなくなってきた。
他人事だと笑いたいけど他人事だと笑えない。

つまんない毎日に、ダイオキシンが目の前にあったら、
私だって全部ダイオキシンのせいにしちゃうかもしれない。
巡谷みたいなおっぱいはないし、巡谷みたいに、
日田っていう、ちょっと自分より下っぽいってことに満足できて、
依存できる友達もいない。いなくていいけどさ。ダイオキシンも吸いたくないけどさ。
でもなんか、わかる気がするんだよな・・・・。

そんな痛々しい想いを持ちつつ読むんだけど、この小説全体からほとばしる言葉のパワー、
変な女子二人の変なダイオキシンパワー(?)は、変に私を元気にしてしまった。
ラストとか読んでると、妙にテンションが上がって、変なパワーがわいてきた。
痛々しくてむちゃくちゃでも、生きてるぞーって感じがした。
だから結局、この小説、とっても好きだった。
ばかにしてるけど依存してるけど、巡谷は日田のこと好きだと思うし、
日田も同じだと思う。そんな二人の関係も、なんか好きだった。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:01 | category: 作家別・ま行(本谷有希子) |
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